異世界で職業:死神始めました(仮)   作:短歌@夜兎神

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Episode.0 転生

 夏の日曜の昼下がりは家に引きこもるに限る。

 何せ夏だ。昼下がりだ。

 そう、死ぬほどあちぃのだ。

 

 そんな時のクーラーほど癒やされるものはない。

 夏の熱気を一切合切無視して涼しいクーラーの下でやるゲームってやっぱり最高だ。

 最近はVRのRPGをやるようになって運動もしている。

 だから俺は健全な成長を遂げてもいいはずだ。

 

 あえて問おう。何故俺の身長は伸びないのか!

 食事は人並みに食う。睡眠も取らないわけじゃない。ゲームをやりたい欲望を抑え込んでちゃんと寝てる。そして言ったとおり運動もしている。

 なのに何故!俺の身長は伸びない!!

 

「はぁ・・・」

 

 そんな無意味な自問をするのは夏のせいだ。きっとそうだ。

 

 さて、気持ちを切り替えてゲームでもしよう。

 VRRPGはレベル上げだけでなくプレイヤーの技量も必要になる。つまり、少しでもサボれば自分の磨き上げたキャラに泥を塗ることになる。

 

 基本的に自分がやるこのゲームはソロ用で、ストーリーを進めてラスボスを倒してエンディングを迎えてクリアの単純なゲームだ。

 しかし、ラスボスを倒した後表示されるなぞのことばをゲーム起動時に入力すると自分の育てたキャラでPvP、つまりインターネット対戦ができるモードに入れるのだ。

 

 いやはやこれが面白くてたまらない。

 普通のRPGのようにコマンドを入力する事も出来るが、実際に動いて攻撃した方が早いし面白い。だから武器の扱いを極めるのがとても重要になる。

 

 まぁそんなことはいい。今日もレッツ対戦だ。

 ゴーグルを装着し、ゲームを起動する。

 そしていつも通りなぞのことばを入力して対戦のモードに入る・・・、はずだった。

 

「・・・ん?なんだこれ」

 

 いつものワードを入力するとおかしなメッセージが表示される。

 

『いつも遊んでくれる貴方へ特別試合のご案内です。この試合に勝利なさった場合、運営より特別な装備セットがプレゼントされます』

 

 いやいやなんだこれ。

 まさかこんなサプライズがあるとは思わなかった。いや、何かのイベントでも始まったのか?そんな告知はなかったはずだが・・・。いや、そもそもこのPvPモードも隠しモードのようなものだ。大々的に告知は出来ないだろう。つまり、ゲリライベント、この機を逃すわけにはいかない。

 

「受けて立つとしよう!」

 

 その宣言と共に試合開始のボタンを押す。

 すると目の前の景色がふっと変わる。荒廃した建物群が円を描くようにならんでいるフィールド、その円の真ん中に立たされてるらしい。

 

 それより対戦相手はどこだ?

 マッチングしてから景色が変わるはずだからいないなんてことはないはずなんだが・・・。

 

 がた、と瓦礫が崩れる音がする。

 どうやら相手は隠れていたみたいだ。

 俺は武器をクロスボウに変え、足音を殺して音のした方へ回り込む。

 

「そこだ!」

 

 クロスボウの矢を放つ。命中だ。

 だが、それはプレイヤーではなかったらしい。居たのは雑魚モンスターのゴブリン。

 ・・・はめられたか?

 ゴブリンで注意を引き、不意打ちをする作戦かと思い周りを警戒するが、気配はない。

 

 ・・・なんだこのクソゲー。

 そう思っていると目の前にメッセージボックスが出現する。

 

『おめでとうございます。貴方は勝利しました。賞品贈呈まで少々お待ちください』

マジでクソゲーじゃねーか!!ゴブリンを倒して終わりかよ!?

 

 よし、一旦落ち着こう。何はともあれ特別装備はもらえるらしい。

 少し待つと、目の前の景色が眩い光で埋め尽くされた。

 

 ほとんど何も見えない光の中、うっすらとメッセージボックスが見える気がする。

 

『貴方への賞品は新しい世界です。是非お楽しみください』

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