甘えん坊な(軽度な)変態美少女の天才アイドルが俺の幼馴染なんだが 作:勢いの願渡
「うあっ……なんか……苦しい……?」
「んふふ、起きたー?」
「ひ……な……?」
「そーだよお、いっくん大好き日菜ちゃんだよー?」
夜、適当にお風呂に入りリビングにあるソファで寝ているといきなりなにかが乗ってくる感覚を覚えたためなんとなく目を開けると、幼馴染の日菜がいた。────全裸で。
「は!? ちょ、服は!?」
「脱いできたけど」
「何考えてんの!?」
「あははー、やっぱいっくんは反応が面白いよねえ。
ぎゅーってしてあげるよ♪ ぎゅー♡」
「やめてええええ!!!!」
「ってことがあったんだ……」
「それは災難だったわね……。
日菜が迷惑かけたみたいで申し訳ないです」
「いや、可愛い幼馴染だから大丈夫だけど……精神的に疲れた……」
「同じ幼馴染の私にはそういうこと言ってくれませんよね」
「日菜が可愛いんだから紗夜も可愛いに決まってるでしょ……。双子なんだからさ?」
「口にしてもらわないとわからないですよ」
と、少し嬉しそうな表情を見せながら少し冷たいことを言う日菜の姉、氷川紗夜。日菜とは違うベクトルの天才であり、その昔日菜に対しコンプレックスを抱いていたがなんやかんやで解決。昔みたいに僕をからかってきたり色々してくるようになった。日菜との関係が良くなったのは嬉しいんだけど……手を繋いでくるのはやめて欲しい。
「んじゃあ手を繋ぎましょうか」
「勘弁してください」
「なぜです?」
「道を歩く人の目線が怖いのと、日菜にみつかったら僕の命がなくなる」
「いいから繋ぎましょう?
そして今からポテトを食べに行きましょう」
「今から学校ですけど?」
「……っ」
なんでこの人はそんなに悔しそうにしてるんだろうか。ポテトと学校どっちが大事と言われたら基本はポテトと答えるがこの人は生真面目である。妥協を許さない幼馴染と手を繋ぎながら学校へ向かっていたのだった。
「そーいや、最近風紀委員の方はどう?」
「いつも通り、なんとも思いません。
問題児が一人だけいますけどね」
「……ああ、この前言ってた猫耳の子かな?」
「そうです……。
いっつも何も持ってきてないんですよ」
「学校なのに?」
「学校なのに」
正直何しに来てるのだろうか、その女の子は。学生ならば筆記用具とか普通持ってくると思うのだが、それをすべて持ってこないとはなかなかの強者であるのは分かった。だが、僕の記憶が正しければ確か花咲川は置き勉禁止なので持って帰らなければいけないはずだから、毎日持ってこなきゃいけないはずだ。
「でも何故かギターだけは持ってきてますね」
「ギター?」
「ええ、ギターです」
「……その子は学校をなんだと思ってるんだ?」
「ライブハウスじゃないでしょうか?」
「んなわけあるか!?」
学校は寝るとことか、学校は友達と会うところとかなら僕でも聞いたことある。だが、学校はライブハウス! って言ってる子は世界中のどこを探しても多分見つけられない希少種であろう。なんとなくだが、その子は日菜みたいな感じはするがそこは黙っておくのが懸命だろう。名前を知ってしまえばその子を日菜二号機という目でしか見れなくなるから。
そのようにして僕達は適当に話していると、いつの間にか花咲川女子学園についていたので紗夜と別れ、僕は自分の学校へと走って向かっていった。日菜のいる羽丘学園に。
「……はあ……はあ……お、おはよー」
「おはよう、小倉くん!
今日も日菜ちゃんとイチャイチャするの楽しみにしてるね!」
「やめて! そういうこと言わないで!」
「あはは! じゃあまた後でね!」
「う、うん……」
羽丘学園。
元々は女子高だったらしいが、少子高齢化がなんたらかんたらでいつの間にか共学になったそうだ。元々女子高だったというプレッシャーにより、男の受験生は僕一人。僕も正直ほかの高校に行きたかったが日菜に説得され同じ学校に行くことになり、受験したら受かっちゃった☆ というやつだ。
「おはよう、私のジュリエット」
「何度も言っているが僕は男だ。
君がジュリエットに決まっているだろ。可愛いんだし」
「……っ」
「自分から仕掛けて照れるなよ……。
改めておはよ、薫」
「ああ、おはよう。樹。
今日は姫と一緒じゃないのかい?」
「今日はその姫の姉を学校に送ってからくる日になっててね」
「そういえば今日は月曜日だったね」
「そういうこと」
花咲川では毎週月曜日が風紀委員恒例の「持ち物検査抜き打ちテスト」というイベントをやっている。その時だけは、バンド仲間と一緒にいけない、ということで朝起きれない日菜を起こしてから僕達は合流。日菜にはクラスメイトのリサに迎えに来てもらうということになっている。
昇降口で出会った薫と適当に話しながら僕達は教室に向かうと深夜に大罪を犯した問題の天才アイドルは座っていた。
「もー、やっときたー! 遅いよ、いっくん!」
「深夜からアホなことしてくる幼馴染がいるから仕方ないよね」
「でも正直、興奮したでしょ?」
「黙秘権を行使させてもらうねー」
ふーん、などと言いながらニヤニヤしている幼馴染。頭をグリグリしたくなるが流石に女子高。そんなことをしたら最後なんて言われるかわからないのでここは耐えて、ポケットから携帯を取り出し、「今日の夜ご飯ポテトなし」というメールを送る。その数秒後日菜からは「キスしてあげるから許して!」というメールが。反省していないのがモロバレだし、アイドルがそんなすぐに幼馴染に唇をあげていいものではないだろう。やめておけ、というメールを送って後ろの席の日菜の頭を撫でることにした。
「あ、来たんだ。
おはよ、イツキ」
「おはよ、リサ。
毎週毎週、ありがとね」
「いいよいいよ!
あたしとイツキの仲じゃん!」
「バイト先が一緒っていう仲だね」
しかも僕の方が先輩だし、なんていう追記をするとリサからは「もーっ、揚げ足取らない!」という可愛らしい返事が。普通に可愛いと思っていると日菜から嫉妬の抓りを食らった。相変わらずめちゃくちゃ痛いからやめていただきたいんだが。ちなみにリサと僕は隣の席で、僕の後ろの席が日菜となっている。
「ねー、リサちー。
今日映画見に行かない?」
「いいねいいねー!
今流行りの恋愛映画なんてどうかな?」
「うんうん! るんっ♪ てするね!」
いきなり始まる女子トークについていけず適当に相槌を打っているといきなり僕の手が暖かくなった。なんだ!? と驚きつつ手を見ると日菜が僕の手を握っていた。意味不明だが、なんなんだろう。いきなり手を握りたくなるような子に育ってしまったのだろうか。
「勿論、いっくんもいくよね!」
「え、行かないけど」
「えー、イツキが居たら絶対楽しいのになー」
「恋愛映画は好きだけどついて行きたくはないからかな」
クラスメイトがいる中で恋愛映画を見に行くほど僕には度胸はない。そんな度胸は生まれてすぐに捨てたはずだ。だから僕はヘタレのまま過ごすn「いっくん。
今度生放送の時、いっくんに無理やり襲われたって言っていい?」
「わかった行くから勘弁してくださいお願いします」
勝手に地の文を読んで勝った!! などと言いたげな顔をしている日菜とリサ。君たちはそれでいいのか。あとクラスメイトの見る目が怖いのだが、俺はどうすればよかったのだろう。「こいつやばい……」みたいな目を向けられながらホームルームと授業をこなし僕達は早々とショッピングモールへと足を伸ばしたのだった。
あとお願いだから地の文を読まないで?