異世界で職業:死神始めました(仮)   作:短歌@夜兎神

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今後更新が不定期になります。毎日更新を再開する時にはまた告知するのでお待ちください。
短歌@夜兎神


Episode.12 風呂とハプニング

 ツンツン、ツンツン

 頬に軽い刺激が走る。

 ツンツン、ツンツン

 

「んん・・・、まだ寝かせて・・・」

 

 ドスッ!

 今度は腹に強めの衝撃。

 

「・・・分かった、起きるよ」

 

 重い身体を起こし、腹の上に乗るクロを撫でる。刺激の正体はクロの嘴だったみたいだが、もう少し優しい起こし方をしてくれてもいいのに。

 そんな愚痴はともかく、夜明けと共に起床したのは風呂のためだ。部屋を出て宿屋の入り口の方へ歩いていく。ちなみにクロは影に戻しておいた。ベルやダグラスにはクロのことも説明しておきたいが、それはまた今度でいいだろう。

 宿屋の入り口、受付がある場所へ着くと、奥の方で明かりがついているのが見える。食堂の方だ。もう朝食の準備をしているのだろうか。

 奥の方へ行くと案の定ダグラスがキッチンに立っていた。

 

「おはよう、ダグラス。随分早くから準備をするんだな」

 

 ダグラスは俺に気づくと手を止め、こちらへ近づいてくる。

 

「おぉ、おはよう、レオ。朝食は軽いものが多いんだが、夕食に仕込みが必要な料理があって、そういうときはこうして朝から仕込みをしてるんだ。それで、レオはこんな朝早くにどうしたんだ?」

「風呂はないか聞きたかったんだ。本当は昨夜入りたかったが、そのまま寝てしまってな」

「あぁ、なるほど風呂か。町の中に大衆浴場はあるが、この時間じゃまだ開いてないな」

 

 おぉ、風呂の文化はあるらしい。良かった、やはり日本人としては風呂がないと落ち着かない。だが、大衆浴場が開くまで待つ必要があるのか・・・。

 待ち時間に何をするか考えていると、ダグラスが何か思いついたような仕草をする。

 

「宿屋としての浴場は無いが、一応うちに小さな風呂がある。宿屋の人間が汚いままじゃいられないから、特別に作ってもらったんだ。そっちならすぐに入れるが、どうする?」

「おぉ、すぐに入れるならそうしたい。どこにあるんだ?」

「そこに扉があるだろう。そこから入って突き当たりを右にいってすぐの右手の扉にある」

 

 ダグラスが指すのはキッチンの奥の壁にある扉だ。位置的に従業員用の扉だろう。

 

「分かった。ありがとな」

 

 ダグラスに言われたとおりに進んでいくと、扉にたどり着く。

 

「ここだな」

 

 扉を開ける。

 その扉の先に居たのは、ベルだった。

 

 一糸纏わぬ姿の。

 

「え・・・?」

「あー、すまない。確認不足だった」

 

 すぐに扉を閉める。

 まさかベルが入っているとは思わなかった。いや、さっきのダグラスの話からするとベルが入るのは当然の話ではあるが、タイミングというものがある。

 ベルには申し訳ないことをした。まだ10歳とはいえ、少女が男に裸を見られるというのは精神衛生上よろしくなさそうだしな。

 後で謝罪を入れよう。これがダグラスに伝わって追い出されでもしたら大変だ。

 そうこうしていると、服を着たベルが扉から出てくる。

 

「あ、あの・・・」

「覗くつもりは無かったんが、俺の確認不足のせいだな。すまなかった」

「いえ・・・、私こそお目汚ししてしまってすみません。お風呂、お使いになるならどうぞ!」

 

 そう言ってベルは走り去る。ちらっと見えた顔は赤く染まっているように見えた。

 また後できちんと謝る必要があるかもしれんな。

 

「・・・今度また何かあげるか。その為にも金の手に入れ方を確立するのは必須だな」

 

 考えながら服を脱ぎ、浴室へと入る。すると、影からクロが飛び出してきた。

 

「どうした、クロ。お前も入りたいのか?」

 

 クロは肯定するように鳴く。

 

「後でお湯で流すから、湯船には入らないようにな。まだダグラスとベルにお前のことを伝えてないし、何か不都合があったら大変だ」

 

 頷くのを確認してから浴室を見てみる。

 浴室の中には石でできた囲いに湯が張られていて、端には桶のようなものが置かれていた。流石にシャワーは無かった。

 桶のようなもので身体を軽く流した後、湯に浸かる。こっちに来て一日しか経っていないのにこのお湯に包まれる感覚をとても久々に感じる。

 

「・・・極楽だ」

 

 このまま眠ってしまいそうだ。朝も早かったしそれくらい許されるだろう。

 カァー!

 目を閉じて眠ろうとすると耳元でクロが鳴く。うーん、優秀すぎる使い魔は堕落を許してくれないらしい。

 その後少しだけ浸かって、浴室を出る。置かれていたタオルで身体を拭き、服を着直す。そういえば服も買いたかったんだった。

 

「先に仕事を見つけよう。またアレクのところに行かなきゃな」

 

 着替え終えて脱衣所を出る。来た道を戻ってキッチンへ入ると、ダグラスは仕込みを終えたのか、もう居なかった。居たら文句を言わなければと思っていたが居ないなら仕方ない。

 そのまま部屋にもどり、外出の準備をしようと思ったが別に準備することも無かった。少し休んだらアレクのところを訪ねよう。まぁ寝てたら起こせばいいしな。

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