氷柱倒し『アイス・ピラーズ・ブレイク』
縦十二m、横二十四mにもなる屋外フィールドで行われ、更にそれぞれの面に
縦横共に一m、高さ二mの巨大な氷の柱12個が設置されており
それをお互いにある敵の氷柱を全て倒した方の勝利である。
詰る所棒倒しの氷版であるがこれは滅茶苦茶時間が掛るのだ。
先ずは氷である。
この真夏にそれだけの氷をセッティングするには幾ら軍の協力があったとしても
足らずにその製氷能力を考慮して男女ともに二面ずつ合計4面が精一杯であり
一日に出来るのは一回戦十二試合分と第二試合の計六試合分合わせて
十八試合*2*12なので合計したら432本と馬鹿にならない数値である為
予算も正直な所厳しいのだがそれだけではない。
もう一つは選手の魔法力である。
このプログラムは魔法力の消耗が早く、且つ体力にも問題が出る。
その為最終的には気力・・・詰る所根性での勝負となる。
そんな中で達也達はこれに出てくる選手を応援するために来たのだ。
これまでは三巨頭と呼ばれる面々がどれだけの実力を持っているのかを図り、
その術式を模倣できないかと探るためであるが達也はこう説明した。
「例え出来ても後はその人の実力次第である為真似程度では
あそこ迄の成果は出ない。」
そう言うのを聞いて確かにとそう思っていた。
あれは最早一つの技だ。
それを真似するとなると並大抵の努力では無理であると悟らされたのだ。
その為ダウングレードであるがそれに似た魔法式程度ならばなんとか
なるかもしれないと言う希望を片手に未だに明け暮れていた。
そんな事を考えている達也であったが十校戦に出てくる・・・
彼女を見て思考をやめた。
出てきたのは・・・生徒会メンバーの一人『黒神 くじら』である。
彼女が来ているのは白衣を上着とし下には何時も通りの制服であった。
相も変わらず胸に腕を添えて唯我独尊と言わんばかりの状況であった。
すると対戦相手でもある『千代田 花音』がくじらに向けてこう言った。
「久しぶりね、前にあった時はここだったわ。」
そう言うとこう続けた。
「あの時の私は自惚れていたわ。いや・・・自分に満足していたし
貴方を下に見ていたわ。貴方程度には負ける訳がないって一体何処から
そんな自信がでたのかしらね?そんな事をしたから私は貴方に負けた。」
それを聞いて一校側がガヤガヤと声が聞こえるが花音はこう続けた。
「だけど今年は・・・いえ、今の私は違うわ!貴方の事を見くびらないし
自分を尊大に何て考えないわ!!正々堂々貴方のそのグルグル巻き包帯を
引っぺがしてやるから覚悟なさい!」
そう言うとくじらは頭をガシガシと掻いてこう言った。
「ああ!こう言う熱血漢な奴はアイツだけで十分なのに
何でまたアンタなんだかねえ!!」
そう言うとくじらはじろりと花音を見てこう言った。
「良いぜ・・・もう一度地面の味覚えさせてやるぜ。」
「やれるものならやってみなさいよ!!」
お互いにやる気十分と言った感じで・・・・試合が開始された。
それと同時にくじらの氷柱が・・・二本同時に壊された。
「あれが千代田家の特有魔法『地雷原』!」
エリカがそれを見てそう言うと達也がこう聞いた。
「エリカ、特有魔法って」
「ああ、知らなかったっけってまあ良いか。」
するとエリカがこう説明した。
「魔法って言うのはね、有力な一族によっては二つ名とか与えれるんだ。例えばウチなら『剣の魔法師』って言うまあどっちかと言えば技能で得られた名前だけど三校にいる一条家なら『爆裂』、十文字家なら『鉄壁』って言った感じで
その家にとって特有の魔法を鍛えた先にある頂きに上りつめた証が二つ名ね。
そんで『地雷原』って言うのは、あの家はどんな場所においても地面があれば
どんな場所においても地面を振動させることが出来て地面と言う概念であれば
どんな固体であろうとも対応できる。それが『地雷原』の所以ヨ。」
「だけどそんなもんはくじらちゃんの前じゃあ意味がねえ。」
「「「「「人吉先輩!」」」」」
達也達は善吉を見て驚くと善吉がこう挨拶した。
「ようお前ら。試合見に来たのか?」
「ええ、まあ。」
それを聞いて達也が代表でそう言うとエリカがこう聞いた。
「ええとさ、人吉先輩。今のは一体」
「この試合を見れば分かるぜ。」
善吉はそう言って試合に目を向けた。
すると先ほど爆発した氷柱が・・・一瞬で水に変わった。
「あれは!?」
「まあ見てみなって。」
善吉はそう言って達也を静止させるとその水は一瞬で・・・
花音の氷柱に当たった。
しかし何もないように感じるがそれを見た花音はしまったという
感じの表情をしたその時に・・・それが起こった。
先ほどの水の当たった場所から・・・少しだが亀裂が走った。
「あれア一体!」
達也がそれを見て驚くと善吉はこう説明した。
「くじらちゃんの魔法は『四元素』の操作だ。元々サイオン量が
常人よりも多かったけど扱いきれずにいたから実家じゃあ役立たず扱いだった
そうだぜ。」
兄貴は別だがなと言うと善吉はこう続けた。
「だからこそ十校の門を叩いたんだ。自分は出来損ないって
言われない為にな。」
そう言って善吉はもう一度試合の方に目を向けるが達也達は
そう言う感じではなかった。
家からも見放され一人孤独だったと言う痛みがどれ程のモノなのか
予測できないからだ。
予測できると言えば・・・約2人。
「あの人もそうだったんだ・・・」
「家から・・・家族から。」
エリカと栞であった。
次回に続く。