幽溺の空、灰暮れに   作:ルイベ

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リミテッドキャラが来ない…
水着ゾーイも当たらない…
てかSSRが当たらない…

せや!小説にして書いたら手元にあるも同然や!

と言うことで投下


碧天のトラモント
幼憧


 

数多の島々が浮いているこの世界。

今ではお伽噺の存在となってしまった星の民により齎された科学技術により、人々は空に足を置くことに成功した。

島が浮くと言っても、特別何かがあるわけでも無く、強いて言えば、この世界の人々は空で暮らす…と言ったところか。

 そして、この世界には空の民と呼ばれる4種の種族が共存している。

全てにおいて不条理が無いヒューマン。

聴覚が優れ、獣のように素早く活きるエルーン。

手先に優れ、人一倍力を保有しているドラフ。

非力ながらも、恐ろしき潜在能力を秘めているハーヴィン。

 

この四種の間に嫌悪的な関係は無く、互いに長所を活かしながら暮らしていた。

 

この物語は、トラモントという小島で暮らしていたエルーンの長い長い生の旅路である。

 

 

 

──────────────────────

草木が覆い茂る大自然、目に余るほどの緑。木々はゆらゆらと踊り、小鳥達は声を揃えて囀り飛ぶ。

 

 …なんて事は無く、そこに居るのはひたすら汗を振り撒きながら自分の背丈程の木剣を振るう少年。

身体から滲む汗により密着した服が彼の少しばかり膨らんだ筋肉を目立たせている。そしてエルーンの特徴的な獣の耳と灰白色の髪。

見た目だけで言えば、運動している姿より座って本を読んでいる姿の方が似合うと言えよう。

 

「ふっ!てやぁ!」

 

幼さがまだ残る声を張り上げながら、斬り上げの動作から横一閃…そして突き。

この動作をひたすら繰り返していたため、穏やかに木の上に居座っていた鳥達は飛び去り、声の大きさのせいでまともな小動物は寄ってこない。

 

 

そもそも、彼は森の中で何をしているかというと…鍛錬である。それも一時間や二時間では終わらない5時間にも及ぶ長時間の物である。手の皮は木刀の握り過ぎで血が滲み、肩や足など筋肉痛どころの話では無い。

何故11歳の彼がそこまで血の滲むような努力をするのかというと、誰にでもある夢の実現の為である。

 

時は遡って五年前。

彼はただ街を歩いていただけだった。別に何かをしていた訳でもなく、ただの気分転換の散歩だったのかも知れない。だが、周りはそうでは無かった。

 

ある魔物が住み着き、街の一部を荒らし回ったのだ。

その魔物は人間の3倍はある大きさで、四足歩行の猛獣。とても力では勝てる見込みは無かった。

街の農作物は蹂躙され尽くし、その爪と顎で石すらも砕く破壊力。人間なら豆腐を毟るように砕かれるだろう。

 

住人は他の島に救助を求めた。しかし、短小な島にわざわざ構う大国なんて物は無い。

もう諦めて島からの脱出を計画していたのだが、一つだけ救助を受け入れてくれた国があり、その国に従属する騎士たちが現れた。

 

それからはもう圧巻の一言。

数十人の騎士達は魔法を駆使して相手の動きを封じ込め、相手の急所を確実に叩いていった。

魔物は彼らに手傷を追わせることなく倒れた。

 

少年はその強さに憧れを抱いた。

恐ろしき化物を寄せ付けぬ勇猛さに。

人々は当然お礼に貨幣や食物を献上しようとしたのだが、彼らの代表者らしき者は断ってこう言った。

 

『我らの正義に従って動いたのみ。我らは褒美の為に戦うのでは無く、人と世の為に走るのです』

 

そういって速やかに自分達の国に帰っていった。

少年は今度、その心の強さに憧れた。

少年はこの事柄を受け、彼らのように心身共に強くなり、世の為に働こうと幼い心で決心した。

はっきり言って憧れが過ぎる。理解からの決意が早すぎるのだ、この男は。

 

 

 

以上の事柄が彼を愚直なまでに鍛えさせる理由である。

心身共に強くなる為に身体を壊しそうになっているのは愚かと言えるかもしれないが。

 

この一つの出来事で、盲信的に彼らの騎士道を求め、人生の道を定めようとする時点で、彼もまだ子供の精神という事だろう。

 

疲労も回復しないまま、思考も働かずに剣を振る。

段々と速度が落ちていき、足腰も震えているほどにままならない彼に忍び寄る影が一つ。

 

「ここにいたのか。コーリス」

 

「…ん?ああ。いたのか」

 

少年の名前を呼んだのは青く少し癖っ毛の髪を持ち、白い服、首に懐中時計の様な見た目のネックレスをしているエルーンの少女だ。この少年、コーリスは声をかけられて三秒後にようやく気付いた。恐らく集中より疲労が勝り、耳に言葉が届いても、働かない思考が受け入れるのを拒否したのだろう。なんとも子供にしては人間味の無い話だ。

 

「もう剣を振るのは辞めておいたほうがいいぞ。誰から見ても分かる程に目が虚ろだ。ふふっ、まるで幽霊だな」

 

少女は呆れの感情も含めながらくすりと微笑む。それもその筈、コーリスはこの鍛錬を二年間毎日欠かさないで行っているのだ。毎日こんな姿の幼馴染を見たら誰だって呆れるだろう。

 

一方コーリスは少女の冗談をまともに返せる程の元気は無いのに加え、持ち前の堅物気質故か上手く返せる自信もない。

 

「さすがに五時間は疲れる。悪いけど買い物の手伝いは出来ない」

 

「…別に買い物の荷物持ちを要求しに来たんじゃない。疲れて倒れられても困るから様子を見に来ただけだ」

 

「節度は守る……多分」

 

「守れる確率3%と言ったところかな?お前の馬鹿さ加減は私が一番知っている。皆と遊んだりはしないのか?」

 

 

会話からも分かる事だが、彼女はコーリスの幼馴染である。物心ついたときから側に居るので、家が近いとかその辺の理由だろうとコーリスは思っている。

彼女が買い物に行く時は彼女の妹に荷物持ちとして良く使われている。それこそ人助けだと、コーリスはいつも

満足げに微笑んでいるのだが、周りからしたら女性に連れ回されて喜んでいる男にしか見えないのが悲しい。

そんな彼女はコーリスの頑固さを知っているので、やんわりと棘を刺すのだが、彼はそれを気にも暮れずに剣を振るので、段々と言葉が辛辣になっていった。

 

それでもコーリスは自分の鍛錬が認められ始めていると勘違いしている。

鈍いとかではなく、単純に人の真意を読み取れない性格なのだ。

 

 

閑話休題(そんな事より鍛錬だ)

 

 

 

「笑止」

 

「しょ、しょう?」

 

 

とても11歳の吐くセリフではない。というか普通の生活で笑止なんて使わない。

彼女の言った通り、お互いに11歳の身で、学校の友達がいない訳でもないのに、彼は真っ直ぐ家に帰ってはすぐ森へ籠もる。

同級生の中には偶然彼の鍛錬姿を見た者もおり、つい『変態だ…』と呟いてしまい、シメられた事もある。このような事例がある為、今の彼に近付くのは禁忌とされている。

身体が弱い妹の世話をしなければならないので、町の人間との交流は薄く、遊びに現を抜かす暇は無い。 

 

さすがに笑止とは言わないが。

 

 

「なんだ…?そのえっと、しょうしとは?」

 

「前に読んだ冒険小説に出てくる騎士のセリフ。騎士を目指すなら佇まいもそうしなきゃいけないからな」

 

「……」

 

 

彼も年頃の男子なのだ。

直感的にかっこいいと感じた物を日常生活で使いたがる。全空で不治の病とされる厨ニ病(若気の至り)に片足を突っ込んでしまった。

後に、彼は自分で発言を後悔して腹いせに家のドアを破壊する程に悶絶するのだが、それはまた今度。

 

 

「もう…島を出るからな。皆と過ごしたい気持ちも無くは無い」

 

 

そう、コーリスは自分達を救った騎士達の住む島に行き、騎士を直接目指そうとしているのだ。

戦士を育成する士官学校へ通い、自らが憧れる騎士団への所属を目指している。

 

無論、島の移動は子供に簡単に出来る物ではないが、空を移動する騎空艇を操縦する操舵士がいれば問題の無い事である。

そして幸運にもこの島には良い腕の操舵士がいる為、移動手段に困る事は無い。

 

 

「そうか…あと三ヶ月か…」

 

「だからこそ、士官学校への準備をしなければいけない。期間が迫っているからこそ、皆と遊ぶ暇なんて無いんだ」

 

「…フィラにも会ってくれないか?」

 

「フィラの具合が問題無いならな」

 

 

フィラ。

彼女の妹であり、コーリスにとっても妹のような存在である。彼女とは違い、感性豊かで、毎日を楽しく生きていそうで、いつも微笑ましく見守られている存在。

ただ、体が弱く、毎日寝込んでる事は無けれど運動が出来る訳ではない。

 

コーリスは島の端に捨てられた捨て子だった為、別の人間の家に住んでおり、一人暮らしでは無いが、それなりに自立した生活が出来る。それを知った少女はどうしても用がある時、コーリスに妹の面倒を見てくれと頼んだのが始まりだった。

 

年下の面倒なんて見た事無いコーリスは突然の願いに戸惑い、緊張しながらフィラに会ったのだが、その不満はすぐに解消された。

フィラは驚く程に陽気で、人懐っこく、疎外的な雰囲気を醸し出すコーリスにもコミュニケーションを怠らなかった。コーリスもそれに安心したのか、良く舌が回るようになった。

話す内容は、将来の夢は何だとか、どの島に行ってみたいかだとか、姉は外ではどんなふうに振る舞っているのかなど、他愛無い普通の話だ。

だが、それだけでも外へ満足に出れないフィラには十分に楽しめる内容であり、彼の希望満ちる夢は彼女にとって冒険譚のような聞き心地だったのだ。

 

 

と、そんな過去を語った事で分かったと思うが、フィラは社交的、それに対し姉は閉鎖的。

なのにフィラは家から出る事が叶わず、姉は外で関係を広める事が叶わない。お互いの境遇が噛み合っていないのだ。彼女達の両親も普通の暮らしをさせてやりたいと思っているが、病がそれを許すことは無い。

なんとも皮肉な運命だ。

 

 

(…こいつらが普通に友達と遊んでいる姿を想像できないな。フィラの病気を治してやりたいが……)

 

少なくとも自分に治癒魔法など使えない。

いや、少し前に村に来た医療師でさえ、この病気を治す事は叶わなかった。

 

 

コーリスは、このやり場のない悔しさに身を固めながら、フィラの元へ向かうのだった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

少し大きめの屋敷。

その屋敷の一部屋がフィラの寝ている部屋だ。

 

コーリスはゆっくりとドアを開け、フィラが寝ているかを確認する。

 

 

「…起きてるか」

 

「あ…コーリスさん!」

 

ベットに腰掛けながら本を読んでいた少女は、コーリスの姿を見た途端本を閉じ、飼い主を見つけた子犬の如くすぐに駆け寄る。

 

 

「具合はどうだ?苦しいようであれば飲み物を持ってくるぞ?」

 

「ううん!大丈夫。手足が少し怠いだけで、具合は悪くないよ!それで…今日はどうしたの?」

 

 

具合は悪くないと言いながらも顔色は常人よりも白く、手足がぎこちないと言うだけでも辛い状態なのに元気に振る舞う健気さにコーリスは少し悲しくなった。

 

だが、フィラの明るさに少し顔が綻んだ事も事実だ。 

それがとても哀しく、この静かな一室がもっと静かになった気がした。

 

自分が来た事を喜んでくれる少女に、自分がそろそろ姿を消す事を知らせなければならないのは残酷な話だが、何れ話さなければならない事だと自決する。

 

 

「もう後三ヶ月で島を出る。フィラとも別れる事になるから…その挨拶だな」

 

「……そっか」

 

「そうだ」

 

 

明るい雰囲気から一変、場が冷え切ってしまった。

それを感じ取ったフィラは焦って話題を作る。

 

 

「えと、あ!何だっけ?その、これから行く島…リスクーウだっけ?」

 

「リュミエール、だ。俺はそこまで変食家では無い」

 

「あれ?でもこの前お姉ちゃんがコーリスさんが蜂の巣を食べてたって言っ「止めろ」………うん」

 

 

これはコーリスが蜂の巣が食べれると言うことを知っていただけで、知らない人間が恐れているだけである。

フィラの姉は虫が大嫌いな為、蜂の巣など絶叫物なのだが、偶然、コーリスが回収した虫が一切入っていない巣にコーリス自身が噛み付いているシーンを見てしまい、誤解が生まれてしまった。

 

コーリスは変食家であり、腹が空けば虫さえ食っても美味しく感じる変態であると。

 

無論でまかせであり、コーリスは悪くないのだが、悲しいかな噂は広まってしまった。

 

 

「お前の姉が話す事は信憑性が高いが、虫に関しては何がなんでも自分の先入観に囚われてしまう。だから安心しろ、蜂の巣は食える」

 

「う、うん」

 

「あと、何だか思い詰めてる顔してるぞ。蜂の巣でも食うか?」

 

「いや、今はいいかな…。えっと、前にお医者さんに言われた事があって…まだお母さん達にも話してないんだけど……」

 

「言ってみろ。出来るだけ秘密は守る」 

 

「あのね…島を出て、大きな島で治療を受けないか?って言われて…」

 

「…」

 

理には適った話ではある。

この島、トラモントは他の島に比べ小さく、国というより村が似合う島だ。

それならば、医療技術が十分に備わった都会の大きな島で治療を受けた方が良いと言うものだ。

 

医者は何一つ間違っていない。

だが、

 

 

「まさか一人じゃないよな?」

 

フィラは年端もいかぬ子供。コーリスですら15にもなっていないのに、フィラ一人で島の移動など危険すぎる。

ましてや、病が完治する確証も無い。

 

誰かが付いていくのならば問題無いだろうが、フィラの様子を見ると、一緒に行く人間は決まっていないらしい。

一人では行かせられない。

 

 

「一人で都会の島なんて大変だろう。付き添いは居ないのか?」

 

「お医者さんが付き添いを手配してくれるから、大丈夫だよ」

 

「そうか。じゃ、もっと会えなくなるかもな…」

 

「大丈夫だよ!私、病気なんかに負けられないから!まだ外の景色なんて知らないけど、病気が治ったら、色んな島に行って、たくさんの思い出を作って…それで島に帰ったら、お姉ちゃんに自慢するんだ!!外の世界はトラモントよりもずっと違って、違う楽しさがあったって。コーリスさんがリュミエールに行くんなら、私はその反対の島を巡るんだ!色んな島の思い出を交換し合おうよ!それから…」

 

「分かった分かった…鬱めいた話をした俺が悪かったな。」

 

フィラはずっとしたい事を我慢してきた為、これから目指す輝かしい理想の人生を夢見る。

しかし、それは決して叶わない夢では無く、フィラの元気があれば、その夢もすぐに実現出来るとコーリスは思えた。

 

 

「なら、約束だな。俺が先に島を出るから、思い出をたくさん拾って来てやる。それまで退屈せずに楽しみに待ってろ。ただ、お前が元気になったら、次はお前が俺に沢山の思い出を語るんだ。楽しそうだろ?」

 

 

コーリスはこの言葉を語ったら少し恥ずかしくなった。

何を偉そうにこんな子供みたいな事を喋っているんだと。ただ励ましの言葉だけで良かったろうに、と。

 

ただ、こんな言葉でも、フィラという少女は

 

 

「ッ……うん!!」

 

 

と、楽しみげに頷いてくれるのだった。

 

 

 

 

 




早くフェリ最終来てフェイトエピソードで本名教えてくれよぉ…オイラ待ちくたびれちまうぜ

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