魔法少女リリカルなのはStrikers~La Forza del Destino~ 作:アヤト
「それでは皆様、私の歌劇をご観覧あれ」
かつて、友と呼んでいた男はそう言って俺を彼の舞台へと誘い、那由多の時を繰り返し自分の望みを叶えようとした。
「ここから先は、女神の独り舞台でなくてはならぬ」
それこそが、自分の初めての友であり、世界を教えてくれた恩人の願いだった。
「あぁ、そうだなメルクリウス。これからの世界は、彼女たちの物語だ。」
人間大の宇宙。
歩く特異点。
求道神。
そう呼称される存在である俺も、やはり友と同じ心境だった。
それに何より、俺にはこれからやりたいことがあった。
我が友、カール・クラフト=メルクリウスの歌劇が終焉を迎えた今だからようやく俺は自分のルーツを探すために旅立てる。
そもそもが、おかしな話なのだ。
求道神というのは、己の内側に向かう渇望を神域まで高めた存在。
自分自身を、願った通りの形に変質させる存在だ。
そんな求道神である俺が、
そりゃそうだ、みんな心の底からの願いを抱いた上で、その渇望によって異能を発動させるんだから。
だけど俺にも一応きちんとした能力はある。
そもそも知らないというのは語弊があると言わざるを得ない。
忘れさせられたのだ。
我が最初の友であり恩人でもある水銀の蛇によって。
彼は俺のことを大層気に入ったらしい、それこそ彼の愛した女神と同等に。
今にして思えばおかしな話ではない。
なぜなら彼が世界を治めていた間、純粋に己の力量のみで神域に到達したのは、メルクリウス、黄昏の女神、そして俺だけ。
つまりはそれだけ異質な存在だったのだ。
ゆえに彼は、俺の存在を摘むことを良しとはしなかった。
もしも俺が彼の女神を蔑ろにし、全てを破壊するような渇望を抱き、それを行っていたのなら彼は即座に俺を消していただろう。
だけど、そうはしなかった。
それは俺の性質が、そんな方向を向いていなかったからなのだと彼は言った。
数少ない彼にとっての未知を潰すことにはやはり前向きではないようだ。
だが俺の渇望は、下手をすれば俺の意思とは裏腹に彼の舞台に影響を与えかねないようだった。
だから彼は俺に名を与えた。
それまで、自身の名前すら知らなかった俺に、その名を関することで、名が持つ意味に縛られ本来の渇望を抑えたのだ。
されたことは、黄金の獣やその爪牙らが与えられた魔名と大差はない。
彼が与えた何よって、そのものの運命に楔を打ったのだ。
ただ、成り立てとは言え彼と同じ神域存在である俺を相手としたために規模が大きいことと、神域に至った後に本来の渇望を封じ込めるというおかしな事態なために少々荒療治になってしまったということだ。
そして俺に与えられたのは
俺の本来の渇望とは違うが、大筋からは外れぬ傍流の渇望。
風になりたい、風のように自由でいたいという渇望と
その渇望に相応しき風の神の名
ゼピュロス・アネモイ
「
別れの言葉を口にして、俺は足を動かし始める。
ああ、本当に、さよならだ。
黄金の獣
その爪牙ら
永遠の刹那
彼が愛した刹那たち
そして
水銀の蛇よ
え~、というわけで初めての投稿となりました。アヤトと申します。
なんだか色々使い勝手がわかってないのでまだまだこれから苦労すると思います。
いち早くなれたいと思います( ^ω^)……