【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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時系列は原作7話の序盤辺りまで。
それでは、よろしくお願いします!


消えた二人の保護対象

 

 カラオケをしばらくしていると、本部から響に連絡が入る。

 

 

『現在、査察継続中につき戦闘司令は査察官代行である私から通達します』

 

『えっ!? どちら様ですか?』

 

 知らない人からの通信で響は戸惑っているようだ。

 どうやら弦十郎は指揮権も一時的に剥奪されているみたいね。

 

『第32区域にアルカノイズの反応を検知。現在、当該箇所より最も近くに位置するSG01、SG03およびAS01は直ちに現場へと急行し対象を駆逐せよ』

 

 通信の内容はアルカノイズの出現に対してあたしたちに向けた出動の要請だった。

 

『じゃあ、了子さんは……』

 

「櫻井了子の身柄は我々が拘束する。このタイミングでアルカノイズが現れたんだ。尋問する必要がある」

 

 先日の査察官が武装した黒服を何人も連れてきてフィーネを拘束した。

 

 ちっ、やはりそう簡単に受け入れるはずがなかったか。一度、自由にしておいて理由が出来たら拘束するつもりだったのね。

 しかし、このタイミング……、ちょっと早すぎない? 

 

 

 ちなみに彼女は一応、二課に所属していたときの身分をそのまま利用することになったので、公式には櫻井了子として過ごすこととなっている。

 

 だからなのか、髪は金髪のままだが、彼女は了子のときの髪型にしてメガネを着用していた。

 

「ふぅん。まぁいいわ。弦十郎くんの立場もあるし、大人の対応をしてあげましょう。うふっ」

 

 フィーネは不敵に笑って、手錠をかけられて連れて行かれた。

 

「了子さん……」

 

 響はフィーネの連れて行かれた様子を心配そうに見ていた。

 

「大丈夫よ。あの人は殺したって死なないくらいしぶといんだから。戦ったあたしたちなら知ってるでしょ?」

 

「櫻井女史の心配よりも、優先すべきことがあるだろう。行くぞ、立花、フィリア!」

 

 あたしたちは響に声をかけて、現場へと向かった。

 エルフナインのことを未来に任せて――。

 

 しかし、これがあたしたちの一番の失策だった……。

 

 

 

 

『SG03に通告。不明武装の認可はまだ下りていません。くれぐれも使用は控えたし』

 

 現場に着いた途端に、アマルガムを使うなと、響に忠告が入る。

 響はそれに応じて標準武装でアルカノイズを駆逐する。

 

 あたしや翼も当然、アルカノイズたちを次々と倒して行った。

 

「ねぇ、フィリアちゃん。これって変じゃない? アルカノイズの動きが……」

 

「確かに違和感があるわね……。ここを襲う意味……、何なのかしら?」

 

 響の言葉にあたしは猛烈に嫌な予感がした。

 

 

「本部! 付近一帯の調査をお願いします! アルカノイズがただ暴れているなんてことおかしいです!」

 

 響は本部に通信をして、違和感を伝えた。ここは研究施設もないし、狙う価値のない場所のはず。

 しかし、連中が無駄なことをするなんて思えない。意味は必ずあるのだ。

 

 

『現在、装者周辺アルカノイズ以外の敵性反応は見られません。SG03はこちらの指示に従ってアルカノイズの掃討に専念されたし。』

 

 管制からの返答はこうだった。うーん。ますます変ね……。エルザかミラアルクくらいは居るとみていたのに……。

 

「立花……。避難誘導が完了するまでは本部からの管制に従うのだ」

 

「でも――」

 

 翼は支持に素直に従うべきだと主張したが、響はそれを躊躇している。

 

 ――そんな中、あたしの頭の中に声が響いてきた。

 

『フィリア! オレだ! 聞こえるか!』

 

 キャロルがあたしにテレパシーを送ってきたのだ。

 

「ええ、聞こえるわ。その様子……、何か緊急の用事みたいね……」

 

 あたしは珍しく彼女の焦った声を聞いたので、ただならぬ事態が起きたのだと察した。

 キャロルほどの者がこんな感じになるなんて、一体何が……。

 

『エルフナインと立花響の友人が襲われている。オレが行ければ良いのだが、戦闘中でな……。ぐっ……!』

 

「エルフナインと未来がっ!? あなたが苦戦するってまさか……!」

 

『ああ、あの人形だ……! チフォージュ・シャトーにちょっかいを出してきた連中を捻り潰そうとしたら、戦闘になった……! オレのことはいい! とにかく伝えたぞ!』

 

 キャロルはチフォージュ・シャトーでグロリアと交戦中。しかし、そんな大きな戦いなのに本部からはまったく通信が入らない。

 

 そして、あたしはエルフナインと未来が襲われているという状況からすべてを察した。連中の狙いは彼女らだ。

 

 未来は響と同じで神獣鏡によって、原罪を浄化した人間。そして、エルフナインはチフォージュ・シャトーを起動させるのに使うつもりだ……。

 

 しかし、神の力なら既にグロリアに付与されて手に入れてるはずなのに……。これ以上、何をしようというのかしら?

 

「響、奴らの狙いは未来とエルフナインよ! キャロルから彼女たちが襲われてると連絡がっ! 今、本部に彼女らの居場所を探らせようと連絡してるんだけど、まったく繋がらないの」

 

 あたしは近くの響に未来たちの危機を伝えた。

 

「そっそんな、未来が!? どっどうしよう!?」

 

「本部からの連絡がない以上、自力で探すしか……。あたしは空から探るわ……」

 

 響の言葉にあたしがそう答えたときである。本部からの通信がようやく入ってきた。

 

 

『フィリアくん、査察は中止となった。連続して通信が入っていたようだが何かあったのか?』

 

 弦十郎から査察中止の報と共に通信が入った。後手に回らされてる。急がなきゃ。

 

「エルフナインと未来が狙われてる。彼女らの居場所を探って。早くっ!」

 

『むっ、わかった。大至急探らせよう』

 

 しかし、私が空から探索しても、本部が監視カメラの映像を追っても二人を見つけることが出来なかった……。

 

 さらにキャロルからもテレパシーが入ってきた。

 

『チフォージュ・シャトーがどこかしらに転送されてしまった……。奴ら、完全にオレに喧嘩を売っている。エルフナインたちはチフォージュ・シャトー内部に居るみたいだが、城自体の場所がわからん……』

 

 エルフナインと未来はチフォージュ・シャトーに連れて行かれたらしいのだが、チフォージュ・シャトー自体がどこかに移動してしまい、場所が分からなくなってしまったらしい。

 まさか、チフォージュ・シャトーごと盗まれるとは――。

 

「キャロル、お願い力を貸して……。エルフナインと未来は大事な仲間なの!」

 

『――わかった。見つけ次第、お前に連絡しよう』

 

 キャロルはあたしの言葉にそう返してくれた。

 あたしたちも早く彼女らを見つけられるように動かなきゃ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「それにしても、まさかと言うよりやっぱりの陽動だったデス」

 

「あの時、管制指示を振り切ってさえいれば……」

 

 切歌と調はあのときのあたしたちの判断の甘さを言及していた。

 

「月読と暁は私の状況判断が誤っていたとでも言いたいのか?」

 

「え?」

 

「えーと、そうじゃなくてデスね……」

 

 翼は二人の言葉に対してイライラとした口調でそう返した。

 調も切歌もしどろもどろになってしまう。

 

「そうよ……。急ごしらえの管制の指示に安易に従うだけなんて、どう考えても判断ミスだった。それは間違いない」

 

「「リア姉っ!?」」

 

「フィリア! お前っ!」

 

 あたしが状況判断を誤ったことを肯定すると、調と切歌は驚いた顔をして、翼は怒った顔をしてあたしに詰め寄った。

 

「誤解しないでくれる? 判断を誤ったのはあたしも響も含めて3人ともよ。そんなことより考えるべきことがある」

 

 あたしは眼前で睨みつけてきた翼を見据えてそう言った。

 

「フィリアちゃん、考えることって?」

 

「偶然、査察が入ってきたタイミングに偶然、連中が陽動作戦を開始して、偶然居合わせたエルフナインと未来が攫われた。この事実についてよ」

 

 あたしはこの一連の流れは仕組まれていると考えてる。

 

「つまり、日本政府を動かせるような奴が一連の流れについて糸を引いてるってわけか。で、あたしらはそんな奴を知っている」

 

「風鳴訃堂……、国防の鬼が動いている……」

 

 クリスとマリアはこの一連の流れの黒幕を訃堂だと結論を出そうとした。

 あたしもそうとしか思えない。

 

「証拠もナシに憶測で話さないでくれ!」

 

 そんな話をしていたら、翼は大声で威圧的な声を出した。

 やはりここのところの彼女は少し変だわ……。

 

「――っ!」

 

 そして、翼は不機嫌そうな顔をして部屋の外に出ていこうとした。

 

「待ちなさい! 話はまだ……!」

 

 マリアは翼を止めるが、彼女は出ていってしまった。

 

「なんだか物凄く……」

 

「ギザギザハートになってるデス……」

 

 調と切歌は翼のことを心配していた。

 

「そうね。でも、これ以上責めないであげて。翼自身わかっているはずよ……」

 

 マリアは翼を庇うような言葉をあたしたちにかけていた。

 ええ、わかってるわよ。そんなこと……。

 

 

 その後、あたしたちは緊急作戦会議に招集された。

 

「消えたチフォージュ・シャトーに囚われた未来くんとエルフナインくんか……」

 

「あんなデケェもん、どうやって隠せるってんだよっ!?」

 

 弦十郎の言葉にクリスは当然の疑問を言い放った。

 

「キャロルとグロリアが衝突して数分後にシャトーは消失……。しかし、キャロルくんがエルフナインくんを介した視覚情報によるとチフォージュ・シャトー内部の様子が写っていたとのことだ」

 

「つまり、チフォージュ・シャトー自体はどこかに健在しているのは間違いないというワケダ」

 

 弦十郎が伝えた事実に対して、プレラーティがメガネの位置を直しながら答える。

 

「で、あーしらは、ここの機材を存分に使って、大規模な転移錬成陣の気の流れを追ったの」

 

 カリオストロはチフォージュ・シャトー転移の痕跡を3人で追った、と言った。

 さすが錬金知識で言えばあたしやキャロル以上の三人の元幹部たちね……。

 

「場所の特定も出来たわ。少し特殊な場所だ……」

 

 サンジェルマンはチフォージュ・シャトーの転移先を早くも見つけたようだ……。

 

「仕事が早いわね。で、チフォージュ・シャトーは今どこに?」

 

 あたしはサンジェルマンに結論を急かした。

 

「チフォージュ・シャトーは現在、海底にある。特殊な錬金フィールドで守られて、な」

 

「海底だとぉっ!? 思ったよりも厄介な場所にあるのだな。しかし、それでは……」

 

 サンジェルマンの言葉に弦十郎は驚いたような声を上げる。確かにそれでは簡単に手が出せない……。

 

 

「――座標さえ分かれば、オレとフィリアだけなら城の中に入ることが出来る。オレとフィリアは元々あそこに住んでいたからな。テレポートジェムを微調整すれば、かつてマーキングしたところに転移することが出来るのだ。他の連中はオレがシャトーに仕掛けた妨害装置に阻まれるから、テレポートジェムを使っても無駄になるが……」

 

「あら、キャロルちゃんって、なかなか有能ねぇ。見どころあるわ〜」

 

 司令室のドアが開き、キャロルとフィーネが現れた。キャロルも協力者としてS.O.N.G.に一時的に加入することとなったのだ。

 

 そうか、あたしもかつてチフォージュ・シャトーに行き来してたから、あそこに転移することが出来たのか。すっかり忘れてた。

 

「それでは、キャロルくんとフィリアくんに未来くんたちの救出作戦を――」

 

 弦十郎がそう、声を出したときである。

 

「チフォージュ・シャトー座標上空に未確認物体が出現しました! モニター出ます!」

 

 警報音と共に友里の声が司令室に響き渡る。

 

 モニターには蛹のような物体が禍々しい気配を醸し出しながら上空に浮いていた。

 

「神の幼体……。なるほど、復活させるみたいねぇ。アヌナンキ……、シェム・ハを……未来ちゃんを依代にして……」

 

 フィーネは目を光らせてモニターを凝視してつぶやいた。

 ノーブルレッドの計画を阻止すべく、あたしたちは行動を開始した――。

 




ついにキャロルがS.O.N.G.に加入しました。
次回はフィリアとキャロルがチフォージュ・シャトーで共闘します。
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