もし風太郎たちが原作とはほんの少しだけ違う感じだったら 作:べるぬい
季節は秋。10月。先日の花火大会も終わり、何事もなく夜が明け平日が始まる。今日から夏服から冬服への移行期間である。と言っても俺はズボンを夏服から冬服仕様へと変え、ワイシャツを長袖に、そして上にカーディガンを着るだけ。ブレザーも着ていいが、生憎そこまで寒い訳ではない。
登校中、普段は見かけない顔を見る。なんでいるんだよ。
「や!おっはー」
「おっす」
「あれ?冬服へのコメント無し?」
「……朝から何の用だよ」
「学校まですぐだけど、一緒に登校しようと思って」
「一花。お前は目立つから嫌だ」
「えー……いいじゃん」
一花、に限らずこいつら五姉妹は顔が整っており、可愛くて美人である。身長は小さいがそんなのはどうでもいい。とりあえず顔が良いのだ。なので、こいつらといると周りからの目線が多く感じる。俺はそれが嫌だ。おまけに一花は女優だ。まだまだヒヨコみたいだが、知ってる奴がいないわけでもない、だろう。
「そうだ。昨日あの後、みんなに仕事のこと打ち明けたんだ。みんなビックリしてたなー」
「だろうな」
「でもスッキリした!」
「俺が反対なのは変わりないがな」
「大丈夫。留年しない程度には頑張るから。勉強会してるんでしょ?放課後、また連絡するね。はい!」
一花には珍しく勉強への意欲を見せるような発言。そこまで女優のしごとが楽しいか。それと「はい」と携帯を差し出されている。なんだ?くれるのか?
「え、何?くれるの?」
「……メアド交換しよってこと!家庭教師的にも友達的にも!しておいた方がいいでしょ」
「……メアドか…」
先日のこともある。それにいつでも連絡が取れるのは確かにありがたいな。メアド交換…するか。いやでも別になぁ。クラスに五月いるし……伝達するのにはやっぱり困らないしなぁ。いいか。交換しなくて。
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メアド交換について考えながら授業を受けていたらあっという間に放課後。図書室に行けば既に一花、四葉、三玖がいる。あん?五月いないのか?珍しいな。そしてなんとなくメアド交換のことを四葉と三玖に言ってみる。
「アドレス交換!大賛成です!あ、その前にこれ終わらせちゃいますね」
「………一応聞くが、何やってんだ?」
「千羽鶴です!友達の友達が入院したらしくて!」
「勉強しろー!!!」
こいつはどこまでお人好しなんだ…?友達の友達って…それはお前には関係ないだろう?しかしこいつ鶴を折るのが上手いな。俺もよくらいはに折ってやってたしな……。仕方ねぇ。
「半分よこせ。これ終わったら勉強するんだぞ」
「やってあげるんだ…」
「お、中野。いいところにいた。このノートをみんなの机に配っておいてくれ」
「はーい」
本当にこいつどこまでお人好しなんだ…。もしや勉強を避けるために時間を稼いでいるのでは…!?なんて勘繰ってしまう。だとしたら二乃なんて目じゃない程の悪女だぜ。なんて考えてる最中、携帯が振動する。なんだ?メール?
中野一花
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かわいい寝顔♡
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広められたくなければ
残り4人のアドレスを
GETすべし!
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そのメールにはいつ撮られたのかも分からない俺の寝顔の写真が表示されていた。怒りの念を抱きながら一花を見るとニヤリ、なんてオノマトペが着きそうなほど、ニヤニヤしていた。いい笑顔じゃねぇかぁ……イラッとしてきた。
「みんなのメアド知りたいなーァ」
一花のやろう…余計なことを…。こうなったら仕方ない。プラスに考えよう。しかしみんなそんな簡単にメアドとか交換してくれるものなのか?俺のメアド帳には親父とらいは、そして今日新たに追加された一花のものしかない。こう見ると、あまりにも殺風景なメアド帳だな。
「はいフータロー。協力してあげる」
「…わーいやったぜー…。そうだ、昨日の足はもう平気か?」
「も、もう痛くない」
「そうか。それは良かった。よし、五月と二乃は今度でいいだろ。携帯サンキュな」
「…うん」
「良かったね三玖」
「五月と二乃ならさっき食堂で見ましたよ!今から聞きに行きましょう!」
「なんでお前も行くんだよ!ってか四葉!お前のアドレスは…」
「早くしないと帰っちゃいますよ!」
「お前勉強するつもりないだろ!」
あぁくそ。やっぱり上手いこといかないもんだ。慣れないことはするものじゃないな。
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四葉と頼まれたノートを届けに行ったあと、五月と二乃を探しに食堂へと来た。放課後とは思えない程の人がいる。お喋りしてるやつとか、普通に飯を食べているやつとか……お腹空くな…。
「あ、いましたよ!」
「本当だ。よぉお前ら」
「あら私たちに何の用ですかー?」
「上杉君に四葉じゃないですか。二人もご飯を食べに?」
「いや私五月ほど食べないよ…?」
「あぁいやなんだ。メアド交換してほしいな…と思ってな」
五月はまだしも二乃には断られそうだよな…なんて他人事のように思っている。いやでも、寝顔写真ばら撒かれるのはごめんだ。何とかして教えてもらわないと…。
「いいわよ。書くもの寄越しなさいよ」
「私は携帯を…はい、どうぞ。あ、らいはちゃんのメアドも教えてくださいよ!」
「…えっ?あっおう。いいぞ」
予想外の出来事すぎて少し返事に遅れた。あの二乃が素直に俺にメアドを教えてくれるだと…?変な悪徳業者のアドレスだったりしないよな?
「書くもの、書かれるもの…ん。生徒手帳に書いといてくれ」
「はいはい」
「……よし。五月携帯サンキュ。らいはのも入れといたぞ。仲良くしてやってくれ」
「もちろんです!任せてください!」
「これで全員分揃いましたね!」
「ん?あと1人いるだろ?」
「え?一花、三玖、五月、二乃………あー!!四葉!私です!」
やっぱりこいつアホだわ。なんで当たり前のように自分のこと忘れているんだよ。まるで……自分が姉妹の輪に入ってないみたいな……何を考えてるんだか。馬鹿馬鹿しい。
「はい!こちらが私のアドレスです!」
「ん…?電話きてるぞ」
「…あぁ。私もう1つ頼まれ事があるんでした!失礼しますね!」
「は?」
なんだあいつ……バスケ部ってまさか…!
「あ、ちょっと!………メアド書いたんだけど…」
何か忘れてる気がするが…それより四葉を追いかけないとな。
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ここは部室棟か。まぁバスケ部だし当たり前か。随分と広いがあまり活気は感じない。まぁテストも近いし、文化部あたりは活動してないところも多いのかもな。運動部はそれはそれは外で活動してるんだろう。…いた。四葉だ。
「中野さん。この前はありがとね!」
「みなさんお疲れ様です」
やっぱり…四葉のやつ。まだバスケ部の連中と繋がっていたか。一試合限定の助っ人じゃなかったのか…?
「それで中野さん。入部の件考えてくれた?」
……は?入部?まさか四葉のやつ入部する気か?入部するしないは個人の勝手だが…お前それでいいのか?
「はい。誘ってもらえて嬉しいです!」
あいつやっぱり…最初から勉強する気なんてさらさらなかったんだ!!
「よかった。じゃあ」
「でもごめんなさい。お断りさせてください」
「…!」
「バスケ部の皆さんが大変なのは重々承知の上ですが、放課後は大切な約束があるんです。も、もちろん試合の助っ人ならいつでもOKですので…!」
いやそこも断れよ。
「そっか。なら仕方ないね。せっかくの才能がもったいない気もするけどね」
「!……才能がない私を応援してくれる人がいるんです」
………お前が才能ないなんてねぇよ。と俺は思ってる。死んでも口に出してやらないが。
「ふぅ…ぬわっ!!う、上杉さん!?なぜここに…」
「あー…図書館に行くとこだ」
「図書館は部室棟の真逆のはずなんですがお、おかしいなー」
「お前の用事は終わったか?今日もしごいてやるから覚悟しろよ」
「…はいっ!覚悟しました!」
ஐ ~ஐஐ ~ஐ
もう夕飯時。私は上杉さんの特別講義でみんなより帰りが少し遅れちゃったけど、何とかみんなと一生に夕飯を食べることが出来たからよかった。そして今みんなに今日のことを話しているところだ。
「ってことが今日あってねー!」
「だから帰り遅かったんだ」
「二人で心配してたんだよー?特に三玖が」
「べ、別に…」
「………」
「二乃どうしたのー?」
「いや、あいつの生徒手帳持ってて…あいつ結局取りに来なかったのよ」
「あはは…上杉さん忘れっぽいのかな」
と、姉妹で楽しく話してる最中に携帯が振動した。メールかな。誰からだろう。
「あ、フータローからだ」
「私も!」
「一斉送信でしょうか」
「あはは!上杉さんったらメアド交換したからって浮かれちゃって……」
送られてきた内容は……とんでもない文字数の英語や日本史の問題文。そして添えられたメッセージには
これ全部宿題な!
……………。
「メアド交換やっぱり断った方が良かったね……」
四葉かわいいいいいいいい