鋭角パンツァー 〜エキセントリック・ファイヴ〜 作:jeux
今回ちょっとそど子さんの扱いがアレなので、ファンの方は特にご注意を。それ以上にみほさんファンはご注意を。
7/27 著作権違反の可能性がある部分を改変。
「みん〜なが〜んばれ〜♪私はもう無理だ〜♪」
冷泉は、ああ、佐藤のレーズン食べたいな、などと思いながら歌を歌ってご機嫌で廊下を歩いていた。
「ねえねえマコちゃん♡」
ところが、やってきたではないか。心の平安を容赦無くぶち壊していく存在が。
「何ですか会長。今回はどんな面倒ごとを?」
そう、大洗女子学園生徒会長角谷杏。この人が私にこんな調子で冷泉に接するときで、面倒ごとを抱えていなかった試しがなかった。戦車道システムだってそうだ。
「あのね、みほちゃんがね、その・・・『弄びモード』になちゃったの。風紀委員長相手に」
ああ、そど子・・・強く生きろ・・・
「わかったよ。行くよ」
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「じゃあさっさと人を殺して刑務所にぶち込まれなさいよ!」
そう叫んだのは風紀委員長の園みどり子。
「違いますよ。全然違います。私は今そう言う話は全くしてないんですよ」
相対するは西住。この様子では園の言葉は全く効いていないようである。
昼休みの教室のど真ん中。二人の周りには取り巻きがたくさん。そして、多くの人々は、憐れみと畏怖の混じったような顔をしていた。憐れみは、園に対して。畏怖は、西住に対して。
事の発端は、その日の4限目であった。「特別授業」の名目で、小学校で言うところの、「道徳」のような授業が行われたのである。そして、その授業内容の見回りに来ていたのが園であった。「なぜ人を殺してはいけないか」と言う話題。みんなが当たり障りのない答えを言っていく中、西住の発言が、園の目につけられたのだ。問題の発言がこちら。
「『人を殺してはいけない』と言う考え方は、あくまで人工的なものであると考えます。具体的には、『共同体』の概念なくしては成り立たないと考えます。従って、実は、根源的に殺人を禁止することは不可能であると思います」
案の定園に授業後の呼び出しをくらった西住。園は開口一番こう言った。
「あなたは小学校から道徳の授業を受け直すべきです」
そして、今に至る。
「いいですか、私は『人を殺していい』なんて今まで一度も言っていません。ましてや『私は人を殺す』とも。所属する共同体や文化的文脈によって意味が変わってしまう、と言いたいだけです」
「そんなことはあり得ません。殺人がいけないことなのは自然の摂理から証明できることです。人によってその解釈を変えるなんて、許されないことです」
「『自然の摂理によって証明』って。今、あなたは『自然の摂理に従うことは正しい』と言う超絶間違った前提を引っ張り出してきましたよ」
「間違っ・・・はあ?」
人でないものを見るかのような目で言う園。
「『自然が正しい』なら、二酸化炭素を吐き出す自動車は環境にとって害悪なので直ちに使用を中止すべきです」
「それとこれとは違う話でしょ!」
「同じです。論理構造が同じです。あなたは、『人と自動車は違う』と言ったに過ぎません。ではこれならどうでしょう。生殖行為を行う意思のないLGBTその他性的マイノリティーは弾圧すべきです」
「うぐっ・・・」
そこに現れたのは。
「れま子!?」
「やあやあ、西住さん。そこまでにしとこうよ。まだ遊び足りないなら、私が相手するからさ」
「ああ、冷泉さん。ごめんね、私が話したいのはあなたじゃなくてこの人なの。だからあなたの提案には残念ながら乗れないわ」
「いやー、私はその人をそれ以上叩いてももう何も出てこないと思うけどな。私は君ともっと面白い話ができる自信がある」
「ちょっとれま子!何よその言い草は!」
冷泉は園を無視して続ける。
「委員長だってね、君と同じように、ある一定の信念に従って行動してきたんだよ。たとえそれがそびえ立つクソのようなものだったとしてもだ。大体、君は言論の自由を最大限認める立場だと、常々言っていたじゃないか。各々、自分の思う正しさに従って生きればいいと。その上で、自分の考えが、絶対ではないことに気づければいいのだと。そうやって、多様な考え方を追っていく中に遊びを見つけていけばいいのだと。どうだい、君のそのあまりにも優しい心をして、そいつを許させるというのは、どうしてもできないことかな?委員長のような考え方をもった人間が数人いたところで、世界は大して変わらないと思うし、確固たる考え方を獲得するまでの途中段階だと思えば、多少ムカつきも治ると思うが」
「この方は、あなたの親友なのですか?」
ずっと黙って冷泉の言葉を聞いていた西住から発せられたのはそんな言葉。
「なっ、そんなわけないでしょ!」
噛み付く園。
「まあ、そうかもしれないな」
「そうですか。まあ、信頼するあなたの友達をいたずらに弄んだのは確かに悪趣味でしたね。このことによってあなたとの信頼関係が崩れるのは私としても本意ではないので、ここはあなたの提案を飲んでおくことにしましょう」
「おう、悪いね、手間かけて。また時間があるときにしっかり話そうじゃないか」
「ええ、それでは、休み時間も終わってしまいますので。また今度」
「うい」
西住は園に何の言葉もかけることなく去っていった。
さて、自分もそろそろ行くとするか。
「だる〜いぞ♪だる〜いぞ♪うるせえはっとばすぞ〜♪」
調子っ外れな歌を歌いながらその場を去ろうとする。
「ちょっとれま子!」
しかしそうさせてくれないのは園である。
「何よ、黙って聞いていれば私の信念がそびえ立つクソだとか途中段階だとか、好き勝手言ってくれるのね!」
ガミガミ言う園。
「でも・・・」
「
ニヤリと微笑を浮かべて冷泉は言う。
「うっ・・・その・・・ありがとう」
すると冷泉の口がますます横に広がって。
「えへへへへへへ」
「わっ、やめなさい!抱きつくな!こちょこちょするな!」
そんな二人を照らす午後の太陽であった。
この世界線では西住さんと冷泉さんの通学路は別なので、西住さんがふらふらの冷泉さんを送り届けるイベントは発生しておりません。