幽々の空、灰暮れに   作:魔愛暴導富

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49.グレイスタッフ・ランドスケープ

 

「出来ましたよお客さん」

 

「ありがとうございます」

 

 

 古戦場から逃げたコーリス達は、宿で報酬の中身を確認した。ヘカテーを討伐した事によって特別にルピが上乗せされている為、かなりの高額になっている。

 その他は武器の素材に使える属性石や、エネルギーの塊である金剛晶の欠片等様々な素材が入っていた。

 

 そして、その素材達を使ってコーリスはある物を作ってもらっていた。それは…。

 

 

「こちらが魔力増進の長杖です」

 

 

 杖である。魔法使いならば必ず所持している武器であり、魔法の発動を速める事が出来る。他にも属性石を用いた杖であれば、その属性を強化した上で魔法を放つ事が出来るし、範囲の拡大も可能だ。

 つまり、剣よりも拡張性が高い武器ということになる。

 

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ…中々作り甲斐がある品でした」

 

 

 コーリスは他者からの依頼で杖を作ったのではない。酔狂でもない。単純に"使える"と思ったからである。

 

 きっかけは数日前にリタイアした古戦場である。

 気まぐれでヘカテーの杖を用いての補助魔法を使った際、通常時よりも遥かに発動が速かった事に気づいた彼は、防衛戦等で盾や霧を素早く展開できるアドバンテージに目を向け、早速杖を作ろうと決心したのだ。

 

 少々鉱石も使ったが、それは頑丈な杖を望んだからだ。

 緊急時に攻撃を防げるくらいの物が望ましい。これは杖で剣を防いだヘカテーの話をゾーイから聞いた事が発端だ。

 

 更に言えば、頑丈な杖は鈍器にもなる。コーリスがヘカテーに杖を振るった時、驚く程殴り飛ばしやすかったのを彼は覚えていた。

 

 

「名前はどうしますか?」

 

「お任せします」

 

「…そうですね。"灰の祓杖(ふつじょう)"というのはどうでしょう」

 

「ふつ?」

 

「コーリスさんの戦い方は防衛が本懐だと聞きます。祓うという言葉には馴染みが無いでしょうが、簡単なイメージで考えて下さい。厄災を退ける守護の役割を担う杖に相応しい名だと考えました」

 

「…ありがとうございます」

 

 

 "祓"という言語に思わず口が緩んでしまう。少し前に滞在していた犬神宮を思い出したのだ。彼女等に比べればこの名前の意義は薄れてしまうだろうが、それでも自身の存在する意味を少しでも認める事が出来た。

 

 杖は全体的に質素で、上部の先端には鉱石や魔石を加工した装置が取り付けられており、機械的なデザインを思わせた。

 そして下部の先端は小さいメイスの様な形になっており、これはコーリスの意向によるものだ。

 

 灰色の光沢に目を奪われつつも彼は杖を手に取ってみた。

 

 

「……」

 

「握り心地はどうですか?」

 

 

 コーリスは思った。"これ、重くないか?"と。

 

 

「い、意外に重いですね」

 

「属性石を用いる場合には軽量で済みますが、硬さを重視したとの事でしたので…鉱石の重さです」

 

 

 いや、片手で持てない重さではない。愛剣とは違い、剛力を使わなくても振りかざすくらいは造作のない事だ。

 

 それでもコーリスの想定していた戦い方には支障が出る。

 それは、物量を相手にする場合に考えていた杖と剣の併用であった。左手に杖、右手に剣を持って守りながら相手を倒す持久戦。聖騎士時代では鎧を着ていた為、剣のみでしか戦えなかったが、旅人の装いである今なら可能だと、そう思っていた。

 

 しかし、長剣以上大剣未満の重さを持つ"ノスタルジア"、バジュラから受け継いだ"雅巡犬牙(がじゅんけんが)"に加え、そこらの剣くらいの重さである"灰の祓杖"を背負えば素早さと体力を犠牲にしてしまう、

 

(いや、それよりも…仕舞う場所がない…!!)

 

 

 腰に刀、背中に剣。手持ちに杖でも構わないが、剣のみで戦いたい場合に態々地面に捨てて回収するのか。コーリスは今更その周りくどさに気がついた。

 

 

(いっその事剣に並べて背負うか…いや、邪魔だ。くそ!ヘカテーのせいで長い杖に拘ってしまった俺が馬鹿だった)

 

 それとなくヘカテーに責任転嫁。見かねた店主が声をかける。

 

「取り敢えず持ち運び用の袋は用意してありますので、それを肩にかけて活用して下さい」

 

「ありがとうございます…」

 

 

 彼が思う事は唯一。

 

 

(ゾーイにどうやって言い訳しようかな)

 

 

 

 

─────────────────

 

 

 

──ポート・ブリーズ群島、カカドゥ渓谷。

 

 

 

「という事でどうにかしたい」

 

「私がどうにかしよう」

 

 

 探索の依頼を受けたコーリスとゾーイは、魔物の巣等の確認を一段落終え、安全な場所で休息を取っていた。

 一応剣を抜きやすい様に手前側にズラしながら杖を背負っているが、少し増した重さが動きの邪魔をするので、ゾーイに相談をしている所だ。

 

 そして何とかなるのがゾーイである。

 

 

「杖を貸してくれ」

 

「分かった」

 

 

 コーリスから杖を受け取ったゾーイ。するとその手から一瞬で杖が消え去った。

 

 

「…え」

 

「使いたい時は言ってくれ。一瞬で呼び出せる」

 

「どういう事だ?」

 

 

 指を鳴らして再び杖を出現させる彼女に理解が及ばないコーリス。今まで数々の特殊な能力を見てきた彼にとっても、急なワープ技術に疑問を隠せない。

 一応剣や盾、龍を一瞬で出現させられる事は知っているが、それはあくまでゾーイの一部だからという理由があった筈だ。この杖はゾーイ由来のものではない。

 

 

「私はコスモスの使徒だからね。本体からの命令や意思を受け取って行動する。だからコスモスのいる場所と繋がっている様なものだ」

 

「…杖をそこに送ったという事か?」

 

「そうだ」

 

 

 ゾーイの元となるコスモスは空の世界では無く星の世界で空を見渡している。その場所に杖を置き、使用したい時に呼び戻す事でワープの様な芸当をしているのだ。

 

 

「…コスモスさんは急に杖が送られてきてビックリしたんじゃないか」

 

「ああ、たった今『急な権能の使用は控えろ』という信号が来た。結構驚いていたぞ」

 

「いいのか…?」

 

「緊急時でもないのに能力を使ったから驚いただけで、実際に問題はない」

 

 

 本来、コスモスはゾーイの様な使徒の人格を極限まで薄めて差し向けるのだが、コーリスの監視という命令を受けた彼女は十分な人格が育ち、固有の名まで持ってしまった。

 だから、目的以外の些事はコスモスにとって無関係なものであり、この様な行動には虚を突かれるのだ。

 

 …あまりに勝手な事をするとゾーイ自身が強制的に帰還させられるのだが、彼女は気にしていない。

 

 

「…それにしても不思議な風だ」

 

「ああ。精神の安らぎ…そして魂の安らぎ。ここはそういった性質の風が吹いているようだ」

 

「"豊穣の風は生命の芽吹きを祝福し、ポート・ブリーズの守り神と共に在り"、か」

 

 

 遺跡の残骸だろうか。渓谷の大地に埋まる瓦礫に文字が彫られていた。

 

 

「守り神。ポート・ブリーズは島と契約した星晶獣を神として崇め、文化の側面として融合させたとレイが言っていた」

 

「但し根強い宗教とは異なる。お伽噺の様な扱いに近い。風に感謝し日々を過ごす彼等の行為は、私達の"いただきます"と同じだ」

 

「驚いた。詳しいな」

 

「この島の星晶獣にはコスモスが直接アプローチをかけた。人間と星晶獣、文化と権能…共生。私の共有した知識はそう語っている」

 

 

 星晶獣が島そのものと契約を結ぶ事は珍しくないが、これほど覇空戦争時の名残を残さず文化に溶け込んだ獣は少ない。

 特に、名を知られている事が稀なのだ。過去を語り継ぐ者が戦禍の歴史を紡ぐ限り恐怖は残る。かつて自分達の祖先を粉々にしていた獣が島の守り神として居座っている──そんな見方も出来るからだ。

 

 

コスモス(私達)が望んだ均衡は、案外歪な物で成り立っているんだ」

 

 

 ゾーイは遠くの空を見つめて呟いた。

 時々、彼女は空の奥を見つめて哀愁に浸る。世界を歪める原因についての情報が常に更新されていく中、コーリスに付き添い続ける役割を持った使徒。

 コーリスはそんな彼女を、ずっと迷い子の様に感じていた。

 

 

「その歪さが今の空なら、守り通すしかないんだろ」

 

「…そうだね」

 

「でも、これだけは教えてくれ。幽世は本当に存在するのか?」

 

 

 それはずっと抱えてきた疑問。ゾーイがコーリスに接触した原因であり、未だ姿を見ない記憶喪失の根源。

 

 

「存在する、が…コスモスですら直接会った事は無い」

 

「…知識としては?」

 

「空を侵す赤き地平の尖兵………今は勢力の拡大が遅れている………?」

 

 

 ゾーイは自分の頭にある知識を一通り口にした途端、首を傾げる。

 

 

「コスモスは誰からこの知識を得た?幽世の姿を見た記録は残っていないが…」

 

「………は?」

 

「コーリスは、"備え"?コスモス…貴女の隣にいた彼はてん──」

 

「ゾーイ?」

 

「……………十分な情報が渡されていない」

 

 

 コスモスは全ての知識を使徒に与えるわけでは無い。それは使徒の世界に対する裁量を偏らせ、天秤を傾ける事への懸念だ。

 ゾーイが違和感を覚えたのは過程の欠如。幽世が何たるかの情報はあるが、その元となる証拠や実物の記録が無い。拙い景色を探っても…コスモスの横に誰かが立っていた事だけ。

 

 そして彼女が気付いたことは、コーリスは未来の空に必要な備えである事。

 

 

「…幽世は長らく攻めていない。だが未来では必ず現れる…君はその為の備えだと」

 

「少なくとも今は心配しなくていいと?」

 

「そういう事になる」

 

「分かった。ゾーイを信じる…だが、コスモスさんへの信頼は数段落ちた」

 

 

 コスモスに対して疑問が強まるコーリス。

 

 

「ゾーイが言うに、コスモスさんは俺を体のいい戦力として利用している様だが…俺から言わせれば寧ろお前を利用している様に思える」

 

「…なに?」

 

「漠然と思っただけだがな」

 

 

 

 二人は暫く言葉を交わさなかった。

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○

 

 

 

 幽世を退けた幼子、コーリス。

 その子を監視するのが私の役割だった。そして彼の力を対幽世として行使出来る可能性が生まれ、セレストの能力により、その思惑は限りなく実現に近いものになったのだ。

 

 

 そして、ジ・オーダー・グランデ(偉大なる秩序)の名を冠した私達使徒は、感情を持たされずに生まれる。

 だがイレギュラーが発生した。コーリスを通して空の世界を見渡し続けた結果、私に感情と呼べる自我が育った。空の情景を美しいと感じ、彼とその周囲の成長に喜びを覚えた。必要時以外介入出来ない己の融通の効かなさに、怒りすら覚える始末。

 

 そんな私を、コスモスは消さなかった。

 その理由を私は問うた事がある。古戦場を終えた後の夜にだ。

 

 コスモスは、静かに語った。

 

 

「私はかつて、あの幼子を殺そうとした」

 

「…!」

 

「お前に役目を与える前に、私と同程度の力を注ぎ込んだ使徒を向かわせた…世界の敵になる前にな」

 

「…幽世を警戒していたのですか?」

 

「幽世の力と混ざったコーリスがどの様な能力を持ったかは分からなかった。だが、殺すしか無かった。調停者として見逃す理由が無かった」

 

「…」

 

「だが、その使徒は消失した。よりによって、脅威になる前の筈のコーリスによって」

 

「え…?」

 

「霧を体内にすり込まれ、同化させられ…最後には霧散した。その時の言葉は彼の声から発せられた」

 

 

 声だけの会話だったが、コスモスの顔が苦痛に満ちていると感じられた。

 

 

「目を灰色に光らせたコーリスは、『この子の事はほっといてくれるかな』と言った。何処の誰でもない、星にいる私に向かって」

 

「まさか…」

 

「記憶喪失後のコーリスを狙ったのだ、もしも()()がコーリスならば、この事を覚えている筈。だが、覚えていない。だとしたら別の存在か、或いは別人格……いや」

 

 

 次の言葉は、私を激怒させるのに十分だった。

 

 

「──今の彼自体が、コーリスという皮を被った幽世なのかもしれない」

 

「違うッ!!」

 

 

 そんな筈は無い…そんな筈は…。

 

 

「肯定も否定も出来ない。彼は純粋なコーリスなのか、コーリスを真似た幽世なのか…変質したコーリスなのか。…そもそもコーリスの本質が悪なのか」

 

「あの子はただ笑って、食べて…故郷を愛した人間です!貴方も見てきたでしょう…!?」

 

「私は長らく空の世界に居ない。分かっているだろう、使徒よ。コスモスというシステムに感情は不要。だからこそ(コスモス)が空に過度な愛着を持ってはならない」

 

「なら私は…私は何なのです」

 

 

 感情を持った私を破棄しない、その考えが分からない。その超越依然とした機能に矛盾する…貴方自身の感情は何なんだ。

 

 

「お前は彼の為に、私に怒りを覚えるほどに感情が育った。本来ならば使徒として不完全だ」

 

「ならば!」

 

「私が裁量のまま彼に接触したとして、どの様な結果が生まれるのか検討も付かない。だからこそお前に託したのだ」

 

「……何をです」

 

「コーリスを信じ、彼の横に在り続けられる友として。かつての私と同じ様に…感情があるからこそ、開く道があるのかもしれない」

 

「ですが、それが正しいという事は…」

 

「コスモスは不完全、空に不要となる」

 

 

 それは自己の存在否定。コスモスは薄々気づいている。およそ100年後には、自身の存在に限界が来る事に。

 

 

「頼んだぞ…()()()。お前は、彼の善性を信じる者であれ」

 

「…分かりました、コスモス」

 

 

 

 

 本当に、これでいいのだろうか。

 コスモスの意志…ゾーイとしての役割だとしても、彼の人生は彼のものであって欲しい。

 

 もっと良いやり方は無かったんだろうか。あの空戦、空から彼を落とさない様気を配れば、そもそも幽霊にならず、人並みの人生を迎えた筈だ。確かに私やコスモスにとって都合が良かったにしても…それは。

 幽世を倒すという口実も、恐らくコスモスの嘘だ。幽世を敵だと示す事で、彼が敵になる可能性を封じようとした足掻きでもある。そうでなければ私に明確なビジョンを与えているはず。

 

 だが、寧ろ今は良い。騎空団として、コーリスも充実した様子を見せている。ヘカテーの様な存在は予想外だったが、次は無い。私が確実に消す。

 依頼をこなし、たまにリュミエールや犬神宮に行きたがっているが、ポート・ブリーズで平和に過ごしている。

 

 

──そんな時、一つの依頼が私達の目に止まった。

 

 

 

「ポート・ブリーズじゃない、遺跡の捜索…?」

 

 

 

 

 

 その依頼は、私達の運命を大きく変えた。

 

 

 

 

 

 

─────────────

 

 

 

──始話:灰の楔①

 

 

 

「ほら、こっちこっち!」

 

 

 

 時龍オロロジャイア、灰の楔を誘導。

 楔、空の個体に同調用意。

 

 

 個体名──コーリス。

 

 

「大丈夫!入っちゃって!」

 

「楔の効力の延長を確認、此れより待機に入る」

 

 

 ()、同調開始────

 

 

 

 

──1年後。

 

 

 

 

 

「空の民健気すぎだろ!」

 

「君そんなんだっけぇ!?」

 

 

 僕はアウゲィアス。最近人格を得たばっかりだ。

 

 

「ま、まぁ…演算で分かってはいたけど、1年でそこまで俗に染まるかなぁ…?」

 

「オロロジャイア程じゃないよ。それよりも此れからどうなる訳?」

 

「それは言えない。僕を信じて待っていてくれ。コーリス君に被害は出さないからさ」

 

「…僕いらないんじゃない?一応廃棄の役割として、死なないようにコーリスに入ったけどさ」

 

「まぁまぁ、態々死ぬ必要も無いってわけ!」

 

 

 1年前、楔として崩壊を迎えた僕は、存続の為に空の民の身体に入った。それが、コーリスって子だ。 

 なんでも暗殺一族…カルム一族の里生まれで、物騒な風習の中で両親に恵まれたのか、愛に囲まれた暮らしをしている。

 

 しかし、2年後に突如族長が暴走。変な液体をコーリスに飲ませて身体の強化を計ったんだけど、その負荷は結構なもので、コーリスは熱を出した。

 それで両親は怒って、秘密裏に里を出ようとしている。

 

 良い判断だと思う。頑張れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オロロジャイアァァァァァァァァ!!!」

 

「なんでええええええ!!??」

 

 

 逃げた先の島で幽世に遭遇。コーリスの父は里を抜ける時に囮になって死んだ。母は…不幸にも今ここで殺された訳だ。

 僕は間に合わなかった。間に合ったとしても、僕の能力は人を守る物じゃない。

 

 だが驚いたのは、コーリスが僕の能力を使って幽世の細胞を吸った事だ。これにより能力が変質した。吸収というより、何かを奪う霧になった。

 

 そして、オロロジャイア。空の世界についての事象を演算する能力を持っているが、幽世は空じゃない。イレギュラーというやつだ。とはいえ許す事はない。

 

 

「言い訳でもいいから言えッ!!」

 

「ほ、ほんとに偶然で…本来ならここでカルムの追手をコーリス君の母さんが皆殺しにする筈だったんだけど…霧を利用して」

 

「え…どうするの?本当に……コーリスは大丈夫なの?」

 

「記憶が飛んだみたいだから……え、どうしよう。幽世と混ざったから演算し直せない。どっちみち間に合わないけど」

 

「……オロロジャイアァァァァ!!!!!」 

 

「ごめんなさい!!!」

 

 

 

 この子の未来はどうなるんだと思っていた矢先、またもや敵が来た。凄い力を感じた。髪色に銀と蒼が混ざった剣士で、突然空から降ってきたのだ。

 

 

「何こいつ?」

 

「あーそれはコスモスの使徒だね」

 

「何しに来たんだろう?」

 

「幽世…あ、コーリス君を世界の敵と見做して殺しに来たのかも」

 

「……」

 

 

 させる訳ないだろ馬鹿ッ!?

 

 

「権能を使う!」

 

「やっちゃえアウゲィアス!!」

 

 

 くそ…霧になったせいで使いにくい!

 でも行ける!霧を口と鼻と耳へ侵入!体内の霧から敵の細胞を吸収………ヨシ!消滅!!

 

 

「この子の事はほっといてくれるかな」

 

「ヒューヒュー!!」

 

 

 言ってやった。これでもう寄ることは無いだろう。

 

 

 

 

──16年後。

 

 

「えー…アウゲィアス、報告を」

 

「………セレストとかいう奴の能力で擬似的な不死身になっちゃった」

 

「あーあ、どうしよ」

 

「幽世細胞滲んでないから多分大丈夫」

 

「………残業かぁ」

 

 

 オロロジャイアの心労が…増えた。

 

 

 

「…なんか変な女来たんだけど」

 

「ぞ、ゾーイだって!?なんで今ここに!」

 

「え?知り合い?」

 

「……演算では100年後に()()()()の元で顕現する人物だよ」

 

「……なんか前に殺しにきた奴に似てない?」

 

「あれと同族の戦士だよ」

 

「…殺すか」

 

「駄目!様子見!」

 

 

 …ん。前に来たやつに比べたらやけに感情豊かだな。

 

 

「……ほほう。コスモスも考えたね」

 

「どういう事?」

 

「コーリス君がイレギュラー過ぎるから、せめて幽世に傾かないくらいに導こうとしてるのさ」

 

「導く?ただ自分達が望む方向へ誘導するだけでしょ?」

 

「はは、耳が痛いね。僕に刺さる」

 

「……オロロジャイアは頑張ってるよ」

 

「ありがと」

 

 

 ……さて、ゾーイとやら。僕はお前を見てるからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






コーリス
・結局コスモスってなんなんだ?
・アウゲィアスが宿っていても、幽世が来なければ何もない人生だった。

ゾーイ
・珍しくコスモスの無茶振りが来た。
・まだコスモスが健在なので明確な使命を受け取れる。

コスモス
・コーリスをどうしようか悩み中。
・いきなり杖が送り込まれて超ビックリした。
・まだ力の限界が来てないので原作よりも自在に使徒を扱える。

アウゲィアス
・なるべく外に干渉しないようにしている。コーリスの人生だからと結構ドライ。
・幽世が来たせいで副次的な効果がコーリスに現れているため、無干渉も難しくなっている。

オロロジャイア
「もう終わりだよこの世界」

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