「ゴブリン?恐いから会いたくないけど会ったら処理するよ」 作:ブランク蟻
第1話
「どうしてこんなにゴブリンに遭遇するんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
この者は「薬使い」 行く先々でゴブリンと出会う男。
薬使いは辺境の地にある人口50人程の村で生まれた。母は薬師で父は農業を営んでいる。
彼はゴブリンを恐れていた。きっかけは6歳の時に聞いた村長が話す英雄の物語だった。全5章に分けられるこの物語の中で英雄が第1章の最初に倒すモンスター、それがゴブリン。
内容はゴブリンの群れが村を襲い、そこに偶然居合わせた英雄が数の暴力に苦戦しながらも勇敢に戦いゴブリンを退治するというものである。話を聞いていた村の子供達は英雄の活躍に目を輝かせていたが、彼が感じたのはゴブリンが持つ数の暴力への恐怖だった。
彼は不安だった。ゴブリンは実在する。この村も襲われてしまうのではないかと。不安になり過ぎて眠れずその日は両親のベッドに潜り込んだ。
事情を聞いた両親に「大丈夫よ」「ゴブリンなんて父さんが退治してやる」と抱きしめられて眠った。
しかし、彼の中の恐怖は完全には消えず、その数年後に起きた出来事が彼のゴブリンへの恐怖は更に大きなものへとしていく。
その日、8歳になった彼は母の薬の配達について行った。少し遠く街で、往復すると4日ほどかかる場所だった。
問題が発生したのは帰り道。行きに通った村の一つがゴブリンに襲撃され壊滅していたのだ。襲撃したゴブリンは村の生き残りが依頼した冒険者達により駆除されたらしいが、村にはまだ埋葬されていない村人達が地面に横たわっている。
彼はその場で嘔吐し、その小さな頭で理解した。ゴブリンがどれほど危険な存在かを。
そしてその危険がいつ自分達に降りかかってもおかしくないことを。
自分の村に帰った彼はその日から動き始めた。村中の大人に手当たりしだいにゴブリンの話をし、どうすればいいか相談した。
ゴブリンの危険を知るものは真剣に話を聞いてくれたが、若者達は完全にゴブリンを舐めていて最初は話も聞いてもらえない。
しかし、彼は何度も若者達のもとを訪れ、壊滅した村の話をした。<その村にも若者が複数いたこと、その若者達がゴブリンに挑んだが数の暴力に太刀打ちできずに呆気なくやられてしまったことを>
初めは適当に聞いていた彼らも何度も話を聞き、ゴブリンの本当の力を知ったことで真剣に考えるようになっていった。一人の子供の行動が村全体の意識を変えていったのだ。
村は徐々にその姿を変えていく。村の入り口には大きな扉がつけられ、周囲に柵が何重にも敷かれて徐々にその数を増やしていく。時間を見つけては村の人達が作業をした成果である。
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あの事件から2年、ゴブリンに恐怖する少年は10歳になり個人の戦う力を求め出す。彼は初めに体を鍛え武術を習い始めた。
しかし、彼の才能は平均より少し上程度で彼の目標である複数のゴブリン(あの村を壊滅させたゴブリンは30匹程らしい)に囲まれても余裕で突破できるようになるには最低十年の時間が必要と言われた。
そこで彼は別の方法を模索する。何日も考え続けて遂に閃く。きっかけは母の仕事の手伝いで薬の調合をしていたとき。「これ使いようによっては武器にならないか」と思い付いたのだ。その日から彼は武術と並行して対ゴブリン用の薬の開発を始める。
武術、薬の開発、両親の仕事の手伝いと時間は瞬く間に過ぎていき、5年の歳月をへて少年は戦闘スタイルを確立させる。そしてゴブリンを恐れる少年は成人し、旅立ちの時を迎える。
この物語は行く先々でゴブリンと遭遇し、戦うことになる薬師兼冒険者の男の物語である。