Episode.3 町へにレオとアレクの会話を追加しました。
門へと到着する。
門の前に立つ兵士のような格好をした男がアレクに向かって敬礼をする。
「おかえりなさいませ、アレクシス様。お早いお戻りですね」
「あぁ、迷子の旅人を見つけてな。客人だ、粗相のないようにな」
兵士は大きな声で返事をすると共に敬礼をする。それに、さっき様付けで呼ばれていたな。
兵士に敬礼をされたり、様付けで呼ばれると言うことはそれなりに偉い立場なのか。
まぁ、体の傷からしてやり手のようだし、軍の隊長か何かかもな。
門を通った後、馬を降りる。アレクは馬を引きながら建物の建つ方へと歩いていく。
「俺は一度家に戻るが、レオも来るか?」
「いや、俺はこの町で宿屋を探したい。どこか、おすすめの宿屋はあるか?」
宿選びは慎重に行うべきだ。この世界がゲームか、異世界かは分からないが、ゲームの世界ならぼったくりや、悪徳宿屋も稀にある。休むための宿屋で疲れていては元も子もない。
「そうだな、じゃあ俺のなじみがやっている宿屋でも紹介しよう。連れて行ってやる」
「あぁ、頼む」
アレクの知り合いの店なら多少は安心できるか。いや、だがアレクが実は悪人で旅人を招待して、その宿屋に泊まるよう仕向けてはぼったくる、なんてこともあるかもしれない。
会って数十分の男を全面的に信頼しろという方が無理な話だ。
「そういえば、お前さんは戦えるのか?遠いところから旅をしてきたなら、危険な事もあっただろう」
「一応、戦えるつもりだ」
これに関してはハッキリとは答えられない。宿屋を確保したら外に出て、モンスターと戦ってみてもいいかもしれない。これで全く戦えなかったら問題だ。
「そのナリで戦う姿はあまり想像出来んなぁ・・・」
「悪口か?」
「いや、そんなつもりはないぞ。だが、扱える武器は限られるだろう」
それは確かに。ゲームでもステータスによって装備可能武器が制限されていた。
話をしていると時間が経つのが早い。宿屋の看板がでかでかと掲げられた建物が目に飛び込んでくる。
「ここだ。先に入っていてくれ。俺は馬をとめてくる」
「分かった」
宿屋の扉を開ける。
木製の造りで、見た感じ新しめかもしれない。
「いらっしゃいませ!」
高く元気な声。とてとてと、俺より少し小さいくらいの少女が走ってくる。
「えっと・・・、お一人様ですか?」
少女は戸惑ったように聞いてくる。もしかしたら同い年とでも思ってるのかもしれない。
「連れはいるが、泊まるのは俺一人だ」
「ちょっと待っててね!お父さん呼んでくるから!」
そう言って少女は出てきた方へと走っていく。
少女が戻ってくるのを待っていると扉からアレクが入ってくる。
「あれ、誰も居なかったのか?」
「いや、小さな子供が出てきたんだが、俺一人だと伝えたら父親を呼ぶといって奥にな」
そう言うとアレクは手をぽんと叩く。納得するな。
「はっはっは、ベルちゃんも大変な客に会ったな。確かにレオが一人で泊まると言ったら、何も知らん奴は戸惑うだろうな」
失礼な奴だ。
店の奥から先ほどの少女、ベルとその父親らしきがたいのいい男が出てくる。
「お客さん、お待たせしまし・・・、アレク?」
「あ、あれ?どうしてアレクシス様が?」
まぁ、さっきまで居なかったアレクに驚くのも無理はない。ここはアレクに事情を説明してもらうのが吉かもしれない。
「アレク、その子はお前の子供か?いつの間にこんな隠し子を・・・」
「違う違う。まずは俺の話を聞け、ダグラス。こいつは旅人だ。南の森の近くでウロウロしていたところをこの町に案内してやったんだ」
「旅人・・・?こんな子供がか?」
「こいつはこれでも19歳だ。カードも確認したから間違いない」
やっぱり子供と間違われていたらしい。
「え!?19歳ですか!?」
驚く声はダグラスという男の横にいたベルからだった。まぁ、絶対同い年とでも思ってたんだろう。ダグラスを呼びに行くときなんてもうタメ口だったし。
「すまんな、ベルちゃん。驚かせてしまって」
「い、いえ!全然大丈夫です!」
さて、そろそろいいだろう。誤解も解けたことだし、泊まるのに支障は無い。
「それで、部屋は空いてるのか?」
「は、はい!」
「アレク、もう大丈夫そうだから家に戻ってくれて構わないぞ」
案内に、俺の事情説明までしてくれたアレクには感謝だな。今度礼でもしにいくか。
「おう、それじゃあ何かあったらいつでも言ってくれ。ベルちゃん、元気でな」
「あ、ありがとうございます!」
「いつでも顔出せよ、アレク」
ダグラスのその言葉に後ろ手で手を振って返しながらアレクは宿屋を出る。
アレクが出て行くのを見送ると、ダグラスはベルに後は頼んだと言って奥へと戻っていった。
ベルと二人きりになると、ベルが声をかけてくる。
「あ、あの、本当に19歳なんですか?」
「あぁ、本当だ。勘違いしたことなら謝らなくていいぞ。俺はレオだ。ベルだったな、しばらくここにお世話になるつもりだから、よろしく頼む」
「は、はい!それじゃあ、部屋にご案内しますね」
俺はベルに連れられて、部屋へと案内された。