異世界で職業:死神始めました(仮)   作:短歌@夜兎神

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Episode.9 探索

 町へ出ると、アレクに気づいた町の住民が挨拶をしていく。快活な性格からか、人望はあるんだろう。

 住宅街を出ると、今度は店が並んでいる。多分全部個人経営かな?この世界の店の形態にチェーン店とかはないのかもしれない。

 

「どこか入りたい店はあるか?」

「特に無いな。腹は減ってるが、町の散策から帰ったら宿屋の飯があるし」

 

 そう言われたらアレクもどうしようもないのは分かってるが、事実特に行きたい店はない。

 どこか面白そうな店はないものかと見渡してみると、一軒だけ目にとまる。周りの店に比べて一回りほど小さい店構えだが、不思議と目を引かれる。

 

「あそことかどうだ?」

 

 アレクに提案する。どうやらアレクも入るのは初めてらしい。領主よ。それでいいのか。

 店に入る。落ち着いた雰囲気で居心地はいい。棚に並んでいるのは、アクセサリーか。ネックレスやブレスレット、指輪など、様々なアクセサリーが並んでいる。

 確かにアレクには無縁かもな。俺も言えたことじゃないんだが。元の世界で彼女がいなかったわけじゃないが、告白されてなんとなく付き合って、相手が俺に愛想尽きてフラれる。そんな感じだった。付き合っても特別感がなかった。もっと甘えさせてほしかった。そんなセリフが脳裏に蘇る。

 考えるのはやめにしよう。楽しい思い出もあったが、やはりこういう時に思い出してしまうのは苦い思い出だ。

 

「いらっしゃいませ。贈り物ですか?」

 

 いけない、また気が付かなかった。

 話しかけてきたのは店員と思しき男性。細身でどこかひ弱そうな、そんな印象を受ける。

 

「いや、少し目にとまって入ってみただけだ。ここのアクセサリーは貴方が?」

 

 並んでいるアクセサリーをよく見ると、細かい装飾に凝っているし、色合いの鮮やかさに限らず全てがそれぞれの輝きを放つようで、目を引かれる。ここまで良いものを作れる職人というものには興味が湧く。

 

「いえ、作るのは妻の仕事です。私はそれを売るだけです」

「そうか。いやな、こんなに良いアクセサリーを作る職人がどんなものかと気になってしまって。例えば、そうだな、このネックレスとか、宝石の色が際立って見えるが、それが際立つのはその周りの装飾のおかげだ」

「分かりますか!素晴らしいですよね!私も彼女の作品に一目惚れして・・・、あぁ、すみません。つい熱くなってしまいました」

 

 いきなり目を輝かせながら語るものだから驚いたが、本当に好きなのは伝わってきた。買うつもりは無かったが少し買いたくなってくる。

 

「良ければこれ、買いたいんだが、いくらだ?」

「こちらは9000Gになります」

 

 所持金のほとんどが飛ぶ。いや、だが逆に考えれば買えるのか。

 

「分かった、買うよ」

「かしこまりました!ありがとうございます!」

 

 働こう。影から9000G出しながら決意した。

 このネックレスを誰に渡すかはもう決めている。宿屋のベルだ。1ヶ月お世話になるし、正直このネックレスにしたのもベルに似合うと思ったからだ。

 会計を終え、包装されたネックレスを影にしまう。

 

「アレク、すまないが、もう宿屋に帰る」

 

 いつの間にか店の外に消えていたアレクに声をかけそう言う。

 

「もう帰るのか?」

「ここで買い物をしたら所持金がほとんど消し飛んでな。もう店を回っても仕方ないし、そろそろ宿屋で飯が食いたい。また今度そっちに行くよ」

「分かった、気をつけて帰れよ」

 

 日も落ちてきた頃、俺はアレクと分かれ宿屋への帰路に着いた。

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