篠ノ之箒に一目惚れ   作:ACS

12 / 34
第11話

イギリスの面会要請にOKを出した翌日、俺は自習用のノートや参考書を買いに行かず、学園の応接室で面談をしていた。

 

相手は勿論ティアーズ型開発の関係者、正直返信した翌日に面会する事になるとは思わなかったから割と驚いてる。

 

…………専用機の話はお断りする気なんだけど、この感じだと中々に言い出し辛い。

 

そんな雰囲気を察したのか、交渉人であるスーツ姿の女性が一つ咳払いをしてから口を開いた。

 

 

「この度は我々と面会を行なって頂き、ありがとう御座いました。この交渉がお互いにとって満足行く物になる事を願いましょう」

 

「えっと、それなんですけど……俺は射撃兵器全般が苦手でして……非常に言い辛いんですが……」

 

「––––貴方の戦闘スタイルと適性は存じております。その上で我々は貴方に交渉を持ち掛けていますので、どうか話だけでも聞いては頂けないでしょうか?」

 

これ以上言い辛くなる前に言ってしまおうと思ったんだけど、断り文句を遮られてしまって思わず椅子に腰掛けてしまう。

 

そして交渉人の女性は咳払いをしつつ、鞄の中から一束になった紙の資料を取り出して、それをこちらに差し出した。

 

適性が合わない機体をそうまでして進める理由が気になっていた俺は、その資料を受け取って中身に目を通したんだけど……そこに書かれていた物は予想外としか言い様がない。

 

–––––近接強襲型ブルー・ティアーズ開発計画。

 

渡された資料は元々新技術であるBT兵器を搭載した中距離射撃型として開発されたティアーズ型、その四番機を俺の戦闘適性に合わせて近接改修する計画書だったらしく、機密情報に当たる部分は載っていないものの、機体の概要を見るに俺にしか使えない俺専用のISに仕上がる予定らしい。

 

座学の勉強をしてきたからか、書いてある内容を脳が理解して行くにつれて冷や汗が背中を伝って行く。

 

資料の中には公開されている俺のデータや、IS学園での訓練・模擬戦の結果が全て掲載されている、最新のデータはクラス対抗戦直前の物から果ては一番古いデータで学園へ入学する前の軟禁生活をしていた頃の物まで。

 

生唾を飲み込みながら徹底して調べ上げられている事に戦慄しつつ、資料から顔を上げると彼女と目が合った。

 

 

「お気に召しましたか? 我々が提供できる機体は貴方の全ての才能を十全に発揮する事が出来ます」

 

「で、ですが、ティアーズ型に限らずイギリスは射撃型のISしか作っていませんよね? 近接型の機体のノウハウなんて……」

 

「確かに我々は近接型のデータが少ないですが、その辺りは政治的取引でどうにでも。更に言えば四番機には一番機と二番機には無い特徴があります」

 

「他には無い特徴……ですか?」

 

「はい、機体の操縦系統にBT技術を組み込む事で更なる操作性と追随性の向上を図っており、その結果自分の体以上に思い通りに機体を操作できるはずです。武装であるビットも射撃兵器では無く実体剣に換装する為、狙いを付けて射撃を行う必要は無いのでご安心下さい」

 

 

資料を読めば読むほど、話を聞けば聞くほどこの機体に興味が出てきたんだけど、専用機と言う重要な選択をこんな簡単に決めて良いのか?と言う自問自答が一時的に冷静な頭を作る事に成功した。

 

––––––しかしこの後、交渉人が言った言葉が俺の心に突き刺さる。

 

 

「––––貴方のBT適性は織斑一夏にはありません。つまり、彼には扱う事の出来ない貴方だけの剣を用意できるのは我々イギリスを置いて他には無いのですよ」

 

「俺、だけの……剣?」

 

「確かに織斑一夏はあの織斑千冬の弟ではありますが……他国にとっては兎も角、我々にとってはそれだけの存在です。故に我々は男性でありながらIS適性を持ち、且つBT適性までも持ち合わせている貴方の方を高く評価している」

 

「……高く、評価」

 

「他の国が用意する機体は彼でも扱えますが––––我々が提供するブルー・ティアーズ四号機は貴方にしか扱えない、正真正銘“佐久間樹専用機”です」

 

この言葉に強く揺り動かされた俺は内側から湧き上がる衝動に突き動かされる様に立ち上がり、思わず自分の本音を漏らしてしまう。

 

 

「––––この機体なら、俺は織斑に勝てますか?」

 

「断言は出来ません。しかし貴方の持つ全てを余す事なく引き出せる事は保証致しましょう。この機体は間違い無く貴方にとって最高の剣となりますとも」

 

 

その言葉を聞いた俺は、断るつもりだった事など忘れて笑顔で手を差し伸べる交渉人の手を握って契約を結ぶ為の書類にサインと拇印を押した。

 

この契約書があれば今日から機体の改修に入れるとの事で、早ければ個人トーナメント前か、遅くても臨海学校までには完成させられるらしい。

 

丁度俺もISに乗れない期間が大体そのぐらいなので、特に困る事が無さそうで助かった。

 

細かな契約や機密事項の確認をした後、交渉人は非常に軽い足取りで学園の外へと出て行ったが、俺は自分に専用機が貰えるという事に若干浮足立ってるのか現実味が感じられず、彼女とは対照的にふらふらとした足取りで足元がおぼつかない。

 

––––結局その日の俺はそんな妙なテンションのまま一日を過ごす事となるのだった。

 




主人公の専用機は大型のブレードビットと、ガンダムOOのファングくらいのビットが飛んでいって相手を斬り裂く機体になりました。

その上バイオセンサー擬きの事をやって操縦性等を向上させている模様。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。