【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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今回は風鳴本家での戦いです。
それでは、よろしくお願いします!


I am a friend

『認証――承認』

 

「開門。私の権限のおけるセキュリティは解除可能だ。速やかに風鳴訃堂。および帯同者の逮捕、拘束を――」

 

 八紘が風鳴本家のセキュリティを解除して門を開く。黒服のエージェントたちが中に入るが、アルカノイズたちがそこに触手をのばしてきた。

 

「はぁ、随分な歓迎じゃなぁい。せっかく弦十郎くんの実家に挨拶に来たっていうのに……」

 

 フィーネがバリアを張ってエージェントたちを守る。この反応の速さは、肉体を手に入れたからなのかしら?

 

「すまない……、了子くんっ……! まさか……」

 

「アルカノイズが……」

 

 弦十郎と緒川がアルカノイズの存在に少なからず驚いていた。彼らは強いけど人間だから、アルカノイズに触れたらアウトなのよね……。

 

「コード、ファウストローブ……」

 

「はっ! ここは私とフィリアがっ!」

 

 マリアはシンフォギアを纏い、あたしはファウストローブを纏って応戦する。

 

「いいか、マリアくん。アマルガムは……」

 

「わかってる! 私だって謹慎はごめんよ」

 

「頼むぞ。これ以上の横紙破りはS.O.N.G.の国外退去に繋がりかねないのだ」

 

 弦十郎と八紘はマリアに釘を刺して先に進んだ。謹慎か……、あたしは次にやらかしたら謹慎じゃすまないだろうな。

 

「じゃあ、後は若い二人に任せましょう。あっ、私も今は若かったわー」

 

「人の体使ってはしゃがないで。恥ずかしいわね……」

 

 フィーネにひと言声をかけてあたしはアルカノイズを駆逐する作業に向かった。

 

 

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

「もう少しで、全部倒せそうね……」

 

 マリアとあたしがアルカノイズをほとんど全滅させたとき、大きな音ともに障子が吹き飛んできた。

 

「何っ!?」

 

 あたしたちが音のする方向を見ていると弦十郎と訃堂が戦っている。

 フィーネは手を出していないところを見ると、弦十郎は彼女に手出しをしないように言ったのだろう。

 

「司令!」

 

「あの老人、やっぱり普通じゃなかったか……」

 

 訃堂のあの覇気は老人だとは思えない……。ていうか、弦十郎と戦える人類がいるなんて……。

 

「――っ!? マリアっ! 伏せなさい!」

 

「フィリア!? ――はっ!」

 

 こちらに飛んでくる斬撃をあたしは仕込み刀で受け止めて、屋根の上に目をやる。

 そこには、翼が立っていた。

 

「マリア……、悪いけど下がってて。この子はあたしが……! 翼、目を覚ましてもらうわよ!」

 

「ほざけフィリア! 私の目はハッキリと覚めている!」

 

 あたしの刃と翼のアームドギアがぶつかり合う。

 去年もこうやって喧嘩したっけ。あのときは翼が響にギアをぶつけようとしたんだったな……。

 

「へぇ、その割には剣筋が鈍ってるわよ。迷ってるんじゃない?」

 

「くっ――。この国のために神の力を与することこそ、防人の務め! フィリアこそ、風鳴の名を持ちながら、国の防衛に仇を成すとはなんのつもりだっ!」

 

 翼の多彩な技があたしに向かってくり出される。あたしはそれを躱したり、受けたりしながら翼の目を見る。

 

「あたしは風鳴以前にあなたの友人よ! 風鳴翼! 不器用だけど、どこまでも真面目で、歌が誰よりも好きなあなたのね!」

 

 あたしが翼にそう声をかけた時――。

 

「戦場で甘言を抜かすなぁぁぁぁッ!」

 

 翼のアームドギアはあたしの刃を砕き折った――。

 

「防人としての自覚無き剣に私が負けるはずなかろう! ――がはっ!」

 

「こっちが武器を失ったと見ると、もう油断? 甘いわね! 今のあなたには剣なんて要らないわよ。(これ)だけで十分なんだから!」

 

 あたしは武器が折れてもお構い無しで、翼の腹をめがけて一撃を放つ。

 

「あなた、いつからそんなに余裕が無くなったのよ? 気が付いてるでしょう? 守る力がある自分を保つために大きな力を得ようとしてることに……」 

 

「うっ……! そっそれは……」

 

 翼の剣技がさらに鈍ってきた……。

 

「ここまで、一人で来たような顔をして! あなたの体に流れるのは防人の血だけだとでも言うの!?」

 

 あたしは翼のアームドギアを側面から殴りつけて、吹き飛ばした。

 

「私の体に……?」

 

 翼はハッとしたような表情を見せ、頭を振った。

 

「そうだ、私の体に流れるのは――」

 

「そう、あなたに流れるのは――」

 

「「天羽奏の生き様そのものッ」」

 

 あたしの拳と翼の拳が激しくぶつかり合った。

 翼が人を守りたいと願って戦う理由の一つは奏が守ってきた未来と守るはずだった未来を守るためだ。

 

「だが、私一人の力は非力だ……。防人、防人と馬鹿みたいに繰り返してるのに……、あなたや奏みたいに強くなれないのよ……」

 

 翼は変身を解いて泣きそうな顔でそう言った。

 

「バカね……、何度も言ってるでしょ。だったら頼ればいいじゃない。あなたの片翼はもう奏だけじゃない。あたしもマリアも、みんなもあなたの翼になれる。一緒にどこまでも翔んで行けるわ」

 

 あたしは翼に頼られたいし、困ったら彼女に頼りたい。前は一人で戦っていたあたしたちはもう一人じゃない。

 

「翼、私たち一人ひとりの力は小さいかもしれないけど、歌を重ねればそれが大きな力になる。一緒に歌ったあなたならそれがわかるはずよ……」

 

「マリア……、私は――」

 

 マリアの言葉に翼が返事をしようとしたその時である。

 強烈な爆発音が鳴り響き、弦十郎が訃堂によって蹂躙され地面に大きなクレーターを作り打ち倒されてしまった。

 

 まさか……、弦十郎が……、負けた……? そんなバカな……。

 

 

 

「わしを殺すつもりで突いていればあるいは……。とことんまでに不肖の息子よ」

 

 老人だということが信じられないぐらい筋骨隆々の体格……。ひと目でわかる。こいつは化物だ……。

 

 あたしじゃなきゃ……、勝て――。

 

「儚きかな。人形風情がわしをどうにか出来ると思い上がりおる――」

 

 気付いたときにはあたしは訃堂によって上半身と下半身が分断されていた――。

 

 バカな……。ファウストローブを使ってるのよ!?

 

「風鳴の道具として役に立つから飼ってやったものを! わしが廃棄してや――」

 

「ウチの娘に何してくれてんのよっ!」

 

 フィーネが訃堂の背中を蹴り飛ばしてくれたおかげであたしは訃堂のニ撃目を受けずに済んだ。

 

「ふん、終焉の名を持つ巫女か……。お前の相手は別に用意してやろう」

 

 訃堂が腰に帯同していたアロンの杖を掲げると、赤い光が建物の中から空に向かって照射され、光の中から未来の体を支配しているシェム・ハが現れた。

 

「…………」

 

 シェム・ハは無言でフィーネに向かってビームを放ってきた。

 

「なるほど、あの方と同じアヌンナキだけはあるわねぇ……。これは強烈っ……!」

 

 フィーネの多重バリアはことごとく粉砕されて、彼女はかろうじてビームを避けることは出来たが、地面に底が見えないほどの穴が空いた。

 

 弦十郎より強い訃堂も居て、さらに神そのものであるシェム・ハまで彼の傀儡となっている……。

 

「しょうがないなぁ。私も切り札を使っちゃおうかしら?」

 

 なんと、フィーネは白衣のポケットからギアペンダントを取り出す。

 そして――。

 

「phili joe harikyo zizzl……」

 

 フィーネの唱えた聖詠は、フィアナのものと同じだった。

 浄玻璃鏡のシンフォギアを彼女は纏う。

 

「櫻井女史がっ!」

 

「シンフォギアをっ!?」

 

 翼とマリアは驚いた顔をしてフィーネを見ていた。もちろん、あたしも驚いた。

 

「そりゃそうよ。これは私の実験用に作ったプロトタイプの最初のシンフォギア。私のクローンのフィアナちゃんに適合するのは、私に合わせて作ったからなの」

 

 フィーネはあたしの体にシンフォギアを纏わせた。それならば、あたしってよっぽど適性がなかったのね……。

 

「さて、試運転させてもらうわよ……!」

 

 フィーネが人差し指をシェム・ハに向けると、球体状のアームドギアが次々と分裂して彼女を取り囲み――一斉に紫色の光線を繰り出した。

 

 風鳴本家は光線を受けてまたたく間に崩れ落ちる。

 

「ちょっと、やり過ぎよ! あの体は未来のものなのに!」

 

「大丈夫、大丈夫! 神の力を持ってる彼女にこの程度の攻撃……」

 

 フィーネがそんなことを言ってるうちに爆煙の中から巨大な光弾が放たれて、こちらへと飛来してきた。ちょっと、これは周辺への被害もただじゃ済まないわよ。

 

「コード、クロノスモード……」

 

 ――神ノ息吹(ゴッドブレス)――

 

 飛来してくる巨大な光弾を、あたしは分解エネルギーを凝縮した一撃で相殺する。

 

「訃堂のアロンの杖さえ奪えばシェム・ハの力をコントロールして未来を助けられるかも知れない!」

 

 シェム・ハを放置するとこの辺り一帯が焼け野原になる。その前に訃堂から杖を奪わないと……。

 

 そう思ってると、あたしとフィーネに狙いを定めたシェム・ハは次々とこちらにビームを放ってきた。訃堂のやつ、あたしたち二人をシェム・ハに釘付けにするつもりね……。

 

 

「わしの元へ来い、翼! 防人ならば、風鳴の血が流れているならば!」

 

「出来ません。もはや何を力と変えて立ち上がればいいのかわかりません」

 

 翼はそう言って訃堂を拒絶する。

 

「刻印――起動!!」

 

「――私は……、もう……」

 

 しかし、翼はもう洗脳が解けており、何も効果がなかったみたいだ。

 

「お前もまた……、風鳴の面汚しか……。この親不孝者めが!」

 

 訃堂は翼に向かって銃弾を放った。まずい、生身の翼に銃弾が当たったら……。

 

 しかし、銃弾は飛び出してきた八紘によって阻まれた。

 

「あっ……」

 

「あ……、ああ……、お父様!」

 

 しまった、八紘が撃たれてしまった。治療をしないと――。しかし、ここを離れるとシンフォギアを纏ってるとはいえフィーネが……。

 

「ふん。ここにもまた愚息がおったか」

 

「どうして、お父様が……」

 

「くっ……。私以外の男に、お前の父親面などされたくなくてな。――がはっ」

 

 翼は八紘に庇われて困惑して涙が目から溢れそうになっていた。 

 

 

「フィリアちゃん、もう一段階ギアの出力を上げられるわ。それで、何とか耐えてみせる。八紘くんを助けてあげて」

 

「ええ……、わかったわ……」

 

 あたしはフィーネの言葉を受けて八紘の元へと急いだ。

 

「翼。人は弱いから守るのでは、ない。人には守るべき価値があるからだ。それを忘れるな……」

 

「あぁぁぁぁっ! お父様ぁ!」

 

「どきなさいっ! 翼! 手遅れになる前に!」

 

 あたしは時を止めて瞬時に移動し、八紘の体に触れる。

 

 ――ループ・ザ・ワールド――

 

 間一髪……、彼の命が尽きる直前に彼の体の時を巻き戻すことが出来た。

 

「翼……、フィリア……、私は生きている?」

 

「叔父様の体の時を巻き戻しましたの。翼――今ですわ。叔父様にあなたの、今のあなたの歌を聞かせてあげてくださいまし……」

 

 あたしは翼に歌を思う存分歌うように促した。

 

「フィリア、その口調をやめろと何度言えば……。お父様、私はまだまだ未熟で分からないことだらけです。それでも、私の歌を聞いてください!」

 

 翼は歌うと宣言した。八紘の前だと、もうこの口調がクセになっているから我慢してほしい。

 

「逝き損ねたか! しかし、蘇ったところで同じこと! もう一度……」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron……」

 

 翼はギアを纏って、訃堂と戦い始めた。

 

「フィリア! ここは、私に任せて櫻井女史を!」

 

 いつもの覇気が戻った翼は訃堂に引けを取らない戦いをしていた。

 これは――また、この子はひとつ強くなったみたいね……。

 

 

 

 あたしはシェム・ハの猛攻を一人で抑えているフィーネの元へ戻った。

 

「八紘くん、無事で良かったわね……」

 

「あなたが無事じゃないじゃない。ほら、傷を治しとくわ」

 

 フィーネはシンフォギアを纏った状態とはいえ、神の力をディバインウェポンやグロリアとは比較にならないほど発揮するシェム・ハにかなり傷付けられていた。

  

「ありがと、フィリアちゃん。あーあ、かっこいい所見せたかったんだけどなー。ちょっと相手が悪いかも……」

 

「あたしたちは翼たちを信じて出来るだけ時間を稼ぎましょう」

 

 あたしとフィーネはシェム・ハの猛攻に耐えていた。

 

「未来っ! 目を覚ましなさい!」

 

 あたしはシェム・ハの攻撃をいなしながら未来に何度も呼びかけた。しかし全く反応がなかった……。シェム・ハ自体の意思も無いから全てが遮断されているのかもしれないが……。

 

 クロノスモードの維持時間も残り僅か……。

 

 

 あたしが焦りを感じたとき、なんと翼がアマルガムを発動させる。

 彼女は訃堂を圧倒して、彼の剣を砕き、アロンの杖が吹き飛んだ――そして――。

 

 

「そこまでだ、翼。お前を鬼と堕としてしまえば、俺はそこで何とか命を拾ってくれた兄貴に顔向けが出来ん」

 

 翼が訃堂にトドメを刺そうとしたところで弦十郎が割って入って彼女を修羅に落ちそうになった彼女を止めた。

 

「司令! アロンの杖を早く!」

 

 あたしはアロンの杖の回収をするように弦十郎に向かって叫んだ。

 

「好機なり……。我は自由を得たり……」

 

 しかし、弦十郎が反応するよりも早く……。シェム・ハがアロンの杖に向けて赤いビームを放ち、杖は粉々に砕け散ってしまった。

 

「やられたわね。虎視眈々と狙ってた。杖が訃堂の手元を離れて自分へのコントロール権が失われるのを……」

 

「ほう、滑稽である。賢しいフリをするではないか。我に踊らされただけの哀れな巫女よ……」

 

 フィーネの言葉を聞いてシェム・ハは彼女にそう言い放つ。

 何を言ってるの? このシェム・ハはフィーネを知ってる?

 

 完全に意識を取り戻したシェム・ハ……。

 彼女の真の力は先ほどまであたしたちが戦っていたモノとは比べ物にならないほど大きなモノだということをまだ、あたしたちは知らなかった。

 

 全世界の未来を懸けた戦いが始まろうとしていた――。

 




原作の9話のマリアは超カッコ良くて、あの感じを超えるのは無理と判断して翼の説得はフィリアに任せました。
彼女は一番翼と付き合いが長いから適任かと……。
そして、唯一のオリジナルシンフォギアはフィーネが纏う感じで落ち着きました。プロトタイプという言い訳つきです(笑)
これで、残りの敵はヴァネッサたちとウェル博士、そしてシェム・ハになりました……。
ここから、最終回まで突っ走りますので、よろしくお願いします!
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