“羅生門”使いです。このすば世界で生きます   作:たわかなはたやかや

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長い一日♯1

エリス様もといクリス様がパーティー加入してからというもの、クリス様に妙に睨まれるようになった私はギルドで優雅にお冷を飲んでいた

 

「...ああ、ここのお冷は今日もうまい」

「ちゃんと注文したらどうなのかな...優雅に飲んでるけどそれお冷だしね。」

 

目の前にいるクリス様はジト目で私の事を睨んでくるがお構いなしである。

 

「あ、そういえばゆんゆんは?あの子いつも朝からギルドにいるのに。」

「ああ、後から来るって聞いてるよ。何でも同郷の子にちょっかいをかけに行くそうだとか。私も来ないかと言われたが遠慮しておいたよ。」

「アハハハ...」

 

誰が好き好んで紅魔族と関わりたいというのか...私は極力避けたいんだよ。

 

「それで?今日からクエストに行くんだろうけどどうするの?」

「さあ?」

「さあ?って...今まではどうしてたのさ!?」

 

今まで?

...お試し感覚でカエル狩りに行って、ブルーアリゲーター討伐に行って......いやブルーアリゲーターはカズマたちと行ったからパーティー活動にはカウントしないか......

......あれ?

 

「...カエルしか受けてないからわからないね。」

「............前途多難、だね...」

 

トホホとあからさまにテンションが下がるクリス様。やはり女神というだけあってどんな行動をしても可愛らしいものである。まあこんな幼女体系の人を性的な目では見れないがね。

 

「失礼なこと考えたでしょ」

「...はて?何のことやら...おっ、あれはゆんゆんじゃないか?」

「そういう所だよ君。」

 

睨んでくる女神様はさて置き、本当にゆんゆんがやって...きた...って

 

「...ゆんゆん?隣に連れているのは誰だい?」

「失礼な!!以前一緒にクエストに行ったじゃないですか!!」

 

...あーやだやだ。なんでこんな厄介事の種みたいなのを連れてくるかね......

 

「仕方ないですね...何度でも自己紹介してあげましょう!我が名はめぐみん!アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法、爆裂魔法を操る者ッ!」

「あーはいはいエセ魔法使いのめぐみんさんおはよう」

「エセ魔法使い!?今エセ魔法使いと言いましたね!?」

 

激昂するめぐみんはさておき、私はゆんゆんの方を向く。

 

「...言いたいことは分かってるね?」

「..................はい。」

 

ゆんゆんは、それはそれは申し訳なさそうな表情をこちらに向けてきた―

 

☆★☆★

 

「クッソ!!カズマの野郎!!」

 

私は激怒した。かの邪知暴虐のカズマを除かなければならぬと決意した。

アイツ今日はダストとかテイラーとか言う連れととある店に行くから爆裂狂の相手をしてやってくれとか言う理由でこっちのパーティーに寄こしやがった!!アイツ今度会った時にどうしてくれようかァ!!!そうだ!自分の為ならパーティーメンバーも平気で他人に押し付けるカスマさんってあだ名を広めてやる!!

...だが今、起きてしまったことを嘆いていてもどうにもならないことぐらい私は理解している。誠に遺憾だが仕方ない。

 

「...仕方ない、今日は面倒を見てあげるよ。」

「上から目線なのは何ですか、喧嘩を売っているんですか!?」

 

おっと、先程の件で多少興奮しているようだ。これは少し宥めなければ話が出来ないかな。

 

「“羅生門・顎”」

 

この爆裂狂は私の“羅生門”にやけに食いついていたのでこれで何とかなるだろう。

 

「おお!しょうむんではないですか!よしよしいい子ですね...!」

 

思い通り食いついた。何故か“羅生門”も気持ちよさそうに撫でられているが...

 

「...しょうむんって何?」

「勿論この子の名前ですよ?」

 

いつの間に名付けられていたのだろうか。しかもネーミングセンス皆無な名前だし。

...紅魔族と呼ばれる所以を理解した気がするよ...いや何度か奇怪な行動は見たんだけどね?

しかも“羅生門”もまんざらでもなさそうだし。

 

「...まあいいか。それで?今日から本格的に活動していくわけだがどうする?」

 

そう聞くとゆんゆんが真っ先に声を上げた。

 

「はい!私そろそろ一人で倒してた一撃熊とかゴブリンとか行きたいです!」

「私はダンジョンに行きたいかなー。」

「私は爆裂魔法を撃ちたいです!出来れば大きくて硬いものが...」

 

見事にバラバラである。ゆんゆんは一人でやれるなら一人で行けばいいし、めぐみんに至っては何だよ大きくて硬いものって。

...何だろう。紅魔族以外が言ってることは全てまともに聞こえる気がする。

 

「ダンジョンですね。」

「なんでですか!!私ダンジョンだと本当に何も出来ないんですよ!」

「いいのでは?爆裂魔法なんてキワモノ、撃ったら絶対に最悪な展開になるのが見えているし。て言うか君、爆裂魔法以外も使えるんだろ?」

「無理です爆裂魔法以外使えません」

 

...本当に厄介なモノ寄こしてくれたなあの男!!!

 

「...あ、だったら二つクエストを受けたらいいんじゃないかな?」

 

クリス様が思いついたように声を上げる。

 

「...ゆんゆん、一日に二つクエストを受けるのってどうなの?キツいの?」

「えっと、私はよく一日に何個もクエスト受けてたからキツくないですけど...」

「めぐみんは?」

「カズマがあんなだから一日に一個しか受けません。」

 

はんはんはん...成程成程......

 

「...それが一番いいな。」

 

そうすることにした。依然聞いた話だが爆裂魔法を撃った後は莫大な魔力消費で動けなくなるらしいし。それが一番安全に今日一日をやり過ごせるだろう。

 

「さて、なら早速行動開始だ。ゆんゆん、討伐クエストの張り紙を持ってきてくれ」

「は、はい!」

 

ゆんゆんは張り紙の所まで走っていった。

 

「さて、あいつが戻ってくるまで今日の流れを軽く説明しよう。まず一個目のクエストでめぐみんの爆裂欲を発散させる。ゆんゆんが持ってくるやつの中からめぐみんに選んでもらうからどんな物が来ても文句は受け付けないぞ。」

「まあ、いいでしょう。」

 

コイツさっき私の事上から目線と言っていたくせに自分も大して変わらないじゃないか。

 

「次のクエストだが以前より目を付けていたダンジョンクエストがある。そこを攻略するぞ。」

「へぇ~!因みに何て言う所?」

「周りからは“黄金の洞穴”と言われているらしい。」

「面白そうじゃん!!」

「...私は何もできないのですが。」

「安心してくれめぐみん。君は今日()()()で楽しんでもらうからね。」

「特等席...?」

 

「持ってきました!こんな感じですね。」

 

ゆんゆんが来たのでこの話は後程としようか。

 

「ありがとう、どれどれ...」

 

持ってきたのは一撃熊四匹の討伐(報酬一匹につき5万エリス)、白狼の群れ百匹討伐(百万エリス)、マンティコアとグリフォン討伐(報酬五十万エリス).........高難度しかないのかよ...まあやるなら一撃熊が一番現実的な気がするんだが。

 

「あ!このクエスト前からやりたいと思ってたんですよ!」

 

めぐみんは一撃熊には目もくれず、マンティコアとグリフォンの紙を取る。

...何気に一番嫌なやつ取ってくれたな...

 

「それ、この中で一番高難度だよ?大丈夫なの?」

「これがいいです!これにしましょう!!」

 

......まあ選んでもらうって言ったのは私だからな。今更違うのにしようって言うのは男が廃るってものだろう。

 

「...まあ爆裂魔法とやらで倒せる自信があるから本人もそれがいいって言ってるんだろうし大丈夫だろう。」

「あ、爆裂魔法でも一か所に纏めてくれなきゃ仕留めれないですからね。そこのところよろしくお願いしますよ。」

「............」

 

爆裂魔法以外全て投げやりなめぐみんを見て、やっぱりダンジョンだけにしようかなと思う私であった。

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