童磨さんin童磨さん(一発ネタ)   作:こしあんあんこ

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区切り悪くなりそうなのでこれで区切りなのです。短め。


19週目

 

 

 炭治郎が問いかければ柿色の羽織を身に付けた少年、清は顔を青ざめさせながらポツリポツリと語り出す。

 

「化け物に攫われて……く……く……喰われそうになった」

 

 清は恐怖からか言葉をどもらせる。そしたらどこからか別の化け物がきて、更に話を続ける清に炭治郎たちは耳を傾ける。

 

「こ、殺し合いをし始めた……、誰が俺を……くっ……喰うかっ……て」

 

 その時のことを思い出したのか、清は身を震わせて顔を俯かせる。咄嗟の判断で鼓の生えた鬼が他の鬼から受けた攻撃で落としたらしい鼓を拾い上げて叩いたようだった。

 

「叩いたら部屋が変わって……何とか、今まで」

 

 鳴女と似たような移動する血鬼術だったらしい。清は運よく逃げられて現在に至っていた。様子から察するに何度か鬼に出くわす度に鼓を叩いたようだった。……なるほど、部屋が結構な頻度で変わっていたのはそのせいか、童磨(どうま)が納得するように目を細めると炭治郎は清だけが狙われた理由を知ろうと心当たりのある単語を発した。

 

「¨稀血(まれち)¨……、あの鬼はそんなことを言っていたが……」

 

「!!」

 

 炭治郎の発した単語に清は反応して顔をバッと勢いよく上げた。

 

「そうだ、そう……俺のことマレチって呼ぶんだ!!」

 

「そうだろうねぇ」

 

 ……だって君の匂い、とっても美味しそうだもの。そう続けて穏やかに微笑む童磨に清とてる子は顔を青ざめて後退る。稀血であることに頷けば炭治郎は童磨を見た。

 

「心当たりがあるのかッ!?」

 

「あのね、稀血っていうのは「カァーア!!稀血トハ珍シキ血ノ持チ主デアル!!」」

 

「うわっ……」「キャア!!」

 

「グワハハハ!!ガキ共!!ツツキ回スゾ!!」

 

 童磨が稀血について話そうとすれば何処からかやって来た鴉が口を開く。けたたましく鳴き、人語を介する鴉に清とてる子は驚き小さな悲鳴を上げた。つつき回すぞと鴉は声を上げる。よせ、と止めようとする炭治郎の様子から察するに彼の鎹鴉(かすがいがらす)であるのは明らかだった。

 

「珍しき血ってどういうことだ?」

 

「生キ物ノ血ニハ種類系統ガアルノダ馬鹿メ」

 

 ふふんと得意げに鼻をならし更に鴉は言葉を発した。

 

「稀血ノ中デモサラニ数少ナイモノ、珍シキ血デアレバアル程鬼ニハ!!ソノ稀血一人デ五十人!!百人!!人ヲ喰ッタノト同ジクライノ栄養ガアル!!」

 

 翼を広げ鴉は歩く。童磨の真横に並ぶように行き着けば鴉は最後に言葉を締めくくった。

 

「稀血ハ鬼ノ御馳走ダ!!大好物ダ!!」

 

「……まあ、全部言われちゃったけど、そういうことだぜ」

 

 苦笑しながらも否定しない童磨とご馳走だと語る鴉。得体の知れない恐怖に襲われて清とてる子は震えた。クン、と炭治郎の鼻が同時に動いた。童磨も目を細めて怪しく口角を歪ませる。微かな足音が確実に近づいていた。炭治郎は言い聞かせるように清たちを見据えた。

 

「俺はこの部屋を出る」

 

「えっ?」

 

 その言葉に動揺した様子で聞き返す。落ち着いて、大丈夫だ。炭治郎は清の柿色の羽織に手を置いた。鬼を倒しに行くから、そう続ける炭治郎に清は不安げに眉を下げたが結局は小さく頷いた。……おや、童磨はその様子を見て首を傾げる。……不安なら救いを求めてもいいのに、納得する姿が不思議でならなかったが、清もまた何かしら決意をしたのだと理解した。

 

「いいか、てる子。兄ちゃんは本当に疲れているから、てる子が助けてやるんだぞ」

 

 その真横ではてる子の頭を撫でながら炭治郎は言い聞かせていた。てる子も息を呑んで頷いた。炭治郎は傷だらけの人差し指を口元に置き、二人にやって欲しいことを告げる。鼓を叩いて移動してほしいことや、何かの物音がすれば鼓を叩いて逃げることを話す。必ず迎えに行くから、安心させるような優しい言葉が響いた。

 

「……もう少しだけ、頑張るんだ。……できるな?」

 

 コクンと頷く兄妹の目には強さがあった。……へぇ、童磨は笑う。ふと脳内に蘇る琴葉やカナエの強い面差しを思い出した。しのぶちゃんもこんな目をしていたと、思い出して恋しくなった。えらい!強いな、同時に炭治郎が褒めた。

 

「うん、だったら、俺も何かしてあげなくちゃね」

 

 俺だけ何もしていないのもねぇ?童磨はにっこり笑って金扇を取り出したかと思えば、重ねた二対の金扇を広げれば童磨の姿を形作る氷像を作り出した。兄妹の周りをちょこまか動く氷に兄妹は身構えたが害がないと気付けば、ホッとした様子で胸を撫で下ろした。

 

「……それは?」

 

「……お守りだよ?」

 

 炭治郎の問いに童磨が答えればそうか、と炭治郎は微笑んで立ち上がった。行ってくる、そう言うと同時に襖が独りでに開きだす。覗き込む鬼と目が合った。

 

「叩け!」

 

 童磨と炭治郎が走りだす。同時に鼓がポンと音が鳴れば清たちは消えて、部屋は変わった。

 




お守りを置いて、童磨も参戦するのだった(誰も戦うとは言っていない)。
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