もし風太郎たちが原作とはほんの少しだけ違う感じだったら 作:べるぬい
中間試験1週間前。いつもなら余裕綽々と意気揚々と勉強に取り組むのだが、今回からは違う。俺だけの勉強じゃないからだ。あいつら五姉妹の勉強も見なくてはならない。
「憂鬱だ」
「へー自信過剰のお兄ちゃんが、テストを嫌がるなんて珍しいね」
「俺じゃない。あいつらだ…。試験があることを知らない可能性さえある」
「風太郎!家まで勉強の話はやめなさい!」
「どんな教育方針だ!そもそも親父が持ち込んだ仕事だろ!」
そう言うと親父ははぁーとため息をついた。なんでだよ。
「お前だって昔は勉強できなかっただろ?心配しなくても五月ちゃんたちも変わるさ」
「え、お兄ちゃんって前はこんな勉強オバケじゃなかったの?」
「こいつ、昔は俺そっくりのワイルドな男だったんだぞ?」
「お兄ちゃん写真嫌いだから昔の話聞きたーい!」
俺の昔の話なんて聞いても楽しくもなんともないぞ。そんな話聞く時間があったら勉強しような。
「あの子に会ってからか。その頃の写真なら生徒手帳に忍ばせてるのを知ってるぞ」
「えっ」
「見せて!」
「…絶対見せな……あれ?生徒手帳………二乃から返してもらってねぇ」
明日早朝に取りに行かないと。写真を見られたらまずいわけではないが…。見られないことに越したことはない。
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早朝の7時。俺は三玖に許可を貰い二乃の部屋へと入った。事前にノックもしたし、声もかけた。それでいて反応がないが故、姉妹に許可をとったのだから俺に非はない。はず。
二乃の部屋は今時の高校生、にしても少し派手すぎやないか?と思うほど部屋はピンクで染っていた。化粧品やら服やら、何やら女の子なんだなと実感する。布団を覗けばそこにはお腹を出してよだれを垂らして安眠している二乃がいた。布団の周りにはぬいぐるみが置かれていて可愛らしいな、なんて思う。
俺の気配に気付いたのか、二乃の目が開く。そして俺は言い放った。おはよう、ではなく、
「生徒手帳を返せ」
「ギャァァァァァァァァァァァァ!!!」
そして朝イチにこのマンション内で二乃の叫び声が響いた。
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「信じられない!こんな朝から乙女の部屋に無断で入るなんて!!」
「いやそれは誤解だ。ノックもしたし声もかけた。それでダメだったから許可を取った」
「は?誰によ!」
「私が許可した」
「あんたに何の権利があるのよ!!」
二乃は大層ご立腹だ。当たり前だ。朝起きてみれば異性が自分のテリトリーにいるのだ。怒るのも致し方ない。俺も配慮が足りなかったか。これが四葉に前言われたデリカシー音痴、いわゆるでんちってやつか。
「あれ?上杉君ジャないですか」
「朝ごはん食べていきますかー?」
「いいのか?」
「ダメに決まってるでしょ!てかあんた反省してるの!?」
「俺が悪かった。一刻も早く生徒手帳を返して欲しかっただけなんだ」
「やけに素直ね…何かこれに隠してるんじゃないの?」
くっ…!なんでこんな時に限って鋭いんだお前は!その鋭さを勉強に活かして欲しい。こいつらに俺の昔の写真を見られたらなんて言われるか…。
「二乃。昨日言ってたものここに置いとくね」
そう言って一花が置いたものはピアスドレッサーだった。確か一花はピアスしてたっけな。自分で開けたのか。二乃に渡すように置いたってことは、二乃もピアスをしたいのかな。
「一人でできる?」
「で、できるって言ってるでしょ!馬鹿にしないで 」
お?二乃の気がピアスドレッサーと一花に気が向いてる。
今なら生徒手帳を取れるんじゃ…。とそーっと取ろうとしたらダメだった。え、返してくれないのかよ。
「えっ」
「返して欲しかったら付いて来なさい」
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俺は再び二乃の部屋へと来る。
「あんたを部屋に入れるなんて、本当は死んでも嫌だけど」
「なんだよ。じゃあ早く生徒手帳を返して…」
すると二乃がピアスドレッサーをこちらへと向けてくる。
「ピアス、開けてくれたら返してあげてもいいわ」
「はぁ?」
急に何言ってんだ…?俺に開けさせるのか…?
「さーて何が書いてあるのかなー?深夜のノリで書いたポエムあたりと踏んでるけど」
「わー!やめろー!」
「返して欲しいんでしょ?やりなさいよ」
俺はほぼ強引に二乃の手からピアスドレッサーを取る。そして二乃の左耳を掴む。
「動くなよ…。怖いなら掴んでろ」
「…!」
生徒手帳はそこか。二乃の寝巻きの右ポケットか。
「ねぇちょっと待って」
「3秒前」
「ちょちょちょっと!」
「何だよ。言っとくがピアスはしばらく痛いぞ」
「やったことないくせに適当言わないで」
……昔開けてたんだよな。今はしてないし穴ももうない。
「俺はとっとと生徒手帳返して欲しいんだ。おらやるぞ」
「う…うん」
「3.2.1.0!で開けますからねぇー」
「とっととやりなさいよ!」
思いっきり脛蹴られた…痛いぞ。少しふざけすぎたか…。ってしまっ…今の勢いで生徒手帳が!
「え?ちょっと…この悪ガキめっちゃタイプかも!」
「……しまった…」
「誰これ!なんであんた持ち歩いてんの?」
「……あー…えーとな…」
正直に言うべきか?いや、でもなぁ。とりあえず話題をそらそう。
「ほ、ほら。これはもういいのか?」
俺はピアスドレッサーを二乃に見せるが…。
「今回はもういいわ。それよりこの写真の子よ!メチャメチャイケてるじゃない!」
「……!……失望させるようで悪いが…それ俺だ」
「…ハッ?」
「俺だ。それ」
「ちょっとあんた嘘やめなさいよ」
「いや本当にそれ…俺」
「ちょっと明日から金髪にしてきてくれる?」
「嫌だよ!」
「はー?まぁいいわ。そうだ。私たちもこれぐらいの時可愛かったのよ?ほら!見なさいよ!興味なしか!」
……からかわれたりしなくてよかった。この時の思い出は俺の黒歴史だ。いや、この格好のおかげであの子にも会えたから悪いことばかりじゃないよな。
「久々に姉妹で見よーっと」
「……」
ふぅ…俺の写真は見られちまったが、半分だけでよかった。
五年前か…少し色褪せてきたな。
また会えるといいな。
何か最後の方適当だけど許してください。文才がないだけなんです!