「はぁ、ようやく落ち着けるな」
案内された部屋のベッドに腰掛ける。約1時間程のことなのにどっと疲れた気がする。
別に何かやらなきゃいけない事がある訳でもないし、このまま寝てしまっても問題は無い。だが、やはり今の自分がどれくらい戦えるのかは気になる。
「仕方ない、行くか」
重い腰をベッドから上げ、部屋を出る。あ、そういえば外出の時は言った方がいいのだろうか。
宿屋の入口まで来ると、受付らしき所にベルがいた。
「おでかけですか?」
「あぁ、少し外にな」
「分かりました、鍵をお預かりします。夕飯も料金に含まれますが、ご用意しますか?」
あぁ、アレクの知り合いの店なだけはあってサービスもしっかりしている。こちらの食糧事情も知りたいところだし、ありがたくいただいておこう。
「頼む。一応時間を聞いていいか?それまでには戻ってくるようにするよ」
「日没以降であれば、お帰り次第ご用意してお部屋に持っていきますが」
「分かった。ありがとう」
そう言って鍵を預け、外に出る。詳しい時間は分からないが、まだ日没まで時間はあるだろう。時間はほぼ問題ないか。
唯一問題があるとすれば、モンスターが近くにいるかわからないことだな。森まで行けばいるのは分かっているが、歩くと結構な距離だ。
「どうしたものか。とりあえず外に出て目でも使ってみるか?」
よしそうしよう。
門の兵士に軽く会釈をして外に出る。その場で死神の目を発動すると、遠くの方に3つ程赤く映るものがあった。
「んー、ここからじゃ形が分からんな」
死神の目を解除して赤く何かが映った方へ走っていく。
見えた。あれはコボルトか。さっき見た通り3体だな。コボルトは人間よりも少し背が低く、全身に毛が生えたような魔物だ。多少知能があるのが厄介なところだな。
「さて、この鎌の威力を見ないとな」
走りながら影から鎌を取り出す。それでもちゃんと手元まで来てくれるのはありがたい。
コボルトの持つ武器はありきたりな木の棒だ。リーチの有利はこちらにある。
3体のうち1体がこちらに気付く。だがもう遅い。俺の鎌の先は既にコボルトの胴体を捉えていた。鎌がコボルトを貫く。
「なんだ!?」
不思議な感覚に襲われ一瞬動きが鈍る。嫌な感覚ではないが、これまで感じた事のないものだ。
鈍っている隙に残った2体のコボルトが同時に攻撃を仕掛けてくる。それを鎌の持ち手で受け止め、1度距離を取る。
リーチがあるとはいえやはり鎌は少し扱いづらい。雑魚戦だからいいとしてもこれが大型モンスターだと一撃で沈められない。そもそもちまちま削るのに向いてない鎌という武器は圧倒的不利だろう。死神ぱわーで取り回しの悪さは何とかなってるが、やはり鎌はロマン武器止まりということか。
「考えるのは後だな!」
俺は鎌の内側の刃で2体の首をはねる。
またあの感覚だ。敵を倒すと発動するのか?
「ともかく、この鎌の立ち回りを考えなきゃいけないな」
そういえば、この世界にも経験値とかあるんだろうか。うーん、レベルがあったんだからあるよな。
自分のステータスを確認するためステータス画面を開くと、何やら通知が来ていた。
『レベルが上昇しました。新たなスキル【召喚:闇鴉】を獲得しました。装備品:死神の鎌のスキル【魔力変換】が成長しました』
お、流石にレベル1だとコボルト3体でもレベルが上がるのか。
また分からない事がいっぱいだが、まず新スキル獲得はありがたい。字面から予測できるが、後でまた確認しよう。
それより気になるのはその次の文だろう。死神の鎌のスキル。なるほど、装備品にもスキルが付いているのか。
こっちの方が早急に確認する必要があるかもな。