世界創造者   作:エターナルロリコン

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第十四話 村長

 クレアルに入ったクリス達が町の中を散策しつつ、村長の家を目指していた。

 剣を背負っているのが物珍しいのか町の人達がずっとこっちを見ている。

 

 それもそのはず。

 先にも説明した通りここはモンスターマスターの町だ。

 剣は愚か、武器すらも存在しない唯一の町、見られるのは当然である。

 

 だが、俺には1つだけ気になる事がある、それは俺の隣を歩いてるセームベルへの視線がよそ者を見るような目で見ているからだ。

 

 「な、なぁ……セームベル」

 「どうしたんですか?」

 何も気にしてなさそうな口調で返すセーム。

 

 「あ、いや……町の人達の視線が……」

 セームは何かを察したのか、少し暗い表情をした。

 「……さすがクリスさんですね、気づいてしまいましたか……」

 

 「……どういう事だ?」

 さっぱり分からないクリスはセームに問いかける。

 すると、突然セームがクリスの左手を握り

 「町の皆は、私を一目見れば分かるんでしょうね……私に、モンスターマスターの力が無いことに」

 

 クリスは握ってきた手を握り返し

 「それなら、この町を出て俺と一緒に来ればいい……俺は別に構わんし」

 そんな一言にセームの顔が少し晴れた。

 

 手を繋いだまま、町のど真ん中にある村長の家に辿り着いた。

 「セーム、ここが村長の家か?」

 セームは頷く。

 するとセームが左手を伸ばしコンコンっとノックをする。

 

 数秒後ゆっくりとドアが開き、中から村長らしきおじいさんが顔を出す。

 おじいさんは2人の顔をチラチラと見たあと

 「セーム……セームベルなのか」

 「はい! 村長!」

 

 少し涙を浮かべたセームは村長に抱き着いた。

 そんなセームの頭を少し撫でた村長がクリスの方を向き

 「そなたがセームを連れ帰ってきてくれたのですね、お礼を言います……ありがとう」

 

 クリスは無言で少し微笑み首を横に振った。

 「俺はたまたま森でこの娘と出会っただけです」

 「とりあえず、2人共家に上がりなさい」

 

 そういうと村長はセームをそっと離し、家の中へと案内する。

 

 家の中へと案内された2人は奥へと入っていくと、村長とその隣に村長の奥さんが座っていた。

 

 「2人共こっちへ来て、座りなさい」

 

 村長は優しい口調で床をポンポンと叩きながら言う。

 2人が顔を見合わせ軽く頷き、腰を下ろした。

 

 「さて、早速本題じゃが……」

 と、村長が言い始めた所にセームが割って入る。

 

 「村長……分かっています……私はここを出ていきます」

 そこに居たセーム以外全員が驚きの表情をした。

 

 「そ、そうか……もう決めてしまったか」

 村長が少し暗い口調で言う。

 

 「村長もお気づきだと思いますが、私にはもうモンスターマスターの力はありません……ここの町に居座る資格はありません……」

 

 「……わかった、ワシからはもう何も言うまい……そなたはなんと言ったかな?」

 

 村長がクリスに問う。

 「すみません、申し遅れました……クリス・レギンスと申します」

 クリスは頭を下げながら挨拶した。

 

 「ふむ、では改めてクリス殿……セームの事をよろしくお願いします」

 村長が深々と頭を下げ、それに合わせ奥さんも頭を下げる。

 

 「お二人とも、頭を上げてください」

 セームが言う。

 

 「私は確かにここを出ていきますが……クリスさんに付いていく気はありません……」

 

 クリスは驚いたが。

 「付いて来ないのか……」

 「はい、今の私ではクリスさんの足でまといにしかなりません……なので一人で修行の旅に出ようと思ってます」

 

 クリスはセームの真剣な眼差しに何も言えなかった。

 

 「すみません、村長今日の所は家に帰りますね」

 村長は頷き、玄関まで送ってくれた。

 

 玄関で村長に頭を下げ、家を後にしたクリス達はセームの家へと向かう。

 

 セームの家は村長の家から2分ぐらいの所に建っていた。

 家に着くとコンコン ガチャっとセームが玄関を開けた。

 

 「ただいまお父さん、お母さん」

 

 すると、奥からこちらに向かってくる人影がある。

 

 「おかえりなさい、セーム」

 「ただいま……お母さん……」

 

 セームは涙目になりながら、母親に抱きついた。

 そんなセームの頭をそっと撫でる母親。

 

 「大変だったね」

 

 セームは母親の懐でコクッと頷く。

 

 少し頭を撫でていた母親が視線をこちらに向け

 「この娘を守っていただきありがとうございました、なんてお礼を言ったらいいか」

 

 「いえいえ、俺は困っていたのを助けただけです、お礼なんてそんな」

 「ですが……そうですね、もう今日は遅いですし、ぜひ泊まっていってください」

 母親が笑顔で提案してくる。

 

 俺はそんな提案を頭に入れながら一旦外を見る。

 もう夕日が見えなくなりそうなほど日が落ちていた。

 こんなタイミングでまた移動しては野宿は免れないと思い。

 

 母親の方に向き直し

 「じゃあ、すみません……お言葉に甘えさせていただきます」

 

 「分かりました」と笑顔で返してくれた。

 すると、目を真っ赤にしたセームがこちらに向き手を出してくる。

 

 「クリスさん、私の部屋に行こ」

 

 「分かった……すみません、お邪魔します」

 と、セームの手を取り2階にある、セームの部屋へと向かった。


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