【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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ラスボス登場です。
今回はちょっと時間がなくて短めですが、よろしくお願いします!


シェム・ハ

 

「私を踊らせただと? もしや……! 貴様、あの方に何をした!?」

 

「じれったい。道具の用いる不完全な言語では全てを伝えるのもままならぬ」

 

「どういうことだ?」

 

「もはや分かり合えぬということだ。ああ、それこそが忌々しきバラルの呪詛であったな」

 

 フィーネの問いにシェム・ハは答えず、光の球体を彼女に向かって放ってきた。

 

「――何っ!? はぁぁぁぁっ! ああっ!」

 

 フィーネは光の球体をバリアを張って防ごうとしたが、バリアは粉々に砕け散った。

 

「ふっ、非力なり。所詮は多少長生きしただけのパーツの一欠片……。我に仇なすに能わず……」

 

 シェム・ハがさらに腕を振り下ろすと、赤色の長い刃が超速でフィーネの右肩から下が切り落とされた。

 

「ぐっ……! 貴様っ!」

 

「了子くんっ!」

 

 フィーネは苦悶の表情を浮かべ、弦十郎は

 

「落ち着きなさい! すぐ治せるわ……。クロノスモードはもうそろそろ、限界だけど……」

 

 あたしはフィーネの腕を時間を戻して再生させる。ネフィシュタンの鎧無しだとこういう所は人間的よね……。

 

「ほう、驚愕だな。摂理に叛逆する力か」

 

 シェム・ハはそう言いながら、私に向かって光の球体を次々と放ってきた。

 

「ちっ! 司令、至急撤退を! このままだと、抑えきれない!」

 

 あたしは錬成陣からエネルギーの球体を繰り出して相殺しようとした。

 

「この体を傷付けまいと、手ぬるいことを……。まあ良い」

 

 シェム・ハは腕を振り上げると赤い光が再び舞い上がり、地面から謎の物体がせり上がってきた。

 岩のような物に血管のように赤い管が張り付いてる……。あれは一体?

 

 それとほぼ同時に、あたしのクロノスモードはついに解けてしまう。

 

「まさかこれは、ユグドラシルシステム……? 貴様の目的は……!?」

 

 フィーネは謎の物体を見つめてユグドラシルシステムという言葉を使った。彼女はこれを知っている?

 

「知れたこと。すべての生けるものを完全なるものに改造する。それこそが我の理想よ」

 

 こいつ、何をトチ狂ったこと言ってるの? 改造って……、このユグドラシルシステムとか言うのが、そのための装置ってこと?

 

「人形、お前だけは些か邪魔だな」

 

 シェム・ハはあたしに向かって銀色の光線を放ってきた。

 ちっ、エネルギーが不足して動きが鈍い……。

 

 

「フィリアはやらせない!」

 

 マリアはアガートラームでシールドを展開してあたしを守ってくれた。

 しかし、弾かれた光線は辺り一面を銀に変質させる。

 

「埒外の物理法則……。物質を無理やり変質させるなんて……。錬金術とはわけが違うわ……。言うならば哲学兵装に近いっ……!」

 

 あたしはシェム・ハの起こした驚愕の現象について分析した。

 

「哲学兵装……、シェム・ハ……、言葉の力……。まさか!? あの御方がバラルの呪詛を撒いたのは!?」

 

 フィーネは辺り一面に広がった銀色の景色と、シェム・ハを交互に見つめてハッとした顔をした。

 

「白痴だな。今さらエンキの真意に思い及ぶとは……」

 

「――っ!?」

 

 フィーネは声を失い……、変身が解けてしまう。

 バラルの呪詛はシェム・ハと関係があるみたいね。

 

「マリア! フィーネ! あたしたちも引くわよ!」

 

 あたしはクロノスモードが解けて、フィーネもシンフォギアが解けている。

 シェム・ハは神の力の持ち主で、その上、未来の体を使っている。

 このまま戦うのはどう考えても得策じゃない。

 

 あたしたちは目で合図をすると、そのままシェム・ハに背を向けて撤退ようとした。

 

「人形、お前は逃さぬ……」

 

 シェム・ハはあたしに赤色の刃を伸ばしてきた。ちっ……、仕方ない……。

 

 ――一刀火葬(イットウカソウ)――

 

 あたしは腕を千切り赤色の刃に向かって投げた。

 ミラージュクイーンを媒体とした腕は刃に刺さった瞬間に灼熱の炎を放ちながら大爆発する。

 爆炎に身を隠しながらあたしは戦線を離脱した。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「全ての調査、聞き取りは完了した。現時刻をもって行動制限は解除となる」

 

 翼は緒川によって手錠を外される。

 

「調査と聞き取りだけ? あの、アマルガムの不許可使用についての処断は?」

 

 翼は不思議そうに腕を見つめる。

 

「翼が発動させる直前、使用許可が下りていたのよ。八紘叔父様がずっと推し進めていたみたいだわ」

 

 そう、八紘は裏であたしたちの為に心労を注いでいた。そのおかげであたしたちは最大戦力で戦いに臨むことが出来るようになった。

 

「お父様が!?」

 

 翼は驚いた表情をしていた。

 

「フィリアくん、兄貴が君に礼を言っていたぞ。三途の川が見えていたらしいからな」

 

「私からも礼を言わせてくれ。お父様を助けてくれてありがとう。私はお前に刃を向けたというのに……」

 

 弦十郎と翼に揃って礼を言われる。別に礼を言われる為にやったわけじゃないんだけど……。

 

「翼、あたしたちは友達でしょう。喧嘩もすれば、助け合いもするわよ。月並みだけど、あたしはあなたとそれが普通な関係になりたいわ」

 

「――ふっ、喧嘩か。そうだな。ずいぶんと派手にやってしまったが。確かにお前と拳を合わせたとき、妙にスッキリしたよ」

 

 翼は憑き物が落ちたような顔をして、少しだけ微笑んだ。

 

 そのとき、司令室のドアが開く。

 

 

「翼さん!」

 

「立花か……、その……、私は……」

 

 翼はさすがに気まずそうな顔をしていた。

 

「全部聞きました。未来のことも……。正直、今はまだ頭の中がぐちゃぐちゃで混乱しています。だけど、一つだけはっきりしているのは、翼さんが帰ってきてくれて本当に良かった。嬉しかった」

 

 響はまっすぐに翼を見つめてはっきりと声を出した。響の言葉に嘘はない。彼女はいつだって人を肯定的に捉えることができる。

 

「そうか……、心配かけてすまない」

 

 翼はそんな彼女に頭を下げていた。

 

「わからないことはこれから考えていきたいです。だから明日や明後日、その先のこれからを、また一緒に」

 

「あなたと私、また一緒に……?」

 

 響の言葉をキョトンとした顔で受け止める翼。そして、彼女は差し出された手を見つめて、少しだけ迷っていた。

 

「あたしら全員このバカと手を繋いで来たんだ。先輩だけ無しだなんて許さねえからな」

 

「あたしたちなんて、一緒に手を繋がされたもんね。クリス」

 

「バカッ! 恥ずかしいこと思い出させんじゃねぇ!」

 

 クリスの言葉にあたしが反応すると、彼女は顔を赤らめて大声を上げた。

 

「一緒に戦ってください」

 

「そうだな。立花も私の戦友(とも)になってくれ」

 

「あはっ! 翼さん、これからもよろしくお願いします!」

 

 響の言葉に彼女は応えて、手を握る。

 

 奏……、あたしはあなたとの約束を半分だけしか守れなかったわ……。

 でも、あなたが守った(いのち)は――彼女の中の闇を照らす光になってくれた――。

 

 あなたのおかげよ……。これからも見守っていて……。あたしたちは、不器用なりに前に進むから……。

 

 

 

 

「ところで、エルフナイン。例の計画は進んでいるのかしら?」

 

 あたしは翼の話が落ち着いた後に彼女に話しかけた。

 

「はい。現在、櫻井先生を中心にボクたち錬金術師も技術を出し合って、間もなく実用可能になるはずです」

 

 エルフナインはあたしに進捗状況を伝える。

 

「おい、フィリア。例の計画って何なんだ?」

 

 クリスがあたしとエルフナインの会話に割って入った。

 

「えっ? あなたたちが月に行く計画だけど……」

 

「「ええーっ!」」

 

 あたしの言葉に装者たちは驚きの声を上げる。

 

「フィーネによれば、ユグドラシルシステムとは《惑星環境改造装置》というものらしいんだけどね、それを使ってシェム・ハが何をしようとしてるのか……、その謎を解き明かし防ぐ方法の鍵が月の遺跡にあるかもしれないのよ。だけど彼女は一度やらかしてるから月に行く許可は下りなかった……。だから調査に行くのはあなたたち、シンフォギア装者ということになったのよ」

 

 あたしは彼女たちに月探索の目的を伝えた。

 

「リア姉、月なんてどうやって……? まさかロケットでも飛ばすんデスか?」

 

 切歌は至極まっとうな質問をした。さすがは常識人。

 

「テレポートジェムを使うわ。月の遺跡内に潜入するためには、乗り超えなきゃいけない壁が多いけど何とかなりそうよ……」

 

「しかし、ユグドラシルが可動してる今……。それを放置しておくのは……」

 

 翼があたしに懸念材料である、ユグドラシルについて言及した。

 

「そうね……。だから、余剰戦力としてあたしやキャロル、サンジェルマンたちやフィーネも残るのよ。シェム・ハは神の力を持っているけど、未来の体を響の神殺しで攻撃するわけにはいかないでしょう?」

 

「未来……」

 

「大丈夫よ。響……、未来は必ず助ける。あの子が居ないとあたしは寂しいもの」

 

 あたしは響にそう言葉をかけた。

 

 かくして、月に行く計画は然るべき機関が見届けなくてはならないということになり、種子島宇宙センターで実行されることになった。

 

 そして、この日……、全世界の命運を懸けた総力戦が幕を開ける――。

 

 埒外の力を持つシェム・ハ、そして神を超えたと豪語するウェル博士……。二人の野望は世界を揺るがし、あたしたちはこれまでにない死闘に足を踏み入れることとなった――。

 




装者たちは自作のテレポートジェムで月に行きます。
次回もよろしくお願いします!
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