【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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今回はちょっと短いですが、キャロルとフィリアの共闘です。
それでは、よろしくお願いします!


チフォージュ・シャトーでの戦い

 

 チフォージュ・シャトーに着いたあたしはエルフナインをようやく見つけることが出来た。

 案の定、彼女はヴァネッサたちに利用されて、用済みになったところで殺されそうになっていた。

 

 急いで助けなくては――。

 

「あら、自分が原因で世界に仇なしてしまった以上、生きているのも辛くないかしら?」

 

「確かに昔のボクならば世界を守る為に消えていいとさえ思っていました。だけど、皆さんと過ごしてきた想い出がかけがえのないものになってきて、もしもまだ、少しでもボクに何かができるのなら、今はここから消えたくありません!」

 

 ヴァネッサの問いにエルフナインはそう答える。

 

「そう。だけどそれは聞けない相談ね」

 

「どうすれば――。だけど僕では……」

 

 ヴァネッサはエルフナインに殺気を剥き出しにしている。

 

「次ははずさないわ」

 

 そして、腕を刃物状に変形させてエルフナインを襲う。

 

「誰か!」

 

 エルフナインがそう叫んだとき、あたしは既にヴァネッサを殴り飛ばしていた。ヴァネッサは地面に叩きつけられるように吹き飛んでいった。

 

「がっかはっ……! お前は……、フィリア=ノーティスッ――!」

 

「いつの間にか、逞しくなったわね。エルフナイン」

 

 あたしはエルフナインの頭を撫でながら声をかけた。

 

「フィリアさん! どうやってここに……?」

 

 エルフナインはびっくりしてあたしを見ている。助けが来るとは思ってなかったのだろう。

 

「このチフォージュ・シャトーの持ち主に連れてきて貰ったのよ。あなたと未来を助けるためにね」

 

 あたしはヴァネッサたちを警戒しつつエルフナインを後ろに庇うように立たせた。

 

「フィリア! お前だけは許さないわ! よくもドクターを!」

 

「わたくしめらの、目的のひとつはあなたへの復讐であります!」

 

「クロノスモードも使わずに、どこまでうちらと一人で戦えるか、見ものなんだぜ!」

 

 三人は殺気を剥き出しにしてあたしに向かって来ようとした。

 

「ミラアルク……、2つ訂正しておくわ。クロノスモードは確かに強力だけど……」

 

 あたしは彼女らに向けて錬成陣から形成したエネルギーの塊を連射した。

 彼女らは被弾して、一度あたしと距離をとった。

 

「使わなくても、これくらいなら出来るのよ……」

 

 あたしはヴァネッサたちに向かって両手をかざした。

 

「くっ、さすがにシンフォギア以上の火力であります!」

 

「だが、うちらだって身体を強化してるんだぜ!」

 

「力を合わせて、あの人形を打ち砕きましょう!」

 

 三人は連携を取ろうとあたしを取り囲み一斉に掛かってこようとする。

 

「もうひとつは――あたしは一人じゃない……」

 

「この歌声はまさか!?」

 

 ヴァネッサたちが動いたその時、歌がこの空間を支配した。

 

「腹立――♪  不変の世――♪ 解答でき――♪ この感――♪」

 

 ダウルダブラのファウスト・ロープを纏ったキャロルが歌を歌いながら現れた。

 規格外の錬成エネルギーが錬成陣から照射されて、ヴァネッサたちは攻撃を防ぎ切れずに壁に激突する。

 

「フィリア! 合わせろ!」

 

「ええ、分かったわ!」

 

 ――五大元素(アリストテレス)――

 

 キャロルの放つ四つの属性に加えて、あたしの放つ無属性のエネルギーの波動を螺旋状に合成して放つ究極の錬金術――。

 

「オレたちの歌は」

「高くつくわよ!」

 

 アリストテレスはヴァネッサたちを飲み込み、大爆発を起こす。

 彼女らはシールドを張っていたみたいだが、全員がボロボロになっていた。

 

「世界を壊す力がある錬金術師と、ドクターの最高傑作……。さすがに同時に相手できないわね……」

 

「だが、ここで引いてしまうと計画に遅延が起こってしまうんだぜ」

 

「ここでわたくしめらが、全滅するよりマシであります」

 

 三人は撤退しようとしているみたいだ。

 

「オレがそれを許すとでも?」

 

 キャロルの糸がヴァネッサたちを捉えようとする。

 

 しかし、三人は手早くテレポートジェムを使って姿を消してしまった。

 

「ちっ、逃げ足の早いっ」

 

「やられたわね。咄嗟に勝てないと判断して逃げの一手を躊躇なく実行するなんて……」

 

 キャロルとあたしはまんまとヴァネッサたちに逃げられてしまった。

 しかし、追いかけてる場合じゃない。

 

「早く未来さんを救出しましょう」

 

 エルフナインがあたしたちの元に近づいて、そう言った。

 そのとおり、それが最優先……。

 

「しかし、連中が次に戦闘を仕掛けてくれば、お前は邪魔になるな」

 

 キャロルはエルフナインの顔をまじまじと見てそう言った。

 

「そ、そうですね。ボクはキャロルみたいに強くないですから……」

 

「――お前をわざわざ守るのも面倒だ。その仕事はあいつらに任せるとしよう」

 

 落ち込むエルフナインに対して、キャロルはそう言って指を鳴らした。

 すると室内にあった棺のようなものが次々と開いていく――。

 

 

「マスター、ご機嫌麗しゅう」

「あ〜ら、久しぶりですねぇ。マスター」

「派手に戦った後のようですな。マスター」

「マスター、呼んでくれて、嬉しいんだゾ〜」

 

 ファラ、ガリィ、レイア、ミカがキャロルの前に現れて独特のポーズを取る。

 

 あのポーズは必ずやらなきゃいけないものなの?

 

「オレの城に忍び込んだネズミを駆除する。お前たちはエルフナインを守ってやってくれ」

 

「キャロル……」

 

 エルフナインはキャロルからの好意に目を潤ませていた。

 

「マスター、それだけですか? 戦闘になれば我々も……」

 

 ファラは自らの任務がエルフナインの護衛だけでいいのか確認した。

 

「良い。お前たちの身体はスペアボディで本来のスペックとは程遠い。戦闘はオレとフィリアで十分だ」

 

 キャロルはそう答えると歩き始めた。

 

「承知しました。フィリア様、マスターを頼みますわ」

 

 ファラは丁寧にあたしに頭を下げた。相変わらず、創造主への忠誠心は高いのね。

 

「ほ〜ら。エルフナイン。ガリィが抱っこしてあげましょうか〜?」

 

「結構です。自分で歩けます」

 

 ガリィはガリィであれがいつもどおりだし。

 

「うーん。戦えないのはなんだか詰らないんだゾ」

 

「地味な仕事だが。致し方あるまい」

 

 ミカとレイアはそう言いつつもエルフナインの脇を固めた。

 まずは本部との通信をして連携を――。

 

 

 

 あたしたちは未来を発見したが、既に神の力を注入するための儀式が行われており、下手に手出しが行えないようになっていた。

 なので、まずは端末を通じて本部にいる弦十郎たちに連絡を入れた。

 

「司令、チフォージュ・シャトーへの侵入に成功。エルフナインの奪還に成功したわ」

 

『フィリアくん、キャロルくん、ご苦労だった。エルフナインくんも無事そうで何よりだ。それで未来くんだが……』

 

「わかっている。これからオレとフィリアで小日向未来を奪還する。その為にお前たちの暇そうな手を貸してもらうぞ」

 

『その物言いに物言いなのだが』

 

『私たちで手伝えることなの?』

 

 キャロルは相変わらずの切り口で話していたので、翼はムッとしたみたいだが、マリアが大人の対応する。

 

「このデカブツを破壊してもらう」

 

 キャロルはチフォージュ・シャトーの上空に浮かぶ神の力を持つ物体の映像を映し出した。

 

『それが出来ればあたしらも……』

 

「出来る。ここはチフォージュ・シャトー。その気になれば世界だって解剖可能なワールドデストラクターだ」

 

 クリスの言葉にキャロルは出来ると断言する。響の力が欲しいところだけど、彼女は負傷して出撃できないかもしれないと聞いているが……、本当に何とか出来るのだろうか?

 

「確かに僕は聞きました。ヴァネッサたちが、神の力が神そのものへと完成するまでには、もうしばらくの時間が必要だと言っていたことを……」

 

 エルフナインは神の復活にはまだ猶予があることを伝えた。

 

「残された猶予に全てを賭ける必要がある。お前たちは神の力、シェム・ハの破壊を――。そしてオレたちは……、力の器たる依代の少女を救い出す。2段に構えるぞ」

 

 チフォージュ・シャトー内部にいるあたしたちと、外にいる者たちで連携してシェム・ハの復活の阻止と未来の奪還を両方行うという方向であたしたちの話し合いは落ち着いた。

 

「古来より、人は世界の在り方に神を感じ、しばしば両者を同一の物と奉ってきた。その概念にメスを入れるチフォージュ・シャトーであれば攻略も可能だ」

 

『これも一種の哲学兵装。ですが、今のシャトーにそれだけの出力を賄うことは……』

 

 キャロルの言葉に緒川はそう返した。

 

「無理であろうな。だがチフォージュ・シャトーは様々な聖遺物が複合するメガストラクチャー……。――であれば、他に動かす手段は想像に難くなかろう」

 

『フォニックゲイン……』

 

 そう、聖遺物を起動するには一定量を超えるフォニックゲインをぶつけてやればいい。

 かなりの量が必要になるが……。

 

「想定外の運用ゆえに動作の保証は出来かねるが……」

 

『やれる! やってみせる!』

 

『あの頃よりも強くなった私たちを見せつけてやるデスよ!』

 

 調と切歌はやる気になり、装者たちはチフォージュ・シャトーを動かす為に動いた。

 海上から海底まで歌の力が届けば良いけど……。

 

 

「どうやら場外のブサイクは巨大なエネルギーの塊であり……。そいつをこの依代に宿すことが儀式のあらましのようだな」

 

「祭壇から無理に引き剥がしてしまうと未来を壊してしまいかねないわ。神の力が絡むと時間も戻せないし……」

 

 あたしはキャロルの言葉にそう返した。

 

「面倒だが、手順にそって儀式を中断させるより他になさそうだ」

 

「クスッ……」

 

「どうした?」

 

 キャロルが真剣に未来の安全を考えて手立てを得ようとしている様子を見ていたエルフナインはニッコリ微笑んでいた。

 

「意外だなあって思って。僕はまだキャロルのことを全然知らないんですね。フィリアさんと話してるときはこんなに穏やかなんだって……」

 

「そりゃあ、ボッチのマスターの唯一のご友人ですからね〜。クスクス……」

 

 エルフナインの言葉にガリィが楽しそうに笑いながらキャロルの顔を見つめる。

 

「うっ、うるさいな! 余計なことを言うな! ガリィ!」

 

 顔を真っ赤にしたキャロルがガリィに向かって怒鳴った。時々、子供っぽくなるわよね。この子……。

 

「マスターのお父様の婚約者ですから、お母様のような方ということでしょうか?」

 

「あたしはいつでも受け入れるつもりよ、キャロル」

 

「それはないって言ってるだろ! フィリアも異様にワクワクしたような顔をするな!」

 

 ファラの言葉を受けてキャロルにあたしは気持ちを伝えると、彼女は首を振って否定した。

 

「うーん、フィリアは設定盛りすぎだゾ〜」

 

「派手な生い立ちは実に羨ましい!」

 

 ミカとレイアはそんなことを言っているが、そんなに盛っているかしら?

 

「まったく、お前たちは……。それより、連中もおっとり刀で駆けつけて来たようだな。こちらも取り掛かるぞ」

 

 キャロルはヴァネッサたちの接近に気が付き、構えをとった。

 彼女らが無策で再戦するはずがない。警戒する必要がありそうね……。

 




キャロルのオートスコアラーも復活してかなり大所帯になってしまいました。
次回、遂にラスボスが復活!?
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