鋭角パンツァー 〜エキセントリック・ファイヴ〜   作:jeux

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時と場所、全く変わって練習試合。まだプロトタイプだからね、しょうがないね。


プロトタイプ3

「Al kopf schure poset! (全車位置につけ!)」

 西住みほの令を受けて、武部が無線で叫ぶ。

「Kame, jadamour」

「Ahiru, jadamour」

「Kaba, jadamour」

「Usagi, jadamour」

 彼女らが話しているのは「大洗kopf語」である。「kopf(ドイツ語で「頭」)」は「戦車」のことである。無線盗聴された反省もあり、冷泉の提案によって無線を暗号化しようと言う話が上がり、どうせならオリジナルを作ろう、と言うことで歴女たちに頑張ってもらったのである。ドイツ語とフランス語をごちゃ混ぜにしたようなもので、名詞の性や格変化を取り払い、さらに可聴性を重視したシンプルな言語にまとまっている。ちなみに「了解」が「jadamour」であり、「ヤダモー」と読む。これは当然ある隊員の口癖であると同時に、「amour(フランス語で「愛」)」ともかかっている。これだけは冷泉の考案だったりする。みんな面白がって使っており、概ね好評であるこの言語だが、一人どうにも納得できない者がいた。

「なんで毎回自分の口癖で返答されなきゃいけないのよ・・・」

 当然のごとく、武部である。

「Saori, ne parol Japanisch. (沙織、日本語はダメよ)」

 武部は通信士という立場にありながら、この大洗kopf語の覚えが悪く、kopfを強制するために普段から日本語禁止令を受けている。それに付き合う形で、あんこうチームは全員kopfしか話さないようになっていた。

「Sa, mi kogni, Hana. (ええ、わかってるわよ華)」

 秋山も注意する。

「Se si mach ne parol, Nisizumi remplas kommuter, sia.(あんまり話せないと、西住さんに通信手代わられちゃいますよ、ほら)」

「At beg o krik al kopf folg opera A. (試合開始と同時に全車作戦Aに従うように)」

 いつの間にか無線機を武部から奪い取っていた西住は直接指示を出す。いよいよもって不機嫌になる武部。

「あーん、なによなによ、なんでそうやってみんな私をいじめるのよぉ!そうよ、どうせ私はいらない子よ。あんこうチームのお荷物よ。あとモテないのよ」

「Si schoner memor kopfisch as parol vitte. (愚痴を零す暇があったらkopfを覚えたらどうなんだ)」

「そんな構文知らないわよ麻子!」

 意味がわからなくてショックな冷泉の言葉。意味がわかっても余計に武部の心に刺さったであろう冷泉の言葉。

「So verzei. Le noi stund kopfisch ag krik? (ごめんね。試合終わったら一緒に勉強しよう?)」

 慌ててフォローをだす西住だが武部は今にも泣きそうな表情で。

「kopfを・・・やめるという・・・選択肢は・・・ないんですか・・・」

「Ne.」「Ne.」「Ne dis.」

「・・・ヤダモー・・・」

 了解、の意味なのか、そのままの意味なのか。抑揚を聞けばどちらであるかは明確であった。




ちなみに他校からは大洗kopf語は「ヤダモー語」と呼ばれています。
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