「申し訳ありませんね、恵子さん。急に呼び出しをかけてしまって」
「いえ、問題ありません」
ヨネとケンジに宣言する前日の放課後、あたしは
プリンス事、エドワード様はこの大学の事務員で、あたしの胸キュンポイントである、「シュッ・サラッ・ピシッ・ニコッ・キラッ」をパーフェクトに揃えている、正に王子様なのだ。
顔が蕩けそうになるが、だらけた姿は見られたくない。応接スペースを出るまで、頑張って抑える。
「さて、恵子さんを呼んだのは他でもなく、この大学に関わる重要な件であり、4年を除く3人の学年主席の方にはお声をかけています」
あたしだけじゃなかったのか・・・。ちょっとがっかり。
「ではまず、こちらをご覧下さい」
そう言って渡されたのは、1枚のパンフレット。それは、
「カラクリ技能競技大会・・・?」
そう、件のカラクリ技能競技大会についての案内だった。
「ご存じの通り、我が大学は、入学者数が減少傾向にあります。なので、注目度の高い所謂、”目玉”を作り、入学者数を回復させたいと我々は考えております」
「その”目玉”が、これですか?」
「になるのではないか、という所ですね」
よくある流れね。落ち目の学校が、ある1つの分野において、目覚ましい活躍をして、華々しく復活する。しかし、今回の件でこの流れは無理。
「カラクリ人形は、芸術品の分類に入る、かなり難易度が高い工芸品であり、私たちが3年やそこらで、製作できるものでは無いと思われますが?」
パンフレットを見ると、「茶運び人形」、「段返り人形」、「
茶運び人形はあたしでも知っている有名な人形で、職人さんが作ったものは10万を軽く超える価格がついている。
「ああ、そこは問題ないですよ。この競技は主に、カラクリの技術を判定するものであって、人形にそういった”芸術性”は求めていませんね。あるとすれば、”ユニークさ”、かな?」
「なるほど・・・」
確かにそれなら、出来なくはないかな・・・? でも、やっぱりちょっとキツそうだなぁ・・・。
カラクリの動力にモーター等電気的動力は、禁止。ゼンマイか、鉄球や砂、水の移動による重心移動のみ。本来は水銀の重心移動もあるが危険な為、厳禁とする。
なんとなくわかるけど、動力にモーターが使えないのは、痛い!
「ここからが本題なのです」
エドワード様は姿勢を正して言った。あたしも急いで姿勢を正す。
「恵子さん・・・、カラクリ技能競技大会に出場して頂けませんか?」
「・・・はい!?」
えっ、いきなり!?