【本編完結】銀髪幼児体型でクーデレな自動人形《オートスコアラー》が所属する特異災害対策機動部二課   作:ルピーの指輪

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お久しぶりです。
今回は翼メインの話です。


番外編 その2 翼の悩みを解決しよう

「すまないな。夕飯までご馳走になってしまって」

 

 今日は久しぶりに日本に帰ってきた翼があたしの家を訪ねてきた。

 しばらくの間、日本でプロモーション活動をするらしく、ホテル暮らしではなくマンションの一室を借りたそうだ。

 

「気にしないでください。ボクたちも翼さんとゆっくりお話がしたかったのですから」

 

 エルフナインは翼に会えて嬉しそうな顔をしている。

 ちなみに今日の夕飯はオムライス。翼のオムライスにはケチャップで“防人”と書いて出したら、頭を小突かれた。

 

「そういうこと。あなたったら、シェム・ハとの戦いが終わってすぐにイギリスにトンボ帰りしちゃうんだもん。忙しないったらありゃしないわ」

 

 あの戦いが終わって、翼は今までにも増して多くの仕事を入れるようになった。

 イギリスでの活動も軌道に乗って、かなりの知名度になっているみたいだ。

 この子は着実に夢へと進んで行っている。

 

「はは、そう言うな。フィリア。もはや防人としての私は必要なくなったのだ。ならば、後は歌の力を信じて夢を追いかけるただの風鳴翼として生きていきたくもなる」

 

 翼は今が楽しいのだろう。仲間から、父親から、応援されて歌の道を突き進むことが……。

 

 フィアナからの情報によると、また近々マリアとのコラボライブも予定されているみたい。

 フィアナはマネージャーとしての敏腕ぶりを発揮して、マリアも様々なメディアに出ている。

 

 この前は日本の化粧品会社のCMの仕事を取ってきて、大ヒット。マリアが使っている化粧品は品切れが続出するという現象が起きた。

 

「でも、急に帰って来て()()()()()を今さら相談するなんて、思いもよらなかったんだけど」

 

 話を翼に戻そう。ご存知のとおり翼はある悩みを抱えている。

 そして、遂に翼はこの悩みと正面から向き合うことにしたのだ。

 

「いやあ、その……、面目ない。私だって努力したのよ。でも、やっぱり無理なの」

 

 翼は恥ずかしそうに頬を赤く染めながら、悩みごとが解決しないと言った。

 確かに翼の悩みは筋金入りだ。あたしも何とかしようと努力したがどうしても上手く行かなかった。

 あたしだけじゃない。響と未来、そしてクリスも協力して頑張ってみたこともある。

 しかし、《ノイズ》に打ち勝つよりも、翼の悩みは厄介であり、あたしたちは匙を投げるという結果になったのだ。

 

「大丈夫です。人間誰しも得意なことや不得意なことはあります。だからこそ、皆さんが手を取り合っているのではありませんか」

 

 エルフナインはだからこそ人と人は手を取り合うと口にする。

 そのとおりだ。出来ない事があっても助け合えばいい。

 だから、あたしは最後の砦として彼女にお願いしてみることにした。

 

「フン……。人類同士が手を取り合うか……。まったく、深刻な用件だと話を聞いてみたら実に下らん」

 

 そう、あたしが翼の悩みを解決出来ないかと、相談したのはキャロル。

 彼女は翼の悩みを鼻で笑っていたが、何とかするとハッキリと宣言した。

 

「キャロル、そんな言い方しちゃダメでしょ。翼だって、それなりに悩んでいるのよ。考えてみなさい。例えば、翼に彼氏が出来て初めて家に入れた時……、この惨状を見たら……」

 

 あたしはキャロルの物言いを咎めて、翼の部屋の写真を何枚か取り出してテーブルに並べる。

 

「フィリア! どうやって私の部屋の写真を!?」

 

 すると翼は驚いた顔をして立ち上がり、あたしに詰め寄ってきた。

 そんなに驚かないでもいいじゃない。

 

「えっ? あなたとマリアの部屋にはいつでもテレポート出来るようにしてるからだけど。新しく発明したこの装置なら、ボタン1つでマーキングしたポイントに移動できるわ」

 

 あたしはテレポートジェムに変わる、新しいテレポート装置を発明した。

 そして、もしもの時に翼とマリアが直ぐに招集に応じられるようにあたしの家と彼女らの部屋をボタン1つで瞬間移動出来るようにしたのだ。

 

「お前は一回プライバシーという言葉を辞書で引け! 異端技術を勝手に人の部屋に取り付けるな!」 

 

 翼は結構本気で怒っていて、今後は勝手に彼女のところにテレポートしないと約束させられる。

 そっか、テレポートには抵抗があるのか……。

 

「控え目に言って地獄だゾ」

「これは派手な戦いの後と言っても地味に信じるな」

「というより、これだけ散らかすのは逆に難しそうですわ」

「国際的なスターの部屋がこれだなんて、ガリィ引いちゃいまーす」

「こんな部屋、彼氏に見られたらあたし死にたくなっちゃう〜〜」

 

 翼のお説教を受けている間に、一緒に住んでいる自動人形(オートスコアラー)たちが口々に彼女の部屋についての感想を述べる。

 そう、翼の悩みは部屋の片付けがいつまでも出来ないということだ。

 緒川も最近は別件で忙しいらしく、かなり深刻な状況になっているみたいなのだ。

 

「お、お前ら、いつの間に!? そんなにドン引きする程のことなのか!?」

 

 翼はそのあんまりな反応にギョッと表情を浮かべた。

 まぁ、感情に乏しい自動人形(オートスコアラー)でさえ、ちょっと引いているんだから、よっぽどであろう。

 

「そういう自覚があるから、相談しに来たのでしょう?」

 

 あたしはそんな翼の背中を叩いて、自覚はあるのだろうと確認した。

 

「キャロル、それで出来たのですか? アレは……」

 

「オレの叡智をこんなツマラン話に使うのは遺憾だが、フィリアの身内の頼みとあらば聞かない訳にもいくまい。異端技術を組み合わせて最高峰の“お掃除ロボット”を作ってやったさ」

 

 エルフナインがキャロルに依頼したモノは出来ているのかという質問に彼女は胸を張って答えて、自作の“お掃除ロボット”を披露した。

 

「「おおーっ!」」

 

「名付けて“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”だ。この洗練されたデザインは少々自信があってだな――」

 

 “お掃除ロボット”――“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”は大きな歯車に紫色の髪をした少女が掃除機を持って座っているという奇抜なデザインであった。

 これは、自動人形(オートスコアラー)ではなくて、電動のロボットみたいだ。コンセントがついている……。

 

 キャロルによれば様々な異端技術により、充電さえすれば、どんな事があっても部屋を自動的に正常なきれいな状態に戻すように作ったのだそうだ。

 

「マスター、話が長いでーす」

 

「ティキに至っては寝ているんだゾ。自動人形(オートスコアラー)は眠らないのに」

 

 その説明があまりにも長かったので、ティキは狸寝入り、ガリィとミカは苦言を呈すに至った。

 

「ほーう。お前たち……、覚悟は出来ているんだろうな」

 

「待ちなさい。キャロル。ここで暴れたら“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”を翼の家で使う前にこっちで使うことになるじゃない」

 

 キャロルが二人に向かって四大元素(アリストテレス)を発動しようとしたので、あたしは慌てて彼女を止める。

 

「そういう問題か?」

 

「フィリアも地味に感性がズレているからな」

 

「でないと、マスターの友人にはなれないですから」

 

 しかし、何故だかあたしもズレている人扱いされて甚だ遺憾な気持ちになってしまう。

 

「お前たちも割と辛辣なのだな……」

 

 翼は結構口が悪い自動人形(オートスコアラー)たちを意外そうな顔で眺めていた。

 そりゃあ、人格のベースがキャロルだから仕方ないわよ。

 

「しかし、興味があります。この惨状をキャロルが作った“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”が改善出来るのかどうか――そう、錬金術的に!」

 

 エルフナインは“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”の力に興味津々みたいだ。

 実はあたしも興味がある……。あの翼の部屋の状態が本当に改善されるのかどうか……。

 

「愚問だな。エルフナイン。この程度の命題も解けないで、世界を知るなど出来ようものか」

 

「かたじけない。私の不徳の為にこのような大仰なモノまで……」

 

 自信に満ち溢れたキャロルの顔を見て翼は彼女に頭を下げた。

 かつては敵同士で戦ったこともあったが、今はこうして手を取り合っている。やっぱり、こういうのって感慨深いわね……。

 

「良かったじゃない。いつまでも緒川の世話にもなれないし。これであなたも独り立ち出来そうね」

 

「ああ! これで、私の憂いは無くなった! 世界に歌女として羽ばたいていける!」

 

「その意気よ! 翼! 頑張って!」

 

 翼は“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”を手に入れて悩みがなくなり清々しい顔をしていた。

 彼女はこれから更に飛躍していくだろう。

 

 

 数日後――。

 

 

「珍しいよね〜!? あの翼さんが自分の部屋に私たちを招待してくれるなんて」

 

「部屋を片付けられるようになったのかな? 前に手伝ったときは諦めちゃったけど……」

 

 あたしと響と未来、そしてクリスの三人は翼の部屋に招待された。

 どうやら上手く“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”を活用できているらしい。

 

「先輩がきちんと片付け? そりゃあ、全人類が手を取り合うよか、難題なんじゃねぇの?」

 

「でも、翼が気兼ねなくあたしたちを部屋に呼ぶなんて嬉しいじゃない。美味しい紅茶を手に入れたから、ケーキと一緒に楽しみましょう」

 

 クリスは懐疑的な顔をしているが、あたしはキャロルの自信作が翼を助けていることを知っているので、ケーキと紅茶を土産として購入して、部屋の様子を見ることを楽しみにしていた。

 

「さっすがフィリアちゃん。気が利く!」

 

「それにしても、立派なマンションだね。芸能人の住まいって感じ」

 

 翼の住むマンションは都内の一等地で簡単に言えば、家賃が馬鹿みたいに高そうな所だ。

 

「芸能人だから当然だろ。戦いが終わってバイクぶっ壊さなくて済んでるし、金にも余裕が出来たんじゃね?」

 

「あれ、未だにあたしも勿体無いことしてると思ってるわ」

 

 翼のバイク乗り捨ては何度か止めたほうが良いと言ったのだが、こだわりがあるみたいで絶対に止めなかった。

 

「まぁまぁ、それが翼さんだし」

 

「その一言で済ますのもどうかと思うけど……」

 

 響が軽くそれを流すことに未来がツッコミを入れたとき、巨大な爆発音があたしたちの鼓膜を刺激した。

 

「爆発音!? 何事だ!?」

 

「あそこは翼の部屋の辺り……。まさか、新しい敵が――!? 行くわよ! みんな!」

 

 翼の部屋であろう場所の窓ガラスが吹き飛んでいる様子を見て、あたしたちは戦慄する。

 あたしはファウストローブを、装者たちはシンフォギアを身に纏い、素早く翼の部屋に突入する。

 

「や、やぁ……。よく来たな。みんな……。わ、私は普通にコンセントをさしただけなのだが……。何故か爆発してしまってな……」

 

 翼の部屋は見たこともないくらい物が溢れかえった状態になっており、彼女の足元には砕け散った“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”の残骸が転がっていた。

 

 その日、キャロルは「あり得ない」と何度も呟きながら、新しい命題に取り組むことになる――。

 そもそも“機械仕掛けの掃除神(デウス・エクス・クリーナー)”が爆発した原因が幾ら残骸を解析してもわからないのだという……。

 

 翼の悩みは解決する日はまだ遠そうだ――。

 




オートスコアラーやキャロルも出してみたくてこんな話にしてみましたが、如何でしたでしょうか?
次はサンジェルマンとかその辺りの話でも書いてみようかなぁ。
予定は未定……。


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