さて、人を探すにもどう探したものか。
近くに町でもあればいいんだが・・・。
「よし、こういう時にも使えそうだな」
俺は死神の目を発動する。これもまた念じるだけで発動できる便利スタイルだ。助かる。
少し驚いたのは、使った瞬間視界がモノクロになった事だろう。どうやら生体反応を見やすくするため、他のものは白黒になるらしい。
FPSのスコープでもいくつかそういうスコープがあったな。これはこれで悪くない。
そんな事を思いながら死神の目を使いながら辺りを見渡してみる。
森の中に赤い反応がポツポツと見えるが、形的にカラスとゴブリンと言ったところだろう。
草原になっている後方を向いてみる。こちらは広大なモノクロだけか広がっている。建物があるかもしれないがモノクロでは遠くのそれは分かりづらい。
「さて困ったな」
人影がない。そもそも人が存在しないのか?
流石にそれはハードモードが過ぎるだろう。
ひとまず死神の目を解除し、当てもなく草原の方へとぼとぼと歩いていく。
「もし人が存在しない、もしくは存在しても町を作るような文明レベルに達してないとなると・・・、この世界の情報を集めるのは絶望的だな」
考え、俯きながら歩く。その時、
「おい坊主、難しい顔してどうした。迷子にでもなったか?」
前方から突然声がする。
どうやら考え込みすぎて前からくるものに気づかなかったらしい。
声を掛けてきたのは4,50代位の白髪の男で、露出している腕には無数の傷が目立つ。それに、片目がないのか眼帯をしている。
「迷子みたいなものだ。少し聞きたいんだが、この近くに町はあるか?」
「なんだ、坊主はモランの町の子供じゃないのか」
良かった、町はあるらしい。それに、その町の子供だと思うということはある程度近い場所にありそうだ。
というか誰が子供だ誰が。
「そうだな、俺はその町の人間じゃない」
「それじゃあ親とはぐれでもしたか。一緒に探してやろうか」
「俺は子供じゃない!これでも19だぞ」
突然叫んだ俺に男は驚く。
いや、年齢に驚いてるのか?失礼なやつだ。
「19・・・、本当か?いや、疑うわけではないが、良かったらナンバーカードを見せてもらえんか」
「ナンバーカード?」
一人一人を判別するカードのようなものだろうか。だとするとまずい。多分持ってない。
男の口ぶりからすると必ず持っているものなんだろう。
そうだ、都合よく影に入ってないだろうか。転生させる側もそれくらいの配慮はすべきだろう。
冗談交じりに考えていると本当に影から小さなカードのようなものが現れる。それは重力を無視するかのようにふわふわと俺の手まで飛んできた。
「・・・坊主、今のはなんだ?」
「俺を信用してくれるなら、町に行く途中で話してやる」
そう言いながらカードを差し出す。
男は何度か目を疑うように擦っているが、少しして俺にカードを返す。
「・・・町へ連れて行ってやる。代わりに詳しい話を聞かせてくれ」
「よし、頼む」
良かった。当てのない散歩もこれで終われるな。