その夜。
「はあ!?兄貴の婚約者!!」
達也が部屋の中で大声でそう言うと幹比古がしー!と言って達也の口を塞ぐと
こう続けた。
「エリカ本人は納得していなんだけどエリカのお兄さんの『修次』さんって
人なんだけどエリカにとって大切なお兄さんなんだ。凄く強い人で国内でも
十指に入る程の剣術家で今は確か防衛大学に在籍していると聞いているんだけどね、どうもエリカは『小手先』の技が大嫌いなんだ。」
「あいつ『クイディッチ』でも思ったけど結構なパワープレイヤーで
猪突猛進を地で言っているような奴だったな。」
「そう。エリカもだけどエリカの家の道場も大体が大技オンリーの家系なんだ。」
「大雑把は遺伝っていう訳か。」
成程と達也は本人がいない事を良い事に酷いこと言っているような事を
言っている感じであるが幹比古自身もまあそうだよねと言うとこう続けた。
「まあ、本人がいないから言えることだけどそうなんだよね。『小手先』の技が嫌いなエリカにとってその技を使う渡辺さんは最も嫌う存在なんだ。そんな人と
付き合ってしまった『修次』さんが弱くなったのは渡辺さんが惑わしたんだって
頭からそう思ってて本人は絶対に反対しているんだよね。家族みんなは
賛成しているのに。」
そう言って幹比古は肩をすかすが達也はこう続けた。
「まあ、こればかりは俺達外部が何言っても無理だろうな。」
「そうだね、こればかりはエリカが解決しなきゃあならないんだからね。」
幹比古も達也に向けてそう言うと達也はこう言った。
「それじゃあ寝るか。明日は確か『クラウド・ボール』だったな。」
「ああ、そうだね。明日に備えて寝よう。」
幹比古はそう言って部屋から出て言った後達也はさてとと言ってある
図面と共に床に置いている武器を見た。
どう見ても斬撃系、つまり剣みたいに見えるが達也はそれをパソコンに繋げると
作業を始めた。
クラウド・ボールとはまあ、見た感じテニスと同じであるがルールが違う。
テニスであればボールを最後に当てた選手の球が相手の陣地に入って取り損なう又は取れなかった又はミスって取りこぼしたのなら得点になるが
この試合ではそうではない。
クラウド・ボールは圧縮空気を用いたシューターから放たれる
直径6センチの低反発ボールをラケット又は魔法を使って弾き、制限時間以内に
どれだけ・・・相手のコート内に球を落としたのかを競う競技で1セット3分を
女性は3セット分、男性は5セットとして行うのだがそれだけではない。
20秒ごとに・・・ボールは追加射出され最終的には9つのボールを弾いて
得点を導くと言ったものであるのだが・・・見ている人間からすれば
大道芸みたいに楽しそうに見えるが打つ方から見ればそうとも言えない。
然もこれは動きが激しく危険も伴う為全員の服装は統一されており半袖に
ショートパンツ、転倒しても問題ないように膝・肘にはプロテクターを
装備している。
魔法で使うんだら転倒の危険はないだろうと思われるだろがそうではない。
これはボールが直撃しない様にと言う配慮である。
だが七草は・・・そんな常識などないのかと言う位の服装であった。
「・・・ナニ考えてんのあの人?」
「普通じゃあ・・・考えられられませんよね?」
エリカと美月がそう言うと達也達もこう続けた。
「あの服装・・・見ように寄っちゃあ見えちまうよな?」
「ファンの期待に応えるためじゃねえのか?」
「それにしてもあの服装は・・・ね。」
「「「「「目に毒だわ~~~。」」」」」
そう言うしかない服装なのだ。
テニスウエアにしか見えないポロシャツにスコート姿で競技用ではなく明らかにファッション重視だと言わんばかりの軽装。
少し体を動かしたら見えるだろうと言わんばかりでファンの連中は・・・
明らかに見たいと思わんがために前に押し込んでいる。
然もそれが全員男性であるがため・・・性としか言いようがない。
「男って・・・。」
「「「何も言い返せねえ。」」」
エリカのジト目を見られて達也達もそう言うしかなかった。
そして七草が持ってるのも・・・ラケットではなかった。
「へえ、特化型のCAD然も『ショートタイプ』とは確かにこの試合には
ちょうど良いだろうな。」
「司波君、それってどういう意味でしょう?」
後ろから声が聞こえたので振り向くとそこにいたのは・・・。
「あれ?『しおりん』じゃない?どうしたの?」
「その渾名は止めてください。」
「『十七夜』か?そう言えばお前は『スピード・シューティング』に出るから
説明しとくぞ。」
そう、前に登場した十七夜であった。
そして達也はこう説明した。
「銃型のCADは銃身が長ければ長い程照準補助が重視されるだろ?」
「はい、『スピード・シューティング』でもそうですし。」
「だがこの試合に求められるのは起動速度だ。球が多ければ多い程魔法の
起動速度が重要視される。それに軽量だから持ち運びに便利だし使いやすいと
言う長所も持っているんだが・・・これは見といて損はないかもな。」
「ええ、そうですね。」
十七夜はそう言って試合が始まると同時にそれを見たが・・・圧倒的であった。
相手が棄権するまでの2セット、1点も取られることなく・・・
試合は七草の勝利で終わった。
次回はアイス・ピラーズ・ブレイクです。