「な、なんだ!?」
俺が町に戻ろうと、クロで門の前まで降下した瞬間に聞こえたのは門の前に立つ兵士の驚く声だった。
あー、確かに高さが自分くらいある鳥が迫ってきたら怖いかもしれない。てか怖い。空を飛べた感動で考える事を忘れていた。
「驚かせてすまない、こいつは俺の使い魔だ」
クロから降りながらそう伝える。
「使い魔・・・、害はないのか?」
人の言葉を理解しているようだし、俺がダメと言えば聞いてくれると思うが、どうなんだろうな。
「あぁ、問題ない。証拠に、こいつは大人しいだろ?」
そっとクロの体を撫でる。するとクロは気持ちよさそうな顔をしながら体を伏せる。ついでに届くようになった頭を撫でる。
「そうみたいだな。通っていいぞ」
「ありがとう」
俺はそのままクロを連れて入ろうとするが、少し考えて一度影に戻すことにする。下手に目立ってこの町に居られなくなったらそれはそれで面倒だからな。
「ありがとな、クロ。また頼むぞ」
「カァー」
クロを少し撫でて影へ戻す。まぁ、いつでも呼べる事だし、移動の時はこれからクロを頼らせてもらうことになるだろう。
「そういえば、この町の探索もしたいな」
キョロキョロと辺りを見渡す。住宅もあれば、店らしき建物もある。夕飯まではまだ時間がありそうだし、今からアレクに案内でもさせようか。
「アレクの家ってどこだ?」
いつでも会えるだろうと思ってたが、そういえば家の位置を知らない。アレクにはこれからも世話になるだろうか、知っておきたい。
宿屋のおっさん、名前は・・・、忘れた。まぁおっさんに聞けば分かるだろう。俺は宿屋に向かうことにする。
宿屋につき扉を開けると、ベルがおかえりなさいと声をかけてくる。アレクの家に行きたいことを伝え、宿屋のおっさんを呼んでもらえるよう頼むと、
「アレクシス様のお屋敷でしたら、ここの前の道に出て右に真っ直ぐ行ったら見えてきます。目立つのですぐお分かりになると思いますよ」
との事。どうやらベルも知っていたらしい。昔馴染みの娘なら訪ねていても不思議ではない。
ベルにお礼を言って宿屋を出る。右に曲がって真っ直ぐだな。
少し歩くと、だんだんと建物が大きくなってくる。ここからは集合住宅じゃない、一軒家が立ち並んでいるようだ。
アレクは金持ちなのか?そもそも1人で一軒家には住まないだろう。家族でもいるのか。でも初めて宿屋に行った時の宿屋のおっさんの反応からするといないように思えるが。
「あら、もしかしてレオ様でいらっしゃいますか?」
また考え事で前が見えていなかったらしい。集中すると周りが見えなくなるのは悪い癖だ。
目の前にいたのはスーツを着た若い女性。スラッとしたスタイルだが、出るとこは出ていて美しい。
「お前のような知り合いはいないが」
「申し遅れました。私、アレク様の秘書のハートと申します」
秘書か。まぁ、兵士にかしこまられる位の偉い人物なら秘書くらいいるか。
「もしかして、アレク様にお会いになられるところでしたか?」
「あぁ。少し町を案内してほしくてな。宿屋のベルにこっち側にあると聞いてきたんだ」
「そうでしたか。それでは、お屋敷までご案内しますね」
お言葉に甘えさせてもらおう。実際詳しい場所は分からなかったから好都合だ。俺は美人秘書についていき、アレクの家に向かった。