“羅生門”使いです。このすば世界で生きます 作:たわかなはたやかや
昨日、私の初給料は飲み代で全て消えたが、その分得たものは多かった。カズマ君が私と同じ転生者で前世のネタを共有出来る数少ない友達となったのだ。めぐみんは“羅生門”と戯れていた。“羅生門”の頭を撫でたり、“羅生門”に出された料理を食べさせたりしていた。こんなに肝の据わった子は始めてみたよ。正直ちょっと引いた。
青髪の女性はイタい奴だった。自称水の女神だ。頭おかしいんじゃないのって言ったら泣かせてしまった。
今現在、私はそんな彼らとクエストに行っている。何でもカズマ君たちは昨日の件について申し訳なく思っているようで、昨日の飲み代を返したいそうだ。別にいいとは言ったのだが、押し切られてクエストに行く羽目になったのだ。だがひとつ彼らに言いたいことがある。
「私が着いて行く必要無いのでは?君たちが返したいなら君たちだけで稼いだ金で返せばいい。」
「い、いや~、トウゴ、今回だけ力を貸してくれ!ブルーアリゲーターが出たら対処出来る人材が欲しかったんだよ!」
今回受けるクエストは“湖の浄化”、ブルーアリゲーターが住み着いた湖を浄化してブルーアリゲーターを追い出すクエストらしい。
「まあ、返さなくてもいいんだけど。」
「トウゴもそう言ってるんだし、帰ろーカズマ。」
「駄女神、お前はトウゴに昨日シュワシュワ何杯おごって貰った?」
「え!?.....そ、そのー、15杯。」
「お前に罪悪感はねーのかよ!!!そんだけおごって貰ったんなら稼いで返せよ!!!」
「何よ!!本人が返さなくてもいいって言ってるんだからいいじゃない!!!」
始まった、口喧嘩。昨日飲んでる時もやってたな。
「トウゴ、あの子は連れて来なくて良かったのですか?」
「ゆんゆんか、彼女には私用の件に関わらせたくないからな。彼女は待機だよ。」
「絶対連れてきた方が良かったですよ、今頃泣いてますよ。あの子寂しがり屋なので」
「初耳だな。孤高のソロプレイヤーなのだろう、彼女。」
「人見知りを拗らせた結果ですよ。」
「ブッ.....あっはっはっは!!!面白い!」
いやー、思わず笑ってしまった。そういうネタはツボにマッチするんだよ。
そんな話をしているといつの間にか湖に着いていた。
ここでカズマが今回の作戦を説明する。
「まず、今回の主力は駄女神だ。お前が浄化する体質だから今回のクエストを受けれたからな。駄女神が湖に入っているとき、いつワニが襲って来るかわからないからな。そんでトウゴは駄女神の近くに配置、ワニが出たら倒してくれ、もし倒せない場合はめぐみんの爆裂魔法で倒す。」
「いいのでは?私は賛成するよ。」
中々いいと思う、私の魔法であればワニなど瞬殺だ。顎で空間ごと食べてしまえばいいのだから。
「...爆裂出来ないじゃないですか。」
「当たり前だ、お前の爆裂は苦情が来たって聞くからな。奥の手なんだよ。大抵の敵はトウゴだけで倒せる筈だ。と、言う訳で配置に着けよ!俺とめぐみんはあの丘で待機してるわ。」
カズマは何もしないのかと思いつつ、自称さんと湖に向かった。
☆☆☆☆☆
なんやかんやで浄化が始まって3時間が経過した。特に湖に変化は無く、無事に浄化が進んでいる
「アクア、暇だよ」
「ピュリフィケーション、ピュリフィケーション!」
アクアに話しかけても無視、それだけ集中していると言うことだ。
カズマたちの方を一瞥するとのんきにサンドイッチを食べているではないか、私に金を返したいと言った張本人が何故のんきにいられるのか不思議でならない。
その時である。アクアの周りに黒い影が現れたのは。
「“羅生門”!!!」
黒外套から出る複数の刃が影をめった刺しにし、その正体を確かめるために“
「へぇ、中々だね。」
私が吊るし上げたワニは所々に深い刺し傷があった。ワニ系統の背中は基本硬いが、“羅生門”の敵ではなかったようだ。
アクアの方を見てみると吊るされたワニを見てガクブルしていた。まだいるかもしれないのに1匹1匹にビビっているようじゃ半日で終わるものも終わらない。
「ほら、ビビってないで手を動かして、早く終わらせますよ。」
「だ、だって.....」
「“羅生門”!!!」
「え?」
アクアの後ろから3匹飛び上がってきたので無数の刃で迎え撃った。
「大丈夫、私がいる。大船に乗ったつもりで浄化してください」
「.....!う、うん、わかったわ!」
さて、少し遊ぼうか。
☆☆☆☆☆
丘の上で駄女神たちを眺めている今日この頃。
トウゴが黒獣以外にも黒刃を出したのが何よりの驚きだった。本当、何故俺は転生特典にあんな使えない女神を選んだんだろうと後悔している。
「カズマ!凄いです!黒刃がいっぱい出てます!.....カッコイイ.....」
「ああ、わかってるよ。」
俺も先程魔法を通りすがりの盗賊に幾つか教えて貰った。使ってみたいのは山々だが、今回のクエストでは使えないだろう。
「ふああ.....眠い。」
「覚ましてあげようか。」
その声につられ、顔を上げると
「ぴぎゃああああああ!!!」
つい最近見た黒獣が至近距離で俺を見つめていた。
「あはははは!!!やはり君は面白い、カズマ君!」
「俺は面白くねぇんだよ!!!」
昨日以来、俺を頻繁に脅かしてくるようになった奴、トウゴだ。
「...何でお前がここに来たんだ」
「ああ、ワニを狩りつくしたのでね。あそこにいる意味が無いよ。」
俺の索敵スキルで、湖辺りを探ってみると、ワニらしき反応は消えていた。つまり本当に全部倒したってことだ。
そんなトウゴは丘の大きな木の下に飛び込み、ふい~、と一息着いた後サンドイッチをひとつパクリと食べた。
「...旨いな、誰が作ったのかな、これ。」
「ああ、私ですね。」
するとトウゴはとんでもない行動に出た。自分の手を、めぐみんの頭の上に置いたのだ。
「ありがとう、美味しいよ。」
「!!!い、いえ、その...///」
「おいトウゴてめぇ!!!それは俺に対しての当て付けかこの野郎!!!」
「え、ちょっ!うおおおお!!!」
一度痛い目にしてやろう、そう思えるほどムカついた。
ダクネスは登場させます。必ず。