もし風太郎たちが原作とはほんの少しだけ違う感じだったら 作:べるぬい
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ピーンポーンパーンポーン
『第14回秋の花火大会は終了致しました。御来場いただき誠にありがとうございました』
花火大会終わっちゃったか。みんなには悪いことしちゃったな。フータロー君にも。さぁオーディション終わったし帰ろう。私は社長とオーディション会場から出た。
いた。フータロー君が。会場の前の花壇のようなところで座って……寝てる?え、フータロー君目を空けたまま寝てるよ!怖すぎる!
「フータロー君?」
私は彼の体を揺すって優しく起こす。
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「え?寝てないけど?目を閉じてただけだけど?」
「どこから指摘していいのか…」
誰かの声で無くなりかけてた意識が覚醒する。いつの間にか寝ていたようだ。目の前には一花とあのオッサンがいる。どうやらオーディションは終わった様子だ。
「オーディション、どうだったんだ?」
「うーんどうだろ」
一花から曖昧な返事が来る。ダメだったのだろうか。まぁ俺的にはそっちの方が助かるのだが…。
「どうも何も最高の演技だった。私は問題なく受かったと見ているね」
「そ、そうか。良かったな」
「一花ちゃんがあんな表情を出せるなんて思わなかったよ」
俳優、女優さんたちを率いる社長が言っているのだ。それならしっかり受かったんだろう。
「一花ちゃんのあんな表情を引き出したのは恐らく君だ。私も個人的に、君に興味が湧いてきたよ。」
「えっ…」
おっさんにウィンクされながら投げキッスをされて俺は思わず硬直する。思考も停止しそうになった。一花を見る。どうしようもない、みたいな顔をするな。
「と、とにかく!用事が終わったのなら一花を借りてくぞ!」
「へ?」
「ま、待ちたまえ!どこへ行くんだ!」
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既に時間は22時を回ろうとしている。夜の住宅街は暗く静寂であまりにも不気味だ。先程まであんなにもの数の人がいた花火大会。それも時間を経て熱が冷めつつある。
「こっちにあいつらが待ってる」
「待ってるて…まだみんな会場にいるの?」
「いや、この近くの公園だ」
「そっか。みんな怒ってるよね。花火見られなかったこと謝らなくちゃ」
「ま、そうだな……だが、花火を諦めるには少し早いんじゃないか?」
そう言って俺と一花は公園に着く。そこにいたのは線香花火をしているあいつら4人だ。らいははベンチで寝ていた。
花火大会だと言うのに、四葉がらいはのために買ってくれたあの花火セットだ。
「ま、打ち上げ花火と比べると随分見劣りするがな」
「……!」
「上杉さーん!準備万端です!我慢できずにおっ始めちゃいました!」
「……お前が花火を買ってたおかげだ。助かったよ」
「ししし」
本当に四葉さまさまだ。こんな形で花火セットが役に立つなんて、花火セット自身も思ってなかっただろう。ふとこちらに近付いてくる人影。二乃だ。
「ちょっとあんた!一言言わなきゃ気が済まないわ!」
「え、何…?」
「あ!り!が!と! 」
「……なんだよ。お礼ぐらい言えるじゃねぇか」
「五月…」
「一花も花火しましょうよ。三玖、そこにある花火持ってきてください」
「うん…はい」
三玖は俺に花火を渡してくる…が、間に五月を挟んでだ。少し距離がある。え、俺なんかしたっけ…。「遠くありません?」なんて五月が突っ込んでくるぐらいだし…。
「みんなごめん!私の勝手でこんなことになっちゃって…本当にごめんね」
「そんなに謝らなくても」
「まぁ一花も反省してるんだし…」
「全くよ!なんで連絡くれなかったのよ。今回の原因の一端はあんたにあるわ。あと目的地忘れた私も悪い」
なんだよ悪いと思ってるんじゃねぇか。俺にもそれを伝えろ。
「私は自分の方向音痴に嫌気がさしました」
「私も今回は失敗ばかり」
「よく分かりませんが私も悪かったということで!屋台ばかり見てしまったので」
反省会が始まったと思ったら…おい四葉。お前反省してないだろ。二乃たちよ、それでいいのか。妹には甘いのかお前ら。
「みんな」
「はい一花の分」
「お母さんがよく言ってましたね」
『誰かの失敗は五人で乗り越えること』
『誰かの幸せは五人で分かち合うこと』
『喜びも』
『悲しみも』
『怒りも』
『慈しみも』
「私たち全員で五等分ですから」
やっぱり同じ顔だし、同じ表情だな。一花も。あいつらは本当に姉妹なんだということを実感させられる。あの輪に俺は入るべきではないから。あくまでも俺は家庭教師だ。パートナーなんて大層なことを言ったが、俺はまだろくなことをしていない。だかららいはの寝ているベンチの隣で1人線香花火をしている。
ん?待てよ?あいつらは五人で花火をしている。らいはは満足して寝ている。俺帰ってもいいんじゃね?そろそろお暇しましょうかね。
「行くよー!」
叫んだのは誰だろうか。あの中で叫ぶことをするのは四葉ぐらいだろうからきっと四葉だろう。掛け声とともに花火セットの打ち上げ花火が打ち上げられる。先程まで見ていた打ち上げ花火に比べるとどうしても見劣りしてしまう。
しょぼい花火。本当にしょぼい。けれども、あいつら五人はそんなことを気にしてないんだろう。全員満面の笑みだ。花火が豪華とか関係ない。あいつらにとって花火の「思い出」が大切なんだな。もう少しだけ……見ておくか。
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みんなで花火をしていたら時間もあっという間。そして残りの花火もあっという間に無くなっていった。
「残り五本…」
「もうこれだけ?」
「やり足りないねー」
三玖や四葉は花火が足りないみたい。四葉は想像通りだけど、あの三玖がもうこれだけ?なんて発言するなんて思わなかったな。珍しいね。
「最後はこれでしょー」
「これに決めた!」
「これが一番好き」
「私はこれがいいです」
「これが楽しかったなー」
「「「「「せーの」」」」」
一斉にやりたい花火をとる。私は線香花火を取った。誰かと被ったみたい。顔を上げると……三玖だった。本当に、本当に珍しい。
「あは。珍しいね。私はこっちでいいよ。それは譲れないんでしょ?」
「!」
「三玖ー!線香花火より派手な方がおもしろいよ!」
「私はこれがいい」
「へーそんなに好きなんだー!」
「うん好き」
好き。それは線香花火に対して言ったのか……はたまた私たちの自称パートナーさんに言ったのかな?なんてことも考えちゃう。三玖は少し分かりやすいからね。あぁそうだ。フータロー君にお礼言わなくちゃね。
「まだお礼言ってなかったね。応援して貰った分、私も君に協力しなくちゃ。パートナーだもんね。私は一筋縄じゃいかないから覚悟しててよ」
…………?返事がない。あれ?フータロー君生きてる?フータロー君?…よく見たらまた目を開けたまま寝ていた。凄い怖いからやめて欲しいな…その寝かた。
「もう!頑張ったね。ありがとう今日はおやすみ」
フータロー君に膝枕をして、今日も夜が更けて行く。
更新早める。明日もだす。多分。