【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課 作:ルピーの指輪
それではよろしくお願いします!
現れたのはヴァネッサ、ミラアルク、エルザ……、そしてグロリア……。
神の力を得たオートスコアラーまでこっちに寄越したか……。これは簡単じゃないかもしれないわ……。
「コード、クロノスモード……!」
あたしは躊躇わずに《Type:G》を首元に突き刺して、クロノスモードを発動させた。
「あのオートスコアラーはあたしが止める。この施設が壊れて困るのは向こうも同じだから、火力は抑えるはずっ!」
「わかった。確かに相性はお前のほうが良さそうだ。そっちは任せよう」
キャロルとあたしは戦う相手を分けて彼女らに立ち向かった。その間にエルフナインは未来の儀式を解除しようと動く。
「…………」
無言でビームを放つグロリア。フィーネがいればバリアが張れるけど……。
――
あたしはグロリアの攻撃を相殺することを選んだ。
高出力の雷撃エネルギーがビームとぶつかり互いに打ち消し合う。
「神の力は無敵……、動かしているヤツも見つからない。厄介ね……」
グロリアと同種の攻撃を繰り出し相殺して、なるべく辺りに影響がないように、と気を使いながら戦うが、このままだと前回のようにジリ貧になるのは目に見えていた。
そんなときである。キャロルの方で大きな動きがあった。
「捕まえたであります!」
「「哲学の迷宮でぇぇぇ!」」
キャロルが青色に光るブロックのようなモノに閉じ込められてしまった。
三人は今のところ《哲学の迷宮》とやらに付きっきりだが、こちらの戦力はガタ落ちだ。
一体どうすれば……。
「さぁて、フィリア! あとはお前をウチらでボコボコにするだけなんだぜ!」
「わたくしめらの恨みを受けるであります!」
ミラアルクとエルザが《哲学の迷宮》を発動させつつこちらに向かって、攻撃を仕掛けようとする。
くっ、躱さないと……。
「あ〜ら、フィリアちゃん。どこに逃げようとするのかしら? ドクターを連れて消えたあの日から、あなたを消すことだけを考えてたのよ……。ドクターを殺したのもあなたなんでしょう?」
ヴァネッサはあたしを羽交い締めにして、動けなくする。
「はぁ? あの大馬鹿者を殺そうとしたのは、訃堂でしょ! あたしを恨むのは筋違いよ!」
「黙れ! そもそも、あなたがドクターに色香を使わなければっ! こんなことにはならなかった! エルザちゃん、ミラアルクちゃん、やっちゃいなさい!」
ヴァネッサの指示で二人はあたしに向かって容赦のない攻撃を加えようとした。色香って、あたしがゲイル博士を誑かしたみたいに言わないでよっ!
しかし、その瞬間である。《哲学の迷宮》は大きな爆発とともに砕け散りあたしを含めて全員が吹き飛ばされる。そして、キャロルは平然として出てきたのだ。
「ばかな……、どうやって迷宮を……?」
ヴァネッサの表情は信じられないというものだった。
「オレはただ歌っただけだ……」
キャロルは憮然とした表情でそう答える。
「歌でありますか?」
エルザがそれに対して復唱する。
「ああ、オレの歌はただ一人で70億の絶唱を凌駕する……、フォニックゲインだ!」
通信からは、このキャロルのフォニックゲインに当てられて装者たちがXDモードを発動させたみたいだ。
よし、流れがきている。
――ループ・ザ・ワールド――
あたしはキャロルの消費した想い出を戻した。
さすがに今の出力はちょっと無理をしたようで、糖分の分解で補えない部分があったからだ。
「今のうちにエルフナインは未来の元へ!」
あたしは今が好機と読んで、エルフナインを未来の元へ向かわせた。4体のオートスコアラーと共に。
「行かせないであります! がはっ」
「ぐふっ」
「がっ……、グロリアがっ……」
なんと、突然、グロリアがヴァネッサたちを攻撃し始めた。
容赦なく、殺す気で……。
「訃堂ぉぉぉぉっ! 裏切ったわね……!」
血塗れのヴァネッサが吠えたが、グロリアは無慈悲な攻撃を浴びせようとエネルギーを充填していた。
「――英雄登場ッ! この瞬間を待ってましたよ! あなたが馬脚を現す瞬間をっ! 風鳴訃堂!」
突如ウェル博士の声が聞こえたかと思うと、ネフィリムの右腕がグロリアの元まで伸びていき、これをゴクリと丸呑みをしてしまった。
いや、いくらネフィリムでも神の力をもつオートスコアラーを吸収するなんてこと――。
「ドクターがウチらを助けに来てくれたんだぜ!」
「さすがはドクターであります。わたくしめらの英雄……」
「遂に計画を実行できたのですね! ドクター!」
ヴァネッサたちがウェル博士を称賛したその時である。
ネフィリムの右腕が破裂して、中から金色に輝く腕が出てきたのだ。
この腕は見覚えがある……、響のガングニールだ……。
「くっくっく。神殺しはもう一つあったのですよ! あのとき、僕のネフィリムが立花響を食らった、その瞬間から――! そして、この腕はネフィリムの力と融合し、聖遺物を食らう力と神殺しの力を併用出来るようになった。グロリアのエネルギーはすべてこの中にあります。神を殺し、その力のすべてを吸収しましたから」
ウェル博士は右腕を再生すると、自らの左腕を引きちぎって響の左腕をくっつける。
右腕がネフィリム、左腕がガングニールとなったウェル博士から感じられる威圧感は今までに感じたことのないほど凄まじいモノとなっていた。
戦闘になると面倒なことになりそうね……。クロノスモードの可動時間も長くないし……。
「ドクター! 命じてください! ともにこの子たちを蹂躙せよと!」
ヴァネッサもウェル博士の凄まじい力を目の当たりにして、調子付いてきた。
「いえ、引きますよ。皆さん。もはや、訃堂の目的に加担する意味はありませんから。むしろ邪魔してもらった方が得策です」
「しかし、フィリアはっ! ウチらにとって大事なっ!」
「ミラアルク……、いいでしょう。では、その素敵な方のために死んで下さい。僕は構いませんよ。君が人間に戻れなくても……」
ウェル博士はテレポートジェムを片手にそんなことを言っている。あの目は本気だ。ミラアルクのことなんか、彼はどうとも思っていない。
「すまなかったんだぜ、ドクター……。見捨てないで欲しいんだぜ」
「ミラアルクちゃん。気持ちはわかるけど、ドクターにわがまま言っちゃだめよ」
「撤退する……、であります……」
ヴァネッサたちとウェル博士はテレポートして消えてしまった。
「引いたか……。どうやら連中は風鳴訃堂と対立するみたいだな。まぁいい。オレたちはエルフナインを追うとしよう」
「ええ……、急ぎましょう」
あたしとキャロルはエルフナインを追って未来が捕らわれている場所へ進んだ。
エルフナインの元に辿り着いたとき、彼女の顔は青ざめていた。
「どうしたの? エルフナイン……。何か不具合でも起きたの?」
あたしがそう尋ねるとエルフナインは頷きながらこう語った。
「キャロル、フィリアさん、違ったんです。依代となった未来さんに力を宿してるんじゃない……」
そう彼女が口にしたとき、未来の体が光となって消えていってしまった。
「大きな力が未来さんを取り込むことで……!」
「未来自身が神に体を乗っ取られてしまう……。まさか……!」
エルフナインの言葉にあたしはそう反応する。
じゃあ未来は今ごろ……。
「上に居るのだろうな……。どれ、見てみるか……」
キャロルがシャトー上空の響たちの様子を写しだした。
予想通り未来は上空にあるシェム・ハの幼体の中に居た。そこに響が猛スピードで突っ込んでいる。
『未来ぅぅぅッ!』
響が未来に手を伸ばすが彼女はシンフォギア? いや、ファウストローブを身に纏い、彼女の手を避けた。
『遺憾である。我が名はシェム・ハ。人が仰ぎ見るこの星の神が、我と覚えよ』
冷たい目をした未来は自らを、シェム・ハと称して、海の中に落下した響を見下ろしていた。
その姿は確かに神を彷彿とさせる神々しさがあった。
しかし、そのシェム・ハはすぐに苦しみだした。
『不遜である。人ごときが我を支配するなどと……。ぐっ……』
シェム・ハが覚醒した未来の体から白い光が溢れ出した。あれは、アロンの杖の光……。
『…………』
シェム・ハの目から光が消えたかと思うと、背中に翼が生えてそのままどこかへ飛んでいってしまった。
さらに、それを追うような形で翼も飛び去って行った。彼女は任務として追い掛けたのだろうか……? いや、どうやら独断らしい。
あたしたちの未来の奪還作戦は予想外の出来事が頻発して、失敗してしまったのである。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「先輩……」
クリスは憂鬱そうな顔でそう呟いた。
「やはり、一連の事件を操っていたのが風鳴機関だった」
「知っていて翼さんを止められなかったのは情けないデスよ」
調と切歌はあの瞬間に翼の暴走を止められなかったことを悔いているようだ。
「それでもあたしは信じてる。不器用なあの人に裏切りなんて真似、出来るものか」
「私だって疑ってない!」
「翼さんは大切な仲間デス!」
クリスの言葉に二人は同調した。そのとおり翼は裏切ってなどいない。
「翼はおそらく精神的な洗脳を施されていたに違いないわ。エルフナインはミラアルクに変なことをされて、チフォージュ・シャトーを動かしたのでしょう?」
「ええ、おそらくは、あの魔眼が原因です……」
あたしはエルフナインに翼が変な行動をとった原因を確認する。確か、ライブ会場でミラアルクに何かされていた。
その時、あたしの通信機に連絡が入った。マリアも同時に何か入ったみたいだ。
「招集、至急発令所まで」
書かれていた内容はこんな形だった。
あたしとマリアだけなのは、何故なんだろう……?
「お呼びでしょうか」
「あたしとマリアだけって、何があったの?」
マリアとあたしが招集に応じた。
「すまないな、君たちを急に呼び出して……」
『さっそくだが君たちに新たな任務の通達だ』
弦十郎がそう言葉を発したのとともに、モニター越しで八紘が話を始める。
どうやら、新しい任務のようだ。
「かねてより進めていた内偵と政治手段により、風鳴宗家への強制捜査の準備が整いました。間もなく執行となります」
「なるほど、あの狸ジジイにひと泡吹かせられるのね」
「フィリアくん!」
緒川の言葉にあたしが反応すると弦十郎が少しだけ大きな声を出した。
「そうよ。風鳴宗家って、あなたたちや翼の……」
「そうだ。もはや一刻の猶予もない」
『風鳴訃堂自ら推し進めた護国災害派遣法違反により日本政府からの逮捕依頼だ。状況によっては殺害の許可も降りている』
弦十郎と八紘は本気で風鳴訃堂を押さえるつもりだ。しかし、殺害って……、穏やかじゃないわね。
「殺害って! それは翼に対しても?」
「服務規定違反によって謹慎中の響さん並びに、未成年スタッフに任せるわけにはいかないと判断しました。そこで、マリアさんとフィリアさんに……」
緒川の言葉はマリアの言葉を肯定するように聞こえた。そんなバカな任務、認められないわ。
「任務とはいえ承服出来ないわ。刃の下に心を置くってそういうこと? 違うわよね? どんな理由があろうと、家族が家族を殺すなんて間違ってる。私は翼を引きずってでも連れて帰る為に同行させてもらうわ! フィリアだって、そうでしょ?」
マリアは凛々しくも厳しい顔付きで弦十郎たちに意見し、翼を連れて帰ると明言した。
「もちろんよ。あたしだって翼を取り戻したいし、傷つけるつもりはない。だけど、司令。下手したらシェム・ハなどの神の力とぶつかる恐れがあるけど、あたしとマリアだけで十分なの?」
あたしは司令に戦力の少なさについて話をした。
「ああ、それはオレも懸念していた。しかし、サンジェルマンくんたちや、キャロルくんたちは、あくまでも協力者。今回の件はその範囲外だ。だから、S.O.N.G.の正式な一員となった彼女にも同行を願う」
弦十郎がそう言ったとき、ドアが開き彼女が入ってきた。
「弦十郎くんに頼まれたら仕方ないわね〜。あなたと一緒に戦うことになんて思ってもみなかったわぁ」
フィーネは楽しそうに微笑みながら弦十郎にそう言葉をかけた。
こうしてフィーネを加えたあたしたちは風鳴本家に訃堂を確保するために入ることになった――。
いつの間にか、ウェル博士がとんでもないことになってしまいました。
そして、風鳴訃堂逮捕へ動くメンバーは原作に加えてフィリアとフィーネが参戦します。
次回もよろしくお願いします!