“羅生門”使いです。このすば世界で生きます   作:たわかなはたやかや

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お久しぶりです。


銀髪の女♯2

満月が煌めく夜、この町アクセルの大通りにて、私は彼女を待っていた。昼やらかしたことは謝るつもりではあるが、寧ろ褒め称えられてもおかしくないだろう。

 

「...君ってやつは..........」

 

やってきた。盗賊という職業の割には案外お人好しそうなクリス君が。

 

「やあやあ、来てくれて良かったよ、クリス君。」

「私個人としては君に恨みしかないけどね。」

「そうかい、でも()()を見てもそう言えるかな?」

 

私は懐から彼女のダガーを見せびらかす。

 

「あっ!私のダガー!...って、あれ?なんか.....」

「おおう、わかるかい!?君のこのダガーは元の性能にさらに無機物、両生類キラーを搭載し、ダガーで切った切り口が燃える火属性を追加させて貰った。」

「.....え、えぇ!!??」

 

まあ、女神様に持たせる物だからな、やはり最上級の性能の武器を使って頂きたい。

 

「ま、まさか昼それを盗っていったのは...!!」

「ええ、貴方には最上級のダガーを使って頂きたいので。」

 

私はそう言って彼女に手渡そうとする.....寸前でダガーを持つ手を引き上げる。

 

「え?」

「このダガー、これだけ強化するのに私の全財産を費やしたんですね。易々とお返しするわけにはいかないんですよ。」

「え、え??」

 

そう、以前のブルーアリゲーターの報酬金が殆んど消えたのだ。

 

「なので、お返しする代わりに幾つか条件を、と思いましてねぇ。」

「それ君が勝手に強化したんだよね!?なんで条件なんかつけられなきゃいけないの!??」

「まあまあ、話は最後まで聞いてくださいよ.....貴方には私達のパーティーメンバーになって頂きたいのです。」

「.....はい?」

「ですからパーティーメンバーですよ。これからの冒険で苦楽を共にする「いやわかってるよ!!」.....」

「なんでパーティーに入らなきゃならないのさ!?君知ってるよね!?私女神だよ?天界で先輩がほったらかしにしてる仕事とか自分の仕事とかもあるんだよ!?」

「ではこのダガーは売り飛ばしてしまいましょうか。」

「う、ぐぬぬ.....」

 

我ながら狡猾な手だとはわかっている。それでもこうしなきゃゆんゆんの元に新しいパーティーメンバーが加入するとは考えられないのだ。

 

「今朝にも聞きましたが、40万エリスは下らない一品だそうで、後、ギルドでとある義賊の話を聞いてみると盗んだ金は全てエリス教徒に寄付しているとの事、貴方でしょう?この義賊は。」

「.....どこにそんな証拠が」

「目撃情報によりますと、背の低い白髪の男の子と聞いたんですが、貴方でしょう?昼にも言ってましたよね、銀髪盗賊団の一員になれと。しかもその小さい胸だと間違われても仕方ない。」

「君、喧嘩売ってるの?買うよ、私?」

「そう言う意図で言ってはいませんよ、只、40万エリスもの大金、持ち合わせが無いんじゃないんですか?」

「.....」

「ただ、ただパーティーに入ってくれるだけで更に高性能なダガーと、日々のクエストの報酬、その報酬で寄付も出来ますし、盗みなんで危ない道を渡るよりも効率的です。」

「.....本当、私は何で君に女神とか、いろんな情報教えちゃったんだろうね。わかったよ、君のパーティーに入るから、ダガー返して。」

「言いましたね?女神の名に誓って。」

「言ったから!早く返してよ!」

 

流石に怒りそうだったので素直に返す。

 

「.....で?他には要件はないね?」

「ではひとつ、昼の続きと行きましょう。バインドと千里眼でしたね?私に教えてください。」

「...そうだね、わかったよ。」

 

こうして私は千里眼、バインド+αを習得した。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

 

翌日、ギルドにて、ゆんゆんと私は席で優雅にお冷やを飲んでいた。

 

「ゆんゆん聞いてくれよ、昨日新しいパーティーメンバーのスカウトに成功したんだよ!」

「すごいです!これで私たちのパーティーもより強い敵と戦いにいけますね!」

「ああ、最後にゆんゆんの許可さえ貰えれば正式加入だよ!彼女はそろそろ来る筈だが...」

「...彼女?」

 

辺りを見回すと、ちょうどギルドに入って来た様子のクリスもといエリス様を発見。手招きで誘う俺に気付いた彼女はムッとした顔でこちらに寄って来た。

 

「さあ紹介しよう!こちら私が誘いました盗賊のクリス君です。」

「クリスだよ、よろしくね...って、ゆんゆん!?」

「あれ!く、クリスさん...!」

 

お互いに顔を見合せて驚いている。どうやら面識があるようだ。

 

「どうだいゆんゆん、彼女のパーティー加入の方は?」

「も!もちろん!...不束者ですがよろしくお願いします。」

 

後その挨拶は止めといた方がいい。なんて思うが口にしない。

 

「うん、トウゴのパーティーメンバーだからどんなヤバい奴かな~なんて思ってたけどゆんゆんなら心配ないね!こちらこそよろしく、ゆんゆん!」

「はい!.....と、後トウゴさん、クリスさんに“コイツ”なんて言われてますけど...何かあったんですか?」

 

怖ッ、ゆんゆんのノーライトアイ怖ッ!

 

「あっはっはっは、この私がクリス君のような麗しい少女に手を出すわけないだろう?」

「そうですよね!トウゴさんに至ってそんなことするわけないですよね!」

 

ゆんゆんは簡単に言いくるめれるから楽「昨日私のダガー盗っていったよ。」...ギクッ!

 

「.....本当ですか?」

「いやいや、いやいやいや!ないない!私が犯罪を犯すなど「で、ダガーを返して欲しければパーティーメンバーに入れと脅して来たんだよ。」ちょっとクリスアンタ、ふっざけんなよ!!私は確かに盗りはしたが給料の大半を注ぎ込んで元より何倍も高性能なダガーにして返してやっただろ!?明らかに君は得しかしてないじゃないか!!」

「...盗りはしたんですね。虫のいい話だと思いましたよ!」

 

しまった!怒りに任せて口を滑らせた!

 

「.......すみませんでした。」

 

私は口を滑らせた自分を心底恨みながら大人しく土下座を刊行した。

 

「それは私じゃなくてクリスさんにやってあげて下さい。ですよねクリ...ス、さん..........」

 

何かゆんゆんが言葉を失った。私も原因を探るべく顔を上げようとすると突然何かに頭を押さえ付けられた。

 

「.....アハ、いいねコレ、私を散々姑息な手で脅して無理矢理パーティーに加入させた男の、この悔しそうな表情、態度。」

 

.....あれ?おかしいな(笑)..........エリス様がドSだぞ??しかも頭にあるこの感触は完全に靴。

..........あれ、おかしくね?

 

「.....あの、クリスさん?」

 

横からゆんゆんの声が入ると、ハッと我を取り戻した様に私の頭から靴をどける。恐る恐る顔を上げると女神とは到底思えないような狂気的笑顔をゆんゆんに見えないようにこちらに向けていた。

 

「.....あ、うん、ゆんゆんごめんね。私は大丈夫だから、寧ろ孤高のソロプレイヤーゆんゆんがいるから他のパーティーよりも楽しい冒険が出来そうだよ。これからよろしくね、ゆんゆん」

 

「こ、こちらこそ!そう言って貰えて.....!!」

 

ゆんゆんは一人盛り上がっているが、私は今の台詞を例の笑顔のまま吐いたエリス様が恐ろしくてたまらなかった。何か声を掛けられたのならチビる自信もある。

 

「.....これからもよろしくね、トウゴ。」

「は、はい!!エ...クリス様ッ!!」

 

ヤバい。このパーティーでエリス様に逆らえる奴がいなくなった!

この女神様(ひと)をパーティーに誘ったのは間違いだったかもしれないと今更後悔する私であった――

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