部屋に戻ってくつろいでいると、部屋の扉がノックされる。開いてるぞ、と言うとベルがキッチンワゴンを押しながら入ってくる。
「ご夕飯をお持ちしました」
ベルはキッチンワゴンから皿に乗った料理を取り出し、小さなテーブルの上に置いていく。スープ、サラダ、最後に肉料理らしきものが出てくる。形状は鶏肉に似ている。
「オニオンスープとサラダと、ビッグビークのグリルです」
「ビッグビーク?」
聞き慣れない名前をつい聞き返す。
「はい。もしかしてお嫌いでしたか?」
名前を聞き返してこの反応ということは知ってて当たり前の生物らしい。流石に知らないとは言えないか?いや、この先色々と知らない事がある時聞ける相手は必要になる。知らないと正直に答えるのも吉かもしれない。
「いや、初めて聞く名前でな。俺がいた所には居なかったんだ」
「ビッグビークが居ないんですか!?そんなに遠い所から旅をしてきたんですね・・・。ビッグビークというのは大きなくちばしが特徴の鳥のようなモンスターです。羽がついてますけど、飛べないので地面を走るんですよ」
モンスターもきちんと食用として出回っているらしい。まぁゲームでもそんな感じの料理はあったが、実際に聞いたり見たりすると驚きはある。
「とても美味しいので食べてみてください」
「あぁ、いただきます」
用意されていたナイフとフォークで足と思われる部分の肉を切って、一口食べる。
うん、美味しい。肉の味は大体現実の鶏肉と一緒だが、心無しかこちらの方が油が乗っている気がする。味付けも肉に合っていてとても美味しい。
「美味しいな」
「おぉ!お口に合って良かったです」
その後スープとサラダも食べ進めていく。スープはほぼ現実と変わらない味だったが、サラダにかかっていたドレッシングは少し独特な味がした。それでも十分に美味しかったので、満足だ。
料理が口に合うか気になったのか、食べている間ずっとベルが部屋にいて少しだけ落ち着かなかったが、完食した時に嬉しそうな顔をしていたのでその顔に免じてよしとする。
「ごちそうさま」
「お皿片付けますね」
ベルは食べ終わった皿を全てワゴンに乗せ、扉付近まで運んでいく。
「明日の朝食はどうしますか?」
「あぁ、食べていくよ」
「分かりました。用意しますね」
ベルはワゴンを押して部屋から出る。改めて先程の食事について考える。
まず大元として洋食に近いものだった。そうなると、取れる食材もそちらに偏っているし、味付けなども日本食のようなものはないだろう。
あと、肉についてはやはりモンスターの肉が一般的な食材として流通してることを考えると、それを狩る人材が必要になるはずだ。収入源としてはありだろう。
あれこれ考えると眠くなってきた。そろそろ寝よう。
「待てよ、俺はこの格好で寝るのか?」
自分の格好を確認するが、とても寝る時に着る服じゃない。
というかそもそも風呂に入ってない。汗は何故かほとんどかいていないが気分的に寝る前には入っておきたい。そもそも風呂が存在するのか?そこらへんもちゃんと確認すれば良かった。だが今から確認するのは少し気が引ける。
仕方ない。今日は我慢して明日朝一で確認しよう。朝には自信が無いし目覚ましがいるな。
俺は普通のカラスサイズのクロを影から召喚し、日が昇ったら起こすように言うと、クロは首を縦に振る。
よし。あまり気は乗らないが今日はこのまま休もう。
明日(8月1日)から一週間ほど、私情により更新が出来ません。
見てくださってる方には残念かと思いますがそれが明けたら一週間は1日2話投稿する予定なので許してください。
短歌@夜兎神