【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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お久しぶりです。
番外編は基本的に1話で完結する感じにしていこうと思ってます。
それではよろしくお願いします!


番外編
番外編 その1


 

 

 シェム・ハとの戦いから2週間が経った……。今日は妹であるフィアナが退院そして釈放される日である。

 彼女はいろいろとやらかしてしまっていたが、大半はウェル博士の洗脳によるもので責任能力の欠如ということで不問となった。

 

 体自体はギアさえ纏わなかったら日常生活に支障のないくらいには回復した。最新鋭の錬金術と生体医学を駆使した結果である……。

 尽力してくれた、キャロルやサンジェルマンには感謝している。ウェル博士は許さないけど……。

 彼からはネフィリムとガングニールを除去されたので、普通の人間としてこれから裁かれる。まぁ、それ自体が彼にとっては一番の罰だろう……。

 

 そして、ヴァネッサたちは――。あっ、フィアナが来ちゃった。

 

「ごめんね〜、待たせちゃって。お姉ちゃんに、ええーっと、クリスちゃんだっけ? いやー、ようやくシャバの空気が吸えるわぁ」

 

 荷物を持ってフィアナはあたしと一緒に来ていたクリスに挨拶した。

 そのセリフ、あたしが釈放されたときと同じだからちょっと恥ずかしいわね……。

 

「出てきて、さっそくふてぶてしい所はお前とそっくりだな」

 

「あら、あたしはあんなにあっけらかんとしてないわよ」

 

 クリスは飄々とした態度のフィアナを見て、あたしに向かってそう言った。

 

「あははっ、やだ〜。お姉ちゃんと似てるって。当たり前じゃなぁい。双子みたいなもんなんだからぁ」

 

 それを聞いたフィアナはニコッと笑ってクリスの背中を叩いた。

 こういうところは似てないけどね……。

 

「こいつって、こんな感じのキャラだったっけ? 前はもっと刺々しい感じだったじゃねぇか」

 

 クリスは敵だったころの印象とのギャップに驚いたような感じだった。

 

「もともと、こういう子よ。こんなふうに気さくな子だったから、切歌や調もあたしよりも先にこの子に話しかけてるわ。あなただって、ほらネフシュタン時代は刺々しかったでしょ」

 

 昔からフィアナは話しやすい感じのいい子だった。悪ノリはするし、あたしにはよく挑発的な態度を取る一面はあったが……。

 だから、恋愛が絡むとあんなに厄介になるなんて思わなかった。

 それもこれも、しっかりと母親の遺伝子を引き継いだ結果なんだろう。

 

「馬鹿! あれを、時代扱いするんじゃねぇ!」

 

 あたしのネフシュタン時代という言葉にクリスが青筋を立てながらツッコミを入れる。

 

「えへへ、クリスちゃんも黒歴史があるのねぇ。じゃあ、私たち黒歴史仲間同士ぃ、仲良くしましょう」

 

 フィアナはケラケラと笑いながらクリスと肩を組もうとした。

 

「そんな同盟組めるか馬鹿! なんで、あたしを誘ったんだよ!」

 

 クリスはムッとしながらフィアナを引き剥がしてあたしに文句を言ってきた。いや、なんでって言われても……。一人だと寂しかったし……。

 

「切歌や調に会うのがやっぱり気まずいって……、この子が……」

 

「絶対にそんなハートの弱いタイプじゃねぇだろ! 大体この前、和解みたいなことしてたじゃねぇか!?」

 

 あたしが理由を話すとクリスはフィアナの方を指さして反論する。

 言われたら確かにそう思わなくもないけど……。

 

「そもそも、あたしじゃなくて、あのバカを誘えよ。こういうのだったら」

 

「ええと、響は未来と予定があったみたいだから、クリスはその代わりなのよ」

 

 クリスの言葉にあたしはそう返事をした。

 響と未来はデートなんだって! 最近は付け入るスキがないのよね……。

 

「誘ったのかよ! あたしはあのバカのバーターかっ! それはそれで、なんかムカつくなっ!」

 

 クリスは響を先に誘っていることを聞いてますます腹を立てていた。余計なこと言っちゃったわ……。

 

「あと、ついでにフィアナなんだけど、クリスの家にしばらく置いとけないかしら?」

 

「はぁ!? 頭打ったのか? お前! なんで、あたしンちにこいつを置いとかなきゃいけねぇんだ?」

 

 あたしがフィアナをクリスの家に置くように頼むとやっぱり駄目そうな反応が返ってきた。

 

「あたしの家、今、すっごく散らかってて恥ずかしいのよ」

 

 引っ越したばかりのあたしの家だが、エルフナインにキャロル、そして5体のオートスコアラーたちが割と自由に使っているので散らかっている上に手狭だ。

 フィアナが泊まるスペースがないのである。

 

「知るか! だったら、それこそ後輩たちの所か、マリアの所にでも置きゃいいだろ!? いい機会じゃねぇか。あいつらだって、コイツのこと心配してるんだから。歩み寄れよ」

 

 クリスはだったら尚更マリアたちを頼れと言ってきた。

 それが一番いいのは間違いないのよね……。

 

「うーん、切歌ちゃんと調ちゃんの所かぁ〜。まぁ、よく考えたらぁ。マリアよりは怖くないわよねぇ」

 

 フィアナも切歌と調なら会っても大丈夫かもしれないというような感じだ。

 

「クリスから歩み寄れなんて言葉が聞けるなんて、あなたも随分と変わったわね。マリアも翼もイギリスだし……、切歌たちの所に行ってみようかしら」

 

「まぁ、あいつらなら大丈夫だろ」

 

 あたしたちは切歌と調の家に向かった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「ごめんなさいね。突然、押しかけて」

 

 あたしは玄関を開けて出迎えてくれた切歌と調にそう言った。

 

「リア姉に先輩に……、あっ、アナ姉デスか!?」

 

「アナ姉、今日出てくる日だったの? 全然知らなかった……」

 

 切歌と調はやはりフィアナが共にいることに驚いているみたいだった。

 

「言い難くてねぇ。ごめんなさぁい、二人とも」

 

 フィアナは申し訳なさそうな顔をして謝る。

 思った以上に繊細にはなってるのね……。

 

「アナ姉はそんなこと気にするキャラじゃないはずデス」

 

「うん。図太さとノリだけで生きてきた人だし」

 

 そんなフィアナに対して切歌と調の感想はこんな感じだった。

 結構、辛辣なのね。二人とも……。

 

「お前、こいつらにも酷え言われようだな」

 

 クリスも若干呆れ顔でフィアナを見ている……。

 

「シクシク……。二人とも私のことそんなふうに思ってたのね〜。悲しいわぁ」

 

「絶対に嘘泣きデス」

 

 泣くような仕草をするフィアナに対して、切歌はツッコミを入れる。

 

「もうその辺にしてあげなさい。彼女なりに反省はしてるみたいだから」

 

「お姉ちゃん。やっぱり無理〜。マリアちゃんがフィーネの役をやれとかいう無茶振りされたときの気持ちがはっきりわかるわぁ」

 

 あたしがフォローを入れると、フィアナが泣きついてきた。

 あれと、一緒にされるとマリアがまた怒るわよ。

 

「アナ姉。別に私たちは怒ってないよ」

 

「そうデスよ。アナ姉がバカなことやる以前に私たちだってバカなことをやるところだったんデスから。大差ないデスよ」

 

 調も切歌もフィアナに対してとくにマイナスの感情は持っていないみたいだった。

 やっぱりこの子たちも優しいわね……。

 

「調ちゃん……、切歌ちゃん……。ホント、可愛いんだからぁ。もう、大好き!」

 

 フィアナは感極まって調と切歌を抱きしめた。

 可愛いって、あなた……。

 

「あっ、アナ姉!?」

 

「玄関先で大泣きして、抱き着かないで欲しいデスよ」

 

 調も切歌も顔を赤くして恥ずかしそうな顔をしている。

 そりゃ、外から丸見えだからそうよね。

 

「じゃっ、そういうことだから、あとよろしく」

 

 あたしとクリスはそのまま帰ろうとした。

 

「ふぇ〜〜ん」

 

「ちょっ、ちょっと、リア姉!? 何、帰ろうとしてるんデスか!? せっ、先輩も!」

 

 フィアナの泣き声と共に切歌が焦りながらあたしたちを止めようとしてきた。

 あら、ダメだったかしら。

 

「いや、フィアナの住むところがないから、ここにしようと思って」

 

「だとしても、このやり方は強引」

 

 あたしがフィアナの居場所をいろいろと有耶無耶にしながら彼女らの所にしようとしたら、調が珍しく声を低くした。

 

「固ぇこと言うなって。せっかく上手くまとまりかけてんだから」

 

「アナ姉と仲直りすることと、一緒に住むことはイコールじゃないデス!」

 

 クリスも面倒になってきたので、力押しで話を進めようとしたが、切歌も譲らない。

 押せばなんとかなると、思ったんだけど……。

 

「私たち、その最近、ええーっと」

 

「ああ、そういえば、あなたちって恋人同士になったんだったわね。忘れてたわ」

 

 調が顔をさらに赤くなったことから、あたしは大事なことを思い出した。

 

「リア姉! どうして、ここで言うんデス! というか、忘れないで欲しいデス!」

 

「いや、だって何にも態度とか変わってないのよ。響たちと一緒で」

 

 あたしは二人が恋人同士になろうと今までと何も変わってないと、ツッコミを入れる。

 

「心の中はとても変わってるよ。全然世界が違うんだから」

 

「そりゃ、おめでとさん。さすがにそこにコイツをぶっ込むのは……」

 

 調がモジモジしながら俯いてそうつぶやくと、クリスは頭を掻きながら諦めたような顔をした。

 

「そぉ? 私は構わないわよぉ」

 

「「私たちが構う(のデス)」」

 

 フィアナはそれでもいいみたいだが、やはり2人は全面的に拒否してきた。当たり前か……。

 

「ここもダメとなると……。困ったわね……」

 

「そっそういえば、マリアがしばらく日本を中心で活動をするから、こっちに拠点を移すらしいデスよ」

 

「今はイギリスにいるけど、近いうちに日本に来るんだって」

 

 あたしが腕を組んで考え込む動作をすると、切歌と調がマリアの近況を教えてくれた。

 

「なるほど。ねぇフィアナ。もう一回マリアに謝って、一緒に住もうって頼むしかないわよ」

 

 あたしはフィアナにマリアに頼むように促す。

 

「うう〜。マリアちゃんか〜。あの子が優しいのはわかるんだけど、この前も随分と絞られたからなぁ」

 

 フィアナは本当にマリアにビビってるみたいだ。まぁ、気持ちはわかるけど……。

 

「んでもよ、あん時に全部終わった話だろ? 蒸し返して何か言うってことはねぇんじゃないか?」

 

 クリスは前にマリアに会った時にフィアナと和解したことを持ち出した。

 もちろん、マリアだって鬼じゃない。絶対にフィアナを受け入れてくれる。

 しかし――。

 

「昔フィリアちゃんと一緒に、マムのムチをこっそり振ったら花が出るように改造したときは死ぬほどマリアに怒られてぇ、その後も何かある毎に言われたからなぁ。今回のことも――」

 

 フィアナは気まずそうな顔をして昔あたしたちがマムに対してやった悪戯の話をした。

 

「何やってたんだ? お前ら……」

 

 クリスはバカを見るような顔であたしたちを見る。

 

「あれは面白かった」

 

「笑いすぎて、危うく共犯扱いされるところだったのデス」

 

 調と切歌は懐かしそうな顔をしていた。今となってはいい思い出よね……。

 あまり話して欲しくないけど……。

 

「こっ、子供の頃の話よ。まぁ、最近も言われたけど……」

 

 そう、マリアが説教をするときはこの話は必ず持ち出してくる。それだけ、彼女もあのとき青ざめたのだろうが……。

 

「とにかく、マリアがこっちに来るまではお前が面倒見ろよ。姉ちゃんなんだから」

 

 クリスはあたしにしばらくフィアナをあたしの所に置くように言ってきた。

 

「うーん、それも良いけど、だったら今からマリアの家に行きましょうよ。今、ちょうどマリアが起きる時間くらいだし」

 

「はぁ? お前、何を言って……。って、それは……、テレポートジェムじゃねぇか」

 

 あたしがカバンの中からテレポートジェムを取り出すと、クリスは驚いた顔をした。

 

「月に比べたら、イギリスのマリアの家に行くのなんて簡単よ」

 

「すごーい。現代のセキュリティシステムを完全に見直さなきゃいけないね。切ちゃん」

 

「てか、異端技術の塊デスよ」

 

 あたしがこれを使ってマリアの家に行こうと提案すると調と切歌は呆れた表情をする。

 そんなに常識外れなことしてるかしら?

 

「じゃっ! 出発するわよ!」

 

 あたしはテレポートジェムを床に投げた――。

 

 

 

「ふんふーん。今日の朝食はまぁまぁの出来ね。フィリアにあとで写真を送――キャアアアアア!! えっ、何!? フィリアにみんな!? なんで!?」

 

「バカ! いきなり使うな! 巻き込むな!」

 

 マリアは突然現れたあたしたちを見て大声を上げながら、腰を抜かして驚く。

 

 このあと、彼女に今までにないくらい叱られた……。あたしが……。

 

 そのおかげなのか、フィアナはとくに何も言われることなく、マリアのマネージャーになってしばらく一緒に住む方向で話がまとまった。

 

「お姉ちゃん、私が怒られないためにワザとこんなバカなことをやってくれたのね〜。やっぱり、お姉ちゃんは優しいわぁ」

 

「まっ、まあね。当然でしょう……」

 

 マリアに死ぬほど怒られたあたしの顔は引きつっていた――。

 




今回はフィアナのその後の話でしたが、いかがでしたでしょうか?
次回もよろしくお願いします!
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