“羅生門”使いです。このすば世界で生きます   作:たわかなはたやかや

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初めてのクエスト

今回は初めてのクエストと言うわけで比較的簡単だと言われている“ジャイアントトード5匹討伐”を受けることにした。こいつは繁殖期になると農家や牧場でかなり家畜とかを食べる害獣らしい。ちなみにその肉はおいしいらしい。

 

そんな簡単なクエストに行く私の装備はと言うと、短剣一本と女神様がサービスでくれた黒外套だ。この黒外套は“羅生門”専用に作られていて“羅生門”をほぼ無限に伸ばすことが出来る代物だ。しかし端から見ればとても討伐に向かうヤツの装備ではない

 

「.....は?」

 

そして今現在、私はある一つの事実に驚愕していた。

―カエル、でかくね?

 

「待ってゆんゆん、私今からあんな化け物倒すのか!?」

「そうですよ?あ、お手本見せます!」

 

そう言ってゆんゆんは右手から光の刃を生み出した

 

「ライトオブセイバー!!!」

 

生み出した光の刃でカエルを正面から真っ二つに両断、カエルはピクリとも動かなくなり、その場に倒れこんだ

 

「凄い!あんな大きなカエルを一撃で倒すとは...!!!」

 

私は目の前で魔法が使われたことに感動した。元の世界では、存在しない魔法が今、私の目の前で凄まじい火力を出したのだ、男のロマンだよ!!!

 

「...あ!そういえば冒険者の方は誰かにスキルを教えてもらわないと魔法が使えないんでした!」

「いや、大丈夫だよ。」

 

私の発言に不思議がるゆんゆんを尻目に、私は剣を捨て、スタスタとカエルに向かって歩いていく

 

「“羅生門”!!!」

 

私の黒外套から黒獣の顎が形成される、やはり最初に決めるのはこの技だ

 

「“(アギト)”!!!」

 

黒獣の顎がカエルの顔をひとかじり、真っ赤に染まり頭部を失ったカエルはそのまま地に伏した。

 

「おお...これが私の魔法、“羅生門”!」

「ふぇ...?」

 

まるで何が起きたかさっぱりのゆんゆん、よし、軽く原理を説明しよう。

 

「この魔法は“羅生門”、私の黒外套から様々なものを生み出せる魔法だ。」

 

正確には異能力と言うが、その概念が存在しないであろうこの世界では言っても冷たい目をされるだけだ。

 

「み、見たことがない...凄いです!倉木さん!...本当に見たことがない.....」

「...まあ、私専用の魔法だな。ただ傷付けることしか出来ない魔法だが...まあ、これから精進していくさ。」

 

黒獣で残りのカエルも噛み噛み(グロ)していき、五体どころか、私の視界に映った全てのカエルを討伐していた。いや~、動かなくていいから楽だわ私。

 

「.....!」

 

ゆんゆんを見てみると顔色が真っ青で、ガタガタ震えていた。女の子には頭部や腹部が噛みちぎられているカエルは強烈だったかもしれない。

 

「...すまない、見たくないものを見せてしまった。」

「は、はいぃ.....」

 

ガタガタ震えるゆんゆんを連れて、街の方まで歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

無事クエストを終えたのでゆんゆんと受付まで報告しに行くと先客が青ざめた顔で受付に何かを訴えていた。

 

「だから!黒い獣が俺達が倒そうとしたカエルを頭からパクリと食べちゃったんだよ!おかげでめぐみんの魔法が見れなかったし!」

 

三人だ。一人はあまり見ないジャージ姿の男で受付におそらくだが羅生門のことを話していた。後の二人は女性で一人はその場に体育座りして呪文の様に「嫌もうクエスト受けたくない」と連呼していて、もう一人は彷彿とした目で「カッコいい.....」と言っている。

 

...ゆんゆんといい、現地人の方々は怖いな、だが“羅生門”が討伐モンスター扱いされるのは駄目だ。

 

私は“羅生門”を発動し、少年の肩に手を置いて

 

「君の言っている“黒い獣”は、こいつかい?」

「え、う、うわあああああああああ!!!」

 

黒獣は少年を一瞥した後、残りの二人を舐め回す様に見る。成程、命令せずに出せば基本自由に動くのか。

 

「...戻れ、“羅生門”」

 

命令すると“羅生門”はするすると私の黒外套の中に戻っていった。

 

「ふおおおお!!!」

 

突然三人の内一人の少女が私の両腕を掴む

 

「さ、さ、さっきの!さっきの獣はあなたが召喚したのですか!?」

 

ゆんゆんと同じ、紅い目をキラキラさせて私の両腕を振る

 

「あはは、まあそうだね、あれは私の“魔法”だ。」

「ぐぬぬ....紅魔族である私ですら見たことが無い魔法を使うなんて...しかもカッコいい!カズマもアクアもそう思いますよね」

「お、おっかないわよ!!!」

 

青髪の女性が反応する

 

「いやーそれにしてもその紅い目、ゆんゆんに似ている。」

「ゆんゆんを知っているのですか!?」

「無視!?」

 

「あはは.....まあ、私は彼女のパーティーメンバーなのでね。」

「嘘です!あのコミュ障のゆんゆんにパーティーメンバーが出来る筈ありません!」

 

失礼だなこの子。

 

「...まあいいよ、名前は?」

 

少女は以前見たことのある独特なポーズをとり、叫ぶ

 

「我が名はめぐみん!!!紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者ッ!!!」

 

ヤバい、紅魔族だ。

 

「そうですか、失礼します」

「ちょっ!なんで遠ざかるんですか!?」

「紅魔族のヤバい話はゆんゆんから死ぬほど聞いたからね。」

 

ヤバいヤツはゆんゆん一人で十分だ。

そんなことを考えていると、後ろにいたゆんゆんが生気を取り戻したようにめぐみんに掴みかかった

 

「ゆ、ゆんゆん?君何してるの?」

「き、今日出会ったが100年目よめぐみん!!!あなたに決闘を申し込むわ!!!」

 

とんでもないことを言い出したゆんゆんの頭をしばく

 

「申し訳ない、うちのパーティーリーダーが馬鹿みたいなこと言い出しまして...ゆんゆん?駄目じゃないか人様に迷惑かけるなんて、見てみなさい、彼女困った顔してるだろう」

「おい、私のことはめぐみんと。」

 

「....とにかく、報酬を貰いに行こう。」

「おい」

 

めぐみんを無視し、ゆんゆんの手を引っぱって受付の元に向かう

 

「クエスト、クリアしてきましたよ。確かカード見せれば大丈夫ですね。」

 

片手で懐を探り、カードを取り出して受付に手渡す

 

「あ、ありがとうございます.....え!?80体!?」

「狩り過ぎましたかね、目に映ったカエル全て狩り尽くしたのでね。」

 

「は、はは...凄いですね、と、とりあえずジャイアントトード一匹の相場が5000エリスなので40万エリスですね。」

 

カウンターにどっさりと重みのある袋が置かれた

 

「40万エリス!?ゆんゆん!やったぞ!!!私稼いだぞ!!!さあ、ゆんゆんもカード見せるんだ!!!」

「は、はい//」

 

ゆんゆんが心なしか照れている気がする。照れる要素なんて皆無なのだが。

 

チッ.....この無自覚女たらしが.....

 

カズマ君、私は地獄耳でね。今回は“羅生門”とにらめっこの刑で許してやろう

 

「...ゆんゆんさんは1体ですね。5000エリスです。」

 

カウンターに銀貨が5枚置かれた。

.....これでは彼女は今日食べていけないのでは、と思った私は袋の中から金貨10枚取り出して彼女に渡した。

 

「え、いいんですか!」

「それだけじゃ君は食っていけないだろう。」

「あ、ありがとうございます.....」

 

申し訳なさそうに受け取った彼女を横目に“羅生門”に釘つけの三人の元へ向かい

 

「君たち、いっしょに食べないか?」

「俺たちは無一文なんだよ!!」

「そうか、せっかくおごってやろうと思ったのだが。」

「愚痴言ってすいませんでしたー!!!おいお前ら!今日おごってくれるこの方に頭下げとけ!!!」

 

この日、私が貰った金が全部消えたことは言うまでもない。

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