もし風太郎たちが原作とはほんの少しだけ違う感じだったら 作:べるぬい
みんな可愛いよね。
ドォンドォン、と花火が打ち上げられは綺麗に散っていく。
こんな見晴らしのいいところで花火を見れるなんてそうそうないだろう。だからだろうか。なんの考えもなしに俺は二乃に花火についての雑学を披露してしまったのは。
「日本で最初に花火を見たのは徳川家康という説があるんだ。機嫌は中国だがヨーロッパを経て、種子島に鉄砲と共に伝わり… 」
「全然つまんない!何が悲しくてあんたと二人で花火見ないといけないのよ!!」
「お前が悪いんだろ!」
これに関してはマジで俺は悪くない。店の場所も伝えずに一人はぐれてしまったお前が悪いんだ。と、二乃は誰かから電話が来たのか電話に出ていた。
「四葉!?妹ちゃんも一緒?もう花火を始まってるけどどこにいるの?え?時計台?迎えに行くからそこにいなさい!」
どうやら四葉のようだ。らいはは四葉と一緒にいたか。良かった。そういえばいつ手を離したんだっけか…。
「何ぼさっとしてんのよ!あんたも電話しなさいよ」
「……」
「ちょっと!」
「俺、お前らの連絡先知らねぇ」
「使えないわねあんた!」
これは申し訳ない。
「頑張って宿題も終わらせたのに…なんでこうなるの…」
「あれ?あそこにいるの一花じゃないか?」
俺は人混みの中に一花らしき人物に二乃が分かるように指差す。
「え!?あ、ほんとだ!んん〜どうして電話に出ないのよ…」
「気づいてないのか?」
二乃の方を見ると…その横顔は今にも消えそうなぐらい…二乃には似合わない悲しそうな表情をしていた。ふと、三玖の言葉を思い出す。
『花火はお母さんとの思い出なんだ』
「俺が連れてくる。一花も三玖も四葉も五月も」
「…」
「五人で花火…見るんだろ?」
「…えぇ。不本意だけど…あなたにお願いするわ」
「任せろ。あ…その、なんだ。五人じゃなくて七人でもいいか?」
俺とらいはのことだ。ダメもとで聞いてみたが…多分断られるだろうな。
「…ふんっ!全員連れてきたら考えてあげなくもないわ」
「…!サンキュ」
俺は残り5人を探しに出た。
◆◇◆◇◆
再び人混みの中に自ら突っ込んでいくのは気が滅入るな。確か一花はここら辺にいたはず…。
いた。また誰かと電話してるみたいだ。
「一花」
「後でかけ直します」
後で?また電話するのか…?誰だ?分からない。分からないけど二乃の元へと連れていかないといけない。
「おい一花。ついてこい…!?」
誰かに手首を掴まれた。
「君、誰?」
…………あんたこそ誰だ!?俺の手を掴んだのは髭は生えてるが不潔感を感じさせないおじさんだった。え、誰?
「君、一花ちゃんとはどういう関係?」
「え?」
…関係?考えたこと無かった。一花に限らずこいつら五姉妹と俺はどういう関係なんだ…?友…教師…関係者…と思考が深く沈む前にある最適解に導かれた。
「知人だけど」
しかし時すでに遅し。既に一花とおじさんはいなくなっていた…。
「あれ?知人ですけどー!?」
一体何のつもりなんだ一花…。まさかあのおじさんと危ないことしてねぇだろうな。それとも何か脅されているとか…。
また、思考が深く沈む。
「フータロー?」
「…!一…三玖!よかった。よく俺を見つけられたな」
「うん…目立ってたから」
「そうだ!一花を追いかける!付いてきてくれ!」
「あ、待って…!痛っ!」
三玖が小さい悲鳴をあげる。怪我してるのか?
「足、踏まれちゃって…フータローは先行ってて」
「…馬鹿野郎。お前を置いて行けるかよ。三玖。背中に乗ってくれ」
「え?」
三玖からの了承を得ずに俺は三玖をおぶる。ふむ。軽いな。少し嫌かもしれんがやむを得ない。我慢してくれ三玖。
「えっ…」
「三玖、そこから一花は見えるか?」
「一花…?見えないけど…まさかこのまま追いかけるつもり?」
「そうか…よし」
◆◇◆◇◆
俺と三玖は脇道に逸れ、人気の少ない階段に三玖を下ろした。三玖の足の応急手当をするためだ。
「…よし。これで少しはマシになっただろ」
「ありがとうフータロー。それで…一花を見かけたのは本当?」
「あぁ…俺に気付いたはずなんだがな。髭のおっさんとどこかに行きやがった。心当たりはあるか?」
「ううん」
三玖も分からないか。髭のおっさんは何者なんだ?
「あ、前に一花が髭の人の車から出てきたの見たかも」
「マジか」
何だそれ…本当に怪しい関係だったりしないだろうな…。
いや、どうでもいいがあと40分。何やってんだよあいつ。
「このままじゃ五人集まる前に花火が終わっちまうぞ」
「…!勉強関係ないのに協力的。フータローのくせに」
「…まあ俺にも思うところがあんだよ。このために必死に宿題をやってるのも見たしな」
らいはにもあの屋上で花火を見させてやりたいしな。決して俺が見たい訳では無い。
「ふぅ…とりあえず二乃の所へ向かうか。歩けるか?」
「…うん」
三玖の手を取り一緒に歩きだそうとした時、向かいから女性二人がこちらへ来るのが見えた。
「すみません、花火大会に来られた方にアンケートをしてるのですが…」
「!いや、急いでるので」
「答えていただいた方には100円分の引換券を差し上げてます」
「…い、急いでいるので…!」
100円分の引換券で少し心が揺れてしまい、断る言葉も震えてしまった。仕方ない。これも貧乏性のせいだ。
「一つだけでも!お2人はどのようなご関係でしょう?」
「えっ…」
この言葉を聞いて、先程の髭のオッサンの言葉が浮かぶ。
『一花ちゃんとはどういう関係?』
「そこはいいでしょ?この二人はカップルに決まってんじゃん!」
「そっか」
「「!!」」
「わ、私達は恋人じゃなくて…」
「え?どう見てもそう思いますが」
どう見ても、とはなんだ?と今の状況を冷静に見てみると、俺は三玖と手を繋いでいた。
「「!!」」
「こ、これはっそんなんじゃなくって…わ、私達は」
「恋人です」
「えっ!?」
咄嗟に俺は嘘を吐いた。三玖には申し訳ないが、今は時間が惜しい。こんな質問に時間を浪費する訳にはいかない。
「やはりそうでしたか!ではこれ!引換券です!ありがとうございましたー!」
「……フータローが………彼氏……」
「…ふぅ。行ったな。よし行くぞ」
「えっ…あ、うん。…あ、フータロー」
三玖が俺の名を呼び、前方を指差す。そこには悪目立ちするアホ毛がピン!と立っていた。五月か。
「三玖。少しここで待っててくれ」
「分かった」
俺は三玖を再び階段に座らせ、五月の方へと向かう。
「五月」
「…上杉くん!」
「よう。これで行方不明は一花だけか。脇道に三玖を休ませている。とりあえず合流するぞ」
「分かりました」
「…1つ聞いていいか?俺たちってどういう関係?」
「えぇ?そうですね…百歩譲って知人、でしょうか」
「やっぱり?」
やっぱり知人だよなぁ。別に友人、と言うほど親密な訳でもないし。てか友達ってどこからどこまでが?
「と言うか上杉くんは私に聞かずとも、その答えを既に持ってるじゃないですか」
「…え?なんだそれ。まぁいい。三玖の所へ急ぐぞ」
ーーーーーーーーーーーー
「遅い…」
言葉に出してしまうほど、フータローが来るのが遅かった。五月を追いかけて行ったっきり。フータローどこまで行っちゃたんだろう。
『恋人です』
咄嗟の嘘でも、欺瞞でもなんでも、少し嬉しかったな。
フータロー…。
『女の子が髪型変えたらとりあえず褒めなきゃ』
ふと一花の言葉が蘇る。フータロー、私が今髪型変えたら褒めてくれるのかな?それとも気付きもしないのかな?
確証はないけれど、何となく後者な気がする。でも変えてみても…いいよね。
私はヘッドホンと頭に付けてたひょっとこのお面を外していつもはしないような髪型にしてみた。後頭部の下の方にお団子をつくってみた。気付いてくれるといいな。
「おー?姉ちゃん一人〜?」
「…私?」
「そうだよ〜!姉ちゃん可愛いしちょっと俺らと遊ばない?」
「つ、連れがいるので…!」
「そんなこと言わずにさ〜!」
こ、怖い!足が痛くてあまり動けないし…痛くなくてもそもそも体力がないから逃げれるかも分からない。ど、どうしよう…!フータロー…助けて!
ーーーーーーーーーーーー
五月を連れて三玖を休ませている場所へ向かうと、三玖がいかにもな男に絡まれていた。三玖の友達か?なんて馬鹿みたいなことを思ったが、万が一もそんなはずはなく、所謂ナンパ、というものをされていた。まぁこいつら美人だしな。仕方ない。だが…。
「すみません。そいつ俺の彼女なんですよ」
「あ〜?彼氏いんのかよー…チッ」
「ふ、フゥタロォ〜」
三玖が涙目で俺に抱きついてきた。怖かったんだよな。こいつも連れていけば良かったか。
「すまん三玖。怖い思いをさせて悪かったな」
「グスッ…フータローが助けてくれたから…ズビッ…大丈夫…ありがとう…グスッ」
小さく嗚咽を漏らしながらも三玖はお礼を言ってくれた。
いや、本当に悪かったな三玖。俺は三玖をそのまま先程のように背負った。このまま二乃のところへ連れていこう。
「あ、あの…上杉君。い、いつの間に三玖とそんな関係に…?」
「あ…?あぁ、冗談に決まってんだろ。ああ言うのはキッパリと言ってやらないとしつこかったりするからな」
「そ、そうなんですね…」
いまいち釈然としません!と文句を言いつつもしっかりと五月は付いてきている。こいつも危なっかしいな…。またはぐられても困るし…。まぁすぐそこだし大丈夫か。
「そう言えば三玖、髪型変えたか?似合ってるぞ」
「えっ」
◆◇◆◇◆
三玖を背負い、五月を連れ、俺は二乃が待っている店の屋上までへと来た。まだ花火は終わっていない。あとは四葉、らいはと一花だ。四葉は時計台にいるとのことだが…一花がどこにいるのかがてんで見当がつかない。
「三玖!五月!良かったわ!」
「二乃〜!」
「フータローがちゃんと案内してくれた」
「まだだ。あと四葉と一花だ。また俺は探しにでる。当分は三人でゆっくり花火を見ててくれ」
「ふんっ…やるじゃない」
二乃が何か言っていた気がするが、特に気にも止めず俺はすぐに時計台へと向かうことにした。
◆◇◆◇◆
俺は三玖と五月を探した時よりも足を速め、四葉たちのいる時計台へと向かっている。理由は単純。時間がないからだ。
着いた。時計台は…ここだよな。えーと……はぁ。また、か。
「あ、あのーですから私にはお連れの人が〜…それに妹もいるので…」
「妹ちゃんも一緒でいいからさ!俺たちと遊びに行こうぜ!さっきから見てたけどずっとここで待ってるじゃん!」
「で、ですけれども…」
まーたナンパされてる。嫌でもこいつらの顔が、見た目が良いということを認識させられる。はぁ助けに行くか。
「すみません。こいつ俺の彼女と彼女の妹なんですよ」
「…チッお前ら行くぞ」
「ふぅ…行ったか。大丈夫…か四葉…?」
四葉の方を見やると顔を真っ赤にしていて、目も少し潤んでいた。そんな真っ赤になるぐらい俺の彼女発言が嫌だったか。しかも泣きそうだし……え、何か凄い悪いこときた気分だ。
「えっ…と四葉さん?いや、その…何と言いますか…えーと…」
俺がとりあえず何か謝らないと、とあれこれ思考模索していると四葉にタックルされた。そのままの勢いで俺は地面に倒れる。痛てぇ…そんなに怒っているのか…!ちょっと助けてらいは!何でニヤニヤしてるんだよ!
「うぅぅぅ〜…ありがとうございます上杉さぁ〜ん」
「うおっ…泣いてるのか。四葉」
「怖がっだんでずぅぅぅ〜」
「……遅れて悪かったな。怖い思いもさせて…すまん」
「ほんどでずよぉ!もぉぉ〜!」
この姉妹実は泣き虫なんじゃね?そんな疑問を抱いたが…知らない男に急に接近され、挙句の果て下心満載で強引に誘われたらそりゃ誰だって怖いよな。ごめんな四葉。
「もー!お兄ちゃんとのバカ!遅いよ!」
「悪かったって。ほら四葉。いい加減泣きやめ。二乃たちが待ってる。行くぞ」
「あはは…お見苦しいとこ見せちゃいました…」
「気にするな。ん、らいは」
「はーい!」
俺は先程のようにらいはに左手を差し出す。無論らいはは俺の手を掴んでくる。今度こそはぐれないようにしなければならない。さて行こう、とすると右から視線を感じる。
四葉だった。
「むぅ〜!羨ましいです!私も手を繋ぎたいです!」
「…だってさらいは」
「…お兄ちゃんの鈍感バカ!」
「えぇ…?」
何で今俺罵られたの?罵詈雑言とか酷すぎる。
「四葉さんはお兄ちゃんと手を繋ぎたいんだよね!」
「は?」
「えひゃっ!?」
驚きのあまり凄い声出してるぞ四葉。
「そんなわけないだろ?らいは。四葉も何か言って…」
「私も……たいです」
「なんて?」
「私も上杉さんと手を繋ぎたいです!」
顔真っ赤にしてこいつは何言ってるんだ。意味わかって言っているのか?だが別に断る理由も…ないよな。
「……お、おぉそうか。じゃあ、ほら」
俺は空いている右手を四葉へと差し出す。当然四葉はその右手に自分の左手を絡めてくるわけで…。三玖もそうだったがこいつらの手って小さいなぁ、と思う。
「わぁ〜…想像以上に恥ずかしいですねこれ…」
「嫌ならやめるか?」
「や、やめません!やめません!」
「そうか。なら早く行くぞ」
「ヒュー!流石お兄ちゃん!」とか「わーっ!引っ張らないでください!上杉さん!」なんて言葉を聞き流しつつ、俺は二乃たちが待っている店の屋上へと向かった。
五等分の花嫁展行くことになりましたー!(なってました)18日と30日に行く予定でござる。無論、二乃と四葉の色紙を貰うためー!
あ、どんな些細なことでもいいので良かったら感想ください!待ってますー!