イレイザーヘッドと合流した香山が脳無の足止めに入ってから十数分の時間が経とうとしていた。
side死柄木弔
おいおいふざけるなよ、オールマイトを殺す為に用意した脳無だぞ。それが何でこんなガキ1人殺せないってどういう事だよ。オールマイト並みのパワーを持たせ、ショック吸収の“個性”もあるんだぞ。それなのになんでだよ!?ああくそ、イライラする。
死柄木弔は虎の子の脳無が未だに誰も殺せていない事に苛ついていた。そこへ散らし損ねた生徒と13号の相手をしていた黒霧が戻ってきた。
「死柄木弔」
ああ、逃げたガキ共と13号を潰しに行かせた黒霧が戻ってきたか。
「黒霧、13号はやったのか」
「行動不能には出来ましたが生徒に1人屋外へ逃げられました」
はー…はあー…。おい、ふざけんなよ黒霧。何逃げられてんだ。オールマイト用に用意した脳無もガキ1人殺せない上にお前もか?ああ、くそ……。
「……やめだ、流石にこの状態にプロが何十人も押しかけてくるってことなら無理だ。あ~あ、今回はゲームオーバーか」
仕方ない、黒霧も脳無も役立たずな上に適当に集めたチンピラ程度じゃここまでだな。
「帰ろっか」
ああでも。
「でも、少しはスコアを伸ばしておきたいな」
俺だけでもあそこにいるガキを殺ってからにしようか。
・・・
死柄木弔が蛙吹達に仕掛ける少し前。
「おいおい緑谷。あれヤベェって。香山あの黒いのにやられんじゃねぇの」
緑谷、蛙吹、峰田の三人は水害エリアから香山とイレイザーヘッドの戦いの様子を伺っていた。
「けろ。でも峰田ちゃん、きっと香山ちゃんは大丈夫よ。相澤先生だっているわ。香山ちゃんもあの黒いヴィランを相手に持ちこたえているもの」
「それに、私達が行っても場を乱して今の状況を悪化させてしまうかもしれない。この場は二人に任せて私達は校舎にいる先生達に助けを呼びに行ったほうがいいわ」
「だ、たよな。俺たちが行っても足手纏いになるだけだもんな!なら、ここから脱出して助けを呼びに行った方がいいもんな」
でも、香山さんが黒いヴィランの足止めをして、イレイザーヘッドが複数のヴィランを次々と捕縛してるんだ。そんな光景を僕達はここで隠れてただ見ていることしか出来ず、助けを呼びに行くためとはいえ逃げるようなこと。
そして……。
全身に手を着けたヴィランの腕が隣の梅雨ちゃんに掴みかかろうとする動きを僕は何故かスローで見えていた。そして、その手に捕まれたらとんでもない事になる光景が見えた気がした。
「結べ!蜻蛉切!!」
そして、その大きく通る声が僕の新しい師達との出会いの始まりを告げる。