鋭角パンツァー 〜エキセントリック・ファイヴ〜   作:jeux

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†初投稿†

大分みんな口調がおかしいです。こんなのも、ありかもなー的な雰囲気でお願いします。
あと、秋山さんは島田フミカネ原案の感じです。


プロトタイプ1

「お邪魔します、冷泉さん」

 五十鈴華は女子寮にある冷泉麻子の部屋を訪ねている。冷泉はノートパソコンをいじっていて、その黒い画面には何やら怪しげな文字が流れていた。

「お、やあやあ華さん」

「あらお仕事中でした?」

「仕事って、そんな大層なものじゃないって前から言ってるだろう」

「戦車道のデータベースと検索システムでしたっけ?ギャラありで生徒会から委嘱されたそうで」

「・・・なんで知ってるんだ」

「あなたがどうしても教えてくれないので、会長に聞きました」

「あー、また余計なことを・・・」

 あいつは口が軽すぎる、と冷泉は愚痴をこぼす。

「で、御用は?」

「あ、いいんですか?」

「丁度煮詰まってたんだよ。いいから話せ」

 

-----

 

「なるほど、恋だな」

「待ってください。流石に早計過ぎます」

「おっ、動揺した」

 花道と戦車道で培った強靭な精神を持つ五十鈴ですら、冷泉のど真ん中ストレートの前には、狼狽えざるを得なかった。

「聞いてみれば何だ、戦車整備のお兄さん、その人が視界に入ると動悸がする、砲撃するときふとその人のその姿が脳裏を横切り失敗する、挙句その人が気になって夜も寝れない。日常生活に支障を来している。役満じゃあないか、それも典型的、ベタベタだ」

「待って、本当に待って。何かの間違いです」

「間違いか・・・まあ?他の可能性もあるにはあるさ」

「あるんじゃないですか。じゃあそっちです。決して、決して私は・・・」

「その人を異常に恐れている、というやつだ。一応その場合でもその症状にはなるだろうな。だが君は何やらとても嬉しそうに話してくれたじゃないか。ええ?」

「嬉しそうに・・・?」

 嘘だ。自分としては至極真面目な話をしていたはずなのに。無意識のうちにそんな話し方になってしまったと言うのか。五十鈴は驚愕の表情を浮かべた。

「自覚なし!鋼メンタルと謳われる五十鈴家の次代家元も、恋の前にはびっくりするほどウブだった!きゃー、こっちが恥ずかしいわー」

 そう言って冷泉は顔を隠してみせるが、隠しているのは赤面ではなく笑いである。

「からかわないで下さい!嫌です嫌ですそんな色恋沙汰程度で私の心は揺らぎません揺らぎません1オングストロームも動きません」

 

 と、そこにやってきたのは。

「何ですか、お二人が騒がしいのは珍しいですね」

 くせ毛の少女、秋山優花里だ。

「おうアキヤーマ」

「そのアクセント何なんですか毎回毎回。別にやめろとは言いませんけど」

 そう言って彼女はそれまで両手に抱えていた段ボール箱を床に置く。

「何だそれ」

「何って、嫌ですねぇ。あなたに頼まれたものですよぉ」

 秋山が段ボールを開けると、中にはびっしりと書類が入っていた。

「げっ、まさかこれ」

「戦車道関連のデータ、ありったけです」

「こんなにか」

 冷泉は秋山に他校の情報取集を頼んでいたのだ。

「他校のちょっとした偵察もしてきましたよ」

「またやったのか、そこまでしなくていいのに」

「インターネットじゃ限界があるんですよ」

「ともかくありがとう。こりゃデータ入力大変だな・・・バイト雇うか・・・」

「お金あるんですか?」

「生徒会に出させるに決まってるだろ」

 

「そういえば、華さんは?聞いたことないような声出してましたけど」

「ん?ああ、華なら」

 そう言って冷泉は部屋の隅の方を見る。秋山も視線を同じ方向に持っていく。

「興奮を奇怪な音楽で納めてるぞ」

 そこには浅い呼吸をしながら、ヘッドフォンをしてうずくまる五十鈴の姿があった。

 

-----

 

「華さん、落ち着きました?」

 心配そうにする秋山。しかし五十鈴は反応を見せず。

 対する冷泉といえば。

「呼び方はそれじゃいけないぞ、こうだ・・・イスーズ」

「はっ、何今の強烈な違和感は」

「おお、起きましたね。って言うか、その謎アクセント華さんにも・・・」

 

-----

 

「それは・・・まあ私も十中八九恋だと思いますね」

「優花里さんまで・・・」

「と言うか、なぜ冷泉さんに相談を?いるでしょうもっと」

「他の方にも相談したんです。みほさんにも、沙織さんにも」

「あれ、もしかしなくても私の信用度あんこう最低ですか。ショックですね」

 全くショックじゃなさそうに秋山は言う。

「でも二人とも何も答えてくれなかったんです・・・顔を紅くして・・・」

「それで常に超・核爆・ストレートを投げてくる冷泉さんに頼んだと」

「で、どうなんだ。私に()()した感想は?」

「はい。もう、受け入れる気持ちになってきました・・・」

 部屋には五十鈴がそれまで聞いていた音楽・・・ジェラール・グリゼー作曲『partiels』がかかっている。ヘッドフォンじゃ耳を悪くするから、と冷泉が五十鈴のスマホをコンポに繋いだのだ。

「しかし・・・よくわからない曲ですね」

「そうですか?美しいと思いません?」

「面白い音のする曲だなぁとは思うが・・・そうか、美しい、か」

「美しいですよ。安定的な倍音構造の上に展開される不安定なノイズ。とっても『この世』っぽくないかしら?」

「うーん・・・華さんは時々すごくわかんなくなります」

 五十鈴の発言を理解しかねる秋山に対し、何か納得したような表情を浮かべる冷泉。

「うん・・・華さん、実は全然鋼メンタルじゃないんだ」

「おっとぉ?」

 秋山の始まったな、とでも言いたいかのような含みを持たせた発言。

「と言うか局所的にガードが極端に薄い。その弱さたるやオゾンホールのごとし」

「オゾンホール・・・ですか」

「感性の高さは心に敏感な部分があると言う証拠だ。花道で感性を養ってきた分、心の一部分を薄くもしていたんだな。今までそこに降り注ぐのは芸術の雨だった。花道、音楽、戦車道さえも。しかしだ、今華さんのオゾンホールに突き刺さってるのは紫外線どころではない。恋と言う名のγ線バーストだ」

「麻子さん相変わらず例えが専門的すぎます。とりあえずγ線バーストって強そうですね」

 とふざけてみせる秋山。構わず冷泉は続ける。

「対処方法は2つあるぞ。1つ、自分が向きを変えてバーストがホールに直撃しないようにする。動くのは自分だけだからこっちの方が楽だな。2つ、『その人』にバーストじゃなくてシャワーを出してもらう。そのためには当然『その人』にお近づきにならなきゃいけない分つらいな。でだ、魅力的なのはどちらかと言う事だ。イスーズくん?」

「私は・・・私は・・・!シャワーが欲しいです・・・!」

「えっ、今ので分かったんですか。てか何で泣けるんですか」

「まあそう言う事だよ華さん。そう簡単な道のりじゃないことは分かっている。だから、行き詰まった時、自分がどうしていいかわからなくなった時、また尋ねるといいさ」

「う、う、うわーーーん!」

 とうとう号泣し出した五十鈴は、冷泉の胸に飛びついていく。

「・・・麻子さん、罪な女ですねぇ」




作者の恋愛経験は0です。多分みんな読んでる途中に察したんじゃないかな。
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