【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課 作:ルピーの指輪
原作2話の中盤くらいまでです。
それではよろしくお願いします!
《ノイズ》出現の警報が鳴り響き、あたしと翼は制服のまま司令室へ駆け込む。
「状況を教えてください!」
「現在、位置の特定を最優先で行っております」
オペレーターたちは総出で《ノイズ》の出現位置の特定を急ぐ。
最近、多いわね……。何か悪いことの前触れなのかしら?
しばらくすると、司令室内がざわつき始めた。
「反応、絞り込みました! 位置特定!」
「《ノイズ》とは異なる高出力エネルギーを検知!」
「波形を照合――急いで……」
オペレーターたちは《ノイズ》の位置を特定したみたいだが、他にも大きな力の反応を見つけて驚いた声を出していた。
「これは、まさかアウフヴァッヘン波形!?」
了子が驚愕して、声を出す。
アウフヴァッヘン波形とは聖遺物、あるいは聖遺物の欠片が、歌の力によって起動する際に発する、エネルギーの特殊な波形パターンのことである。
聖遺物ごとに波形は異なっており、パターンを照合することによって、その種別を特定する事も可能である。
シンフォギアを身にまとう時にも発せられているものだ。
「ガングニールだとぉ!」
弦十郎は大声を上げて立ち上がる。
モニターの照合によると、ガングニールのアウフヴァッヘン波形が確認されたようだ。
「なっ……」
「ガングニールって、奏の……」
あたしと翼は唖然として固まってしまった。
「新たなる敵、もしや……」
「だが、一体どうして?」
モニターにはガングニールのシンフォギアが映し出されていた……。
「出撃します」
「ちょっと、待ちなさい! 翼!」
翼が駆け出し、あたしもあとを追う。彼女はバイクに乗ったので、後ろにあたしも腰掛ける。
ガングニールのシンフォギア……、奏以外がなぜ?
翼も同じことを考えてるはずだ。とにかく、現場に行けば何かわかるはず。
バイクは《ノイズ》とガングニールにどんどんと近づいて行った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バイクが《ノイズ》に直撃して炎上する。
ったく、乗り捨てるのをやめろと何度言えばわかるのよ。
ガングニールのシンフォギア。本当に居たのね……。
あれっ? あの子って先日の? あたしは先日、ネコを助けていた立花響がガングニールを身に纏っていることを確認した。
そう、あなたが……。奏の……。
「Imyuteus amenohabakiri tron……」
翼は空中で聖詠を唱えて着地する。
「呆けないっ! 死ぬわよ……。あなたはここで、その子を守ってなさい」
「翼さん……」
響に翼はそう語りかけて、《ノイズ》たちに向かって駆け出した。はぁ、またスタンドプレーをするのね……。あなたは……。
「翼は強いから、大丈夫よ」
「ふわぁっ、フィリアちゃん、いつの間に!?」
「さっきからずっとあなたの隣に居たんだけど……」
「えっ、なんでフィリアちゃんもここに?」
驚き顔の響をチラッとみて、2つ目の質問には答えず、翼に視線を戻す。
――蒼ノ一閃――
大型化させたアームドギアを振るい、青いエネルギー刃を放ち《ノイズ》たちを次々と殲滅する。
――千ノ落涙――
そして、翼は空中にジャンプして、空間から大量の剣を出現させ、上空から落下させて、《ノイズ》たちを貫き消滅させていく。
一騎当千の鬼神の如き強さで翼はひとりで《ノイズ》たちを蹴散らしていく。
「すごい……、やっぱり翼さんは……」
翼に羨望の眼差しを送る響。
ふぅ、この子の前で正体を晒すのは気が乗らないけど仕方ないわね。
「あっ、あっ……」
「へうっ……」
小さな子供と響は背後に回り込んでいた巨大な《ノイズ》に驚いて声を失う。
「コード、ミラージュクイーン……」
――魔刃国崩――
ミラージュクイーンの出力を最大まで上昇させて剣を振り、銀色のエネルギーの塊を放ち巨大な《ノイズ》を貫き消滅させた。
「うぇっ、フィリアちゃん……、その体……」
ミラージュクイーンを開放した結果、膝や首の継ぎ目を隠す塗料が溶けて、響の前に一体の人形が姿をあらわす。
「ああ、前は言ってなかったわね。あたし、人形なのよ」
驚き顔の響にあたしはそう告げる。引くのは仕方ないわよね。奏だって最初は……。
「すっごく可愛い……」
「はぁ?」
思いもよらない、響のセリフにあたしは変な声が出てしまった。
「あっ……」
響もこの状況で変なことを言ったことに気づき慌てて自分の口を塞ぐ仕草をした。
なんか、この子って……、ちょっとおかしい。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あったかいものどうぞ」
友里が響にいつもの温かい飲み物を渡す。
この人はこういう気の利かせかたが上手い。
「あっ、あったかいものをどうも……」
響はそれを受け取り一口すすり、なんとも言えないような表情をする。
そのとき、彼女がまとっていたギアが消失して、元の制服姿に戻った。
そして、その衝撃で彼女はよろめいて転びそうになる。
「うっ、うわぁ。――ふぇっ? あっ、ありがとうございます」
響は翼に受け止められ、転ばずに済んだ。
そして、彼女は受け止めた人間が翼だと気付くと嬉しそうな顔をした。
「ありがとうございます! 実は、翼さんに助けられたのは、これで二回目なんです!」
「二回目?」
立ち去ろうとした翼は不思議そうな顔で振り返り響を見る。響は満面の笑みを浮かべていた。
向こうでは響に助けられていた女の子とその母親が機密に関する必要事項の説明を受けてるわね。
まぁ、シンフォギアとあたしは国家機密だから、特に海外への情報漏洩防止には徹底してるから、説明時に多少は脅しはやむ無しとされている。
そうしないと、軽々しく秘密をもらすバカもいるから。
響もちょっとうんざりした顔してるわね。あなたは彼女らとは完全に別待遇だけどね。
「じゃあ、私もそろそろ……」
「帰れないわよ……」
あたしは響にすぐに帰宅は出来ないことを教えた。
「フィリアちゃん? えっ……」
響は自分が黒スーツのニ課の男たちに取り囲まれている状況に気がついた。
そして、腕を組んでいる翼が彼女に告げる。
「あなたをこのまま帰すわけにはいきません」
「なっ、なんでですかー?」
翼の言葉に当たり前の反応をする響。
ガングニールのシンフォギアをまとっていたあなたを放っとけるはずがないでしょ。
「特異災害対策機動部二課まで同行していただきます」
淡々とした口調で翼は響に用件を話した。
はぁ、この子のこれからを考えるとため息がでるわね……。
「すみませんね。あなたの身柄を拘束させていただきます」
緒川によって、手錠でガシッと拘束された響は特異災害対策機動部二課まで同行という名の連行をされた。
「なんでー!」
混乱する響を乗せた車は私立リディアン音楽院へ直行する。
そして、中央棟へ彼女と共に向かっていく。
「あの、ここ、先生たちがいる中央棟ですよね?」
不安そうな顔をした響が質問をする。当然、あたしたちは答えない。
「さぁ、危ないから掴まってください」
そして、長いエレベーターに彼女を乗せる。
「えっ? 危ないって……、うわぁぁぁぁ!」
促されるままに、エレベーターの手すりに掴まった彼女から聞こえたのは、思ったとおりの絶叫だった。
「へへっ、あははっ」
「愛想は無用よ」
愛想笑いを浮かべる響にぶっきらぼうに言い放つ翼。あなた、そんな辛辣な子だったかしら?
「もうすぐ、着くから辛抱なさい」
「うう、フィリアちゃん……」
いたたまれなくなって、一声かけると、捨てられた子犬みたいな目で響に見られた。
本当に表情豊かな子ね……。
「これから向かうところに微笑みなど必要ないから……」
翼はそう語る。でも、あたしはあなたには笑って欲しかった。
あたしには出来ないし、奏も、もう出来なくなってしまったから……。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
《ようこそ2課へ! 熱烈歓迎立花響さま!》
「ようこそ、人類守護の最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!」
クラッカーの音と共に、弦十郎が両手を広げて響に歓迎の挨拶をする。
やっぱり……、あたしがこの身体になった日を思い出すわ……。
「ほぇっ……」
響の目が点になっていた。まぁ、文化祭の飾り付けみたいなのをこの状況で見せられたら、誰でもそうなるわよね。
「はぁ……」
「あはは……」
呆れ顔の翼と笑みを浮かべる緒川。翼はさっき、あんなこと言ってて恥ずかしいとか思ってないのかしら?
「さぁさぁ、笑って笑ってぇー。お近づきの印にツーショット写真ー」
了子はスマホを片手に、響とツーショット写真を撮ろうとしていた。それ、最初にやること?
「嫌ですよ、手錠をしたまま、ツーショット写真だなんて、きっと悲しい思い出として残っちゃいます」
拒むのはわかるけど、理由はそこなの? やっぱり変な子ね。
「あら、いいじゃない。手錠をつけられるなんて、滅多に出来ない経験なんだから。いい記念になるかもよ」
「ええーっ、フィリアちゃーん!? そりゃあないよー!」
あたしが口を挟むと響がガーンとした表情でこちらを見る。
「そうよねー。フィリアちゃんもわかってるじゃなーい」
了子はそのまま写真を撮るのを続行しようとしていた。
「ちょっと、待ってください。えっと、私の名前ってフィリアちゃんから聞いたんですか? 他の人には言ってないから……」
「ん? フィリアくん。響くんと知り合いなのか?」
響の質問を聞いて、シルクハットをかぶってステッキを持った弦十郎はあたしに質問する。
「いいえ、知り合いじゃないわ」
「うん! 私たちは友達だもんね!」
「どうして、そうなるのよ!」
あたしは馴れ馴れしい響にツッコミを入れる。
何考えてんのよ、この子は。
「あれぇ、でもフィリアちゃんからじゃ無いならどうして?」
頭の中にクエスチョンマークが付いているような表情で彼女は首を傾げる。
「我々二課の前身は大戦時に設立された特務機関なのだよ。情報の捜査などお手のモノなのさ」
安っぽい手品を利用して説明をする弦十郎。
「ホント、ご立派な仕事よね。女子高生のカバンを漁って情報捜査なんて、素晴らしい仕事だと思うわ」
あたしは弦十郎に向かってそう答えた。
「ううっ、フィリアくん、もう少し言い方をだな」
「うふっ」
たじろぐ弦十郎の横に了子がカバンを持って現れる。
「うわーっ、あたしのカバン! ホントにフィリアちゃんの言ったとおり、カバンを漁ったんですかー!? 何が調査はお手のものなんですかー!」
響は大声を上げて騒ぎ出した。まったく、賑やかな子ね。
「緒川さん……」
「はい」
そして、翼の言葉でようやく響を拘束から解放した。この子……、大丈夫かしら本当に……。
この子は奏ではない。でも、このガングニールの装者からあたしは、どこかあの純粋なお人好しの面影を感じずにはいられなかった……。
翼の口調が定まらない感じが難しいです。
この辺は原作をなぞりますが、ちょっとずつオリジナルを挟んでいきます。