ガロンゾにて、3人の男女がもみ合っていた。
背の鞘に手を掛け、血走った瞳を走らせる男。
その男の手を止める銀髪の女。
男の後ろから全力で羽交い締めをする少女。
そして、少し離れた所から見つめる青髪の少女もいる。
「んがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「落ち着くんだコーリス!こうやって空は命を育む事で生きてきたんだ!」
「
「それお前は言っちゃ駄目だろ!?兄貴分なら妹分の幸せを喜ぶもんだ!」
「兄から姉ポジションに鞍替えしたお前に何が分かる!?妹の困惑が目に見えるぞ!」
「急に正論言うんじゃねぇクソガキ!!」
「えへへ…」
「フィラちゃんも何笑ってんだ!?」
「だって…コーリスさんが私の事をここまで想ってくれてるんだなって…。そう思うと嬉しくなっちゃって」
「コーリスとフィラの間には素晴らしい信頼関係があるんだな。これは良いものだ」
「何でもいいけどガロンゾ滅ぶくらいには覚悟しとけよお前等!?」
──混乱の理由は数十分前に遡る…。
────────────
コーリスとカリオストロはガロンゾ島行きの騎空艇にて駄弁っていた。
「ポート・ブリーズの人達、良い人ばっかりだったな」
「学会の馬鹿共がいなきゃ、あそこに家を建てて拠点にするのも悪くないと思ったぜ。騎空艇の通りも良いしな」
「ちなみに今から行くガロンゾは騎空艇そのものを造ってる島だ。交通面も最大規模だし、約束は尊守されるから過ごしやすい島なんだ」
「そしてコーリスの幼馴染も住んでいる」
「うぉ…びっくりした」
後ろからゾーイがひょこっと顔を出した。
「私も会うのは初めてだ」
「特別会う予定はないが…ノアさんを探している間に会えるかもな」
「どんな子なんだ?カワイイのか?」
「言ってもいない性別を絞るな…」
「幼馴染といえば異性だろ〜?」
ニヤニヤとフィラの詮索をする美少女開祖(男だが)。その仕草は子供に恋を実感させ(男なのに)、大人には危険な感情を覚えさせる程に愛くるしく(男の癖に)、例え本性を露わにしても拭いきれない美しさに人々は魅了される(だが男だ)。
「元気な子だよ。でもうるさいわけじゃない。気遣いも出来るし、人の為に頑張れる人間だ」
「あーアレだ。同年代の男を勘違いさせるやつ。"アイツ、俺の事好きなんじゃないか?"って10人くらいに思われてるやつ。そういうタイプだろ」
「勘違いする猶予も与えん。邪な男どもは俺が排除する」
「はは、過激な冗談言うじゃ───いや、その顔冗談じゃねぇな?うわぁ…」
「一人っ子タイプのカリオストロさんには分からないだろうな」
「オレ様は一人っ子じゃねぇ。てかお前失礼だろ」
やれやれ、と髪を整えながらカリオストロは語り始めた。
「オレ様にも妹がいた。同じく錬金術の才能を持っていてな、色々世話かけたよ」
「…まぁ、兄が急に女になったら驚くしな」
「そういう事じゃねぇし何なら身体造り手伝ってもらったわ!ホントお前さぁ、ホント…!」
嫌味なのか天然なのか分かりにくいコーリスの性質に苛つく少女。何故か苦労人の気質が見えるが、また一段と賑やかになったのだとゾーイは感じた。
「そういえば財布の件だが…お前に任せることにした」
「ん、いいのか?」
「盗っ人精神の欠片も無さそうだし、俺達よりも合理的だろうから寧ろ任せたい」
「じゃあ任せな。何ならオレ様が直々に稼いで騎空艇買ってやろうか?」
「本当にやれそうだから怖い」
「へへへ…」
長く楽しい付き合いになりそうだと、ゾーイは心の中で笑みを浮かべた後に声をかけた。
着陸の準備だ。
「直に到着するよ」
「現代の工業島…オレ様としちゃあ楽しみだな」
───ガロンゾ、ナウタ地区。
騎空艇の整備を目的とした施設に溢れた島の中で、数少ない緑が残っている場所、それがナウタ地区だ。
「ノアさんは真っ白な髪に薄めのローブが特徴の浮世離れした青年だ。大体は外を見渡せる場所か静かな場所にいるんだが…」
「いないね」
「呼んでみるか。ノアさーん!いますかー!?」
(大声で呼んでも静かな人間なら尚更来ねぇだろ…。こういう空気の読めなさがクソガキなんだよ…)
しかしカリオストロの心配は杞憂に終わる。
「──呼んだかい?」
「来るのかよ!?」
ツッコミ役としての立場が確立しつつある哀しき者。発想の面で飛び抜けてるだけであって、彼は常識を充分に持っている。
「久しぶりだねコーリス。5ヶ月ぶりくらいかな?」
「そのくらいです。ノアさん、聞きたいことがあって来ました」
ノア。物腰柔らかな白髪の美青年。ガロンゾにて騎空艇を見つめている姿が度々目撃されている。
そしてゾーイによって明らかとなったのは、彼が星晶獣だという事。
「騎空艇を購入しようと決めました」
「──そうか。用途は?」
一瞬、この場に重圧が乗せられた感触をゾーイとカリオストロは覚えた。
「移動、そして家代わりに」
「なら、大きいのにしないとね」
そして、その圧は消えた。
「ゾーイ…あの男に何か地雷でもあるのか?」
「分からない。騎空艇を入手することには関係しないようだ」
二人の心配をそのままにコーリスとノアは会話を続ける。
「ちょっと面倒な奴等に追われてて…長い時間同じ場所にいると迷惑なのでいっその事船を拠点に」
「なる程。その場合専属の操舵士が必要だけど…目星はあるのかい?」
「それが無くて…あの、俺が寿命の制限が無いに等しいって話しましたよね」
「したね」
「旅の目的もちょこっと話したの思うんですけど、寿命が無い人を仲間にしたいんです」
「どうして?」
「……」
幽世の話はノアにはしていない。それは、迂闊に情報を広めたくない事と、彼がまだノアを人間だと思っていたからだ。更に言えば、ノア自身も星晶獣だと気づかれていないと感じている。
だから、最低限を
「単刀直入に言います。後ろの仲間…銀髪の方がゾーイというんですけど、星晶獣です。世界の危機に反応するタイプの」
「本当?」
「本当です。もう一人はカリオストロっていう、一応不死身の男です」
「………もしかして、僕をからかってる?」
「男です」
ノアは表情に出さないが少し引いた。女装趣味だと思ったのだ。
"あークソガキ殺すかなー"という呟きが聞こえた。
「ゾーイが言う、世界の危機に対抗する為に世界を回って少しずつ平和にしていこうっていうのが大雑把な旅の目標で、そうなると寿命を何らかの形で克服した人間が仲間として望ましいんです」
「長い旅になるから、か…」
「そこでお願いしたいんですが」
コーリスは頭を下げた。
「ノアさん。艇の操舵士になってくれませんか」
「コーリス、僕は…」
「"艇造り"の星晶獣、なんですよね」
「────」
ノアは初めて明確に驚いた表情を見せた。怒りも悲しみもなく、ただ疑問だけをコーリスに向けた。
「ゾーイが知識として知っていたようです」
「…そうか。なら、自己紹介だね。僕は星晶獣ノア。艇と艇の製造に関する知識を全て保有している。確かに契約している相手はいないし、僕を頼る人間も現代にはいない」
「…ならば」
「でも、君の旅に同行できる程の戦力にはなれない。君の夢は魅力的で、今の空ではかけがえの無いものだと思う。だからこそ、危険で朧気な理想でもある。君達は承知の上だろうけど、僕は並べるほど強い生き物じゃないんだ」
「……」
「良い艇を紹介するよ。操舵士をちゃんと目的を説明すれば自ずと見つかる筈。だから…」
「…?」
ノアは彼に微笑みかけた。
「見つかるまで最低一年間。僕が君達を導こう」
────────────────
「ノアさん…その、どうして?」
「君達なら世界に何かしらの影響を残せるかもしれない。漠然と僕が思っただけなんだけどね」
「じゃあ一年は一緒に…!」
「うん。いいよ」
「やった!カリオストロ!やったぞ!!」
喜ぶコーリスに対し、遠くにいたカリオストロが驚く。
「マジか!あの雰囲気で仲間に出来たのか!でかした!!」
わーいわーいと喜ぶ二人に、ノアも自然と笑みが溢れる。彼は知識面で艇に特化しており、魔法の様に艇を生成する事は出来ない。彼が齎したのは、空の民が効率的に艇を製造し移動する為の知識と環境。
故に、操縦自体に問題は無い。
「でも、どうしても操舵士が見つからないのなら、君達の誰かが操縦技術を学んで動かした方が早いんじゃないのかな」
「あ…俺工学系は全然駄目で」
「私は手先が器用な方ではない」
「オレ様は実験で忙しい」
「うーん…ゾーイに任せた方が良さそうだね」
「!?」
どうしようもない3人の中で何故かとばっちりを受けるゾーイ。食費を減らされ、部屋を圧迫され、遂には操縦免許の取得も命令される。
今年の調停者は厄年らしい。
「コーリスは不器用なんだ。彼が12歳の時、幼馴染が持っている引き出しを直そうとしていたんだけど、ネジ締めがどうしても出来なくてね、偶々外にいた僕を呼んだんだ。それが初めての出会いだよ」
「ぷぷ、だっせーの」
「うるさい」
ガロンゾにて、病気が完治していなかったフィラの面倒を見に行っていたコーリス。ほんの些細な出来事がきっかけでノアと出会い、今に至るのだ。
「そうだ、折角だからフィラに会いに行っておいで」
「良いんですか?」
「艇の選別には時間が必要だからね。お金の管理は誰がやってるのかな?」
「オレ様だ。分割払いを許してくれるんなら利子付きでも構わねえ。後から幾らでも増やせるからな」
「なら、明確に契約する事をおすすめするよ。この島は少し特別でね、約束は絶対破れないんだ」
コーリスはノアの心遣いに礼を言い、早速フィラのいる場所へ向かおうと歩いた───
───────────────
──と思ったら、あっちから来た。
「えへへ…やっぱり、そんな気がしたんだ」
コーリスの目の前には青髪の少女。先ほど話題に上がっていた当事者。小動物を思わせるエルーンの耳に、姉とは違う短い髪があどけない印象を見せる。
───フィラ。
「あっちの人達はコーリスさんの仲間?変わった見た目の人達というか…子供もいるよね」
「問題ない。ああ見えて最年長の男だ」
「…少しビックリしたけど、私に嘘つかないもんね」
そう言ってフィラは苦笑した。家族に会えなくなって久しく、コーリスだけを同じ苦しみを知る人間として気にかけていた。騎士として日々邁進している彼の足を引っ張らない様に、出来るだけ体調に気を配りながら生きていたのだ。
しかし、空戦で左腕を失って帰ってきた時に…彼女の意思は決壊した。もう、戦ってほしくないと。
──島の特性を利用して、
「騎空士の仕事は大丈夫?」
「…何か変な組織に狙われてる」
「……無理しちゃ嫌だよ?」
「大丈夫、俺が死ににくい事は知ってるだろ?そういう立ち回りだけは得意だからな」
この二人は気質として明るいものを持っているが、対面すると汐らしい空間を形成する。いつもそうだ。フィラが心配して、コーリスが大丈夫と答える。
彼女は思った。この会話は、彼が死ぬまで同じなんだろうと。
「……なんか、オレ様が思ってたよりも静かだな」
「そうだな。憂いが見える」
いつの間にか姿を消し、物陰から二人を見つめるカリオストロとゾーイ。ノアが艇を確認しに行ってる間、暇を潰す物も無いので、彼等を見守る事以外ないのだ。
「しっかし来た事も伝えてねぇのに会いに来るとは…幼馴染力が強い子だな」
「幼馴染力?」
「ああ。共に育ってきただけで相手の意向を言葉なしに察し、支え、或いは共生する。どんなにカワイイ見た目を作っても、これだけは人間関係に依存するからな…オレ様も完璧じゃねぇ」
「私は君の事を聞いている訳ではないのだが」
「………要するに、"いいな"って思える関係だよ」
あと、カリオストロの舌打ちが止まらない。
暫く沈黙の時間が流れた後、フィラは何か決心したかの様に言葉を紡いだ。
「あのね、コーリスさん」
「ん?」
それは爆撃に近いナニカ。
「──私、結婚する事になったの」
「────────ほへ?」
最初に反応したのはカリオストロ。それはあくまで感心というリアクションであり、フィラの様な静かな人間がきちんと相手を作っている事に驚きもした。
次に、ゾーイ。ただ驚いた。
そして───
「スゥ──────」
一呼吸置いたコーリスは先程のフィラと同じ様に決心し、背中の柄に手をかけた。
「ストぉぉぉぉぉップ!!!!!」
意外にも一番早く動いたのはカリオストロだった。野太い叫び声を放ちながらコーリスにしがみつく。
「よーしよしよし。落ち着けコーリス。お前はクソガキじゃねぇ良い子だ。だからその無駄に重い剣を一度置いてな?オレ様との約束だゾ?」
「……………」
(やばいコイツ目がガチだ…対象をブチ殺そうと脳が勝手に命じてやがる…!?)
彼はゾーイに援軍を要請した。呆けていたゾーイはアホ毛をピンと立てながらコーリスの手を掴む。
「何をする気だコーリス!」
「これはテストだ」
「てすと…?」
感情を失った平坦な声。それに反し眼は極限まで開き切っている。
「合意の上であれば俺が態々口出しする必要は無い。フィラの幸せを俺は喜ぼう。フィラが選んだ男だ…きちんとした人間である事に疑いの余地は無し」
「言動と行動が一致していないぞ…?」
鋼鉄のように動かない彼の四肢は、カルムの身体能力を極限まで引き出した結果である。
「ただ…その男がフィラを守り通せるかまでは分からない」
「だからってカチコミに行く程の事じゃねぇだろ!」
「最低でも…俺を倒せるくらいの人間でなければな」
悲しい事に、コーリスの脳内は冷静であったが、頬を赤らめて下を向いたフィラを目視した瞬間、彼の感情が弾けた。
「んがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「落ち着くんだコーリス!こうやって空は命を育む事で生きてきたんだ!」
「
「それお前は言っちゃ駄目だろ!?兄貴分なら妹分の幸せを喜ぶもんだ!」
「兄から姉ポジションに鞍替えしたお前に何が分かる!?妹の困惑が目に見えるぞ!」
「急に正論言うんじゃねぇクソガキ!!」
「えへへ…」
「フィラちゃんも何笑ってんだ!?」
「だって…コーリスさんが私の事をここまで想ってくれてるんだなって…。そう思うと嬉しくなっちゃって」
「コーリスとフィラの間には素晴らしい信頼関係があるんだな。これは良いものだ」
「何でもいいけどガロンゾ滅ぶくらいには覚悟しとけよお前等!?」
醜い揉み合いも終結に近く、カリオストロが地面をコーリスの足に固定し、ゾーイが鞘のベルトを外した事で事なきを───得なかった。
次に彼は腰の刀に手を添えた。
「おいおいおい両断する気まんまんじゃねぇか!てかその刀の初使用それでいいのかお前!?」
「この刀の持ち主は愛に生きた人間だった…ならば、今の俺の行動に応えてくれる筈……!!」
「やめろコーリス!バジュラちゃんだっけ…その子が泣くぞ!」
「いや…彼女なら喜びそうだな」
既に抜刀したコーリスが刀を掲げる。
「成すべきに応えよ!雅巡犬牙!!」
すると、その刀は黄金色に光り輝き、彼の魔力と融合して恐ろしいエネルギーを内包した。
「なんでホントに応えてんだよォォォォォォ!!??」
カリオストロ、数千年分の叫びを今日一日に浪費する。
この騒ぎは、本気のゾーイがコーリスを無力化した事で終幕を迎えた。
フィラだけは満足して帰っていった。
────────────────
──1時間後。
「実を言うと、フィラに相手がいる気はしてた」
「死にてぇかクソガキ。後付設定にも限界あんだよ」
「でも、フィラに会いに来ることやノアさんに会うことはあっても、ガロンゾに親しいかと聞かれればそうじゃないから分からなかった」
コーリスは反省していない。過保護と言われれば言い返せないが、フィラの純情に踏み入る人間を少しでも確認しておきたい気持ちは常にあったのだ。
フィラ自身の話によれば、病気を治す際に援助してくれた家の一人息子であり、穏やかで誠実な少年なのだという。ついでに言えば、とても金持ちの家だ。
その事を聞いた瞬間にコーリスは刀を収めた。寧ろ、彼女の病気が治る要因を知らなかった自分を恥じたのだ。
フィラとしては、コーリスに気負わせたくない気持ちもあったのだろう。
「皆、艇が見つかっ……何かあったのかい?」
そこで艇を探しに行っていたノアが戻ってきた。
「オレ様は疲れた。それで、どんな艇なんだ?」
「う、うん。図面を貰ってきたから…これ」
ノアが持ってきた図面を確認する3人。
「"フロンティア号"ね…なんというか、白い鯨みたいだな」
「カー・オンに似ている」
「なんだそれ?」
「空域を泳ぐ神出鬼没の生物だ。星晶獣なのか長寿の生命体なのか定かではないが…幸福の印として知られている」
「へぇ。ノア、それがモチーフか?」
「僕個人の解釈だとそうかな。願掛けに近いものだと思うけど…実際に構想を練った人がどう考えたのかは分からない」
「そうか。というかこの艇…大砲も何も付いてないんだな」
「お金がかかるからね。空戦用の艇は大規模な団じゃないと運用が難しい」
フロンティア号という艇は、全体的に丸々としたシルエットで、上部は鯨のような生物を象ったデザインが特徴だ。強度が強く速度も早い。だが、武装していないので戦闘には全く向いていない。移動や冒険に重宝する艇である。
「あまり人気のない艇だけど、僕は君達に合っていると思ったんだ」
「値段は…」
「200万ルピ」
「に、にひゃっ」
「分割払いの契約を結べば問題ないと思うよ」
結局、コーリスは月に10万ものルピ払う事を条件に艇を購入した。
ただ、金欠の懸念は杞憂のものとなる。何故なら、部屋を手に入れて舞い上がったカリオストロが一瞬にして経済を荒らす事になるからだ。
そして、手に入れた艇を見てノアが提案する。
「試運転といこうか。乗りたい人はいるかい?」
「乗ります」
「乗ろう」
「乗る」
「全員だね。安全に行くよ」
念の為全員が操舵室に乗り込んで景色を見つめる。
「ふふ、人を乗せるなんて何百年ぶりだろうね。それこそ空に技術を教え始めた頃以来かな」
「おいおい、運転方法忘れんなよ?」
「そんなミスはしないよ。艇も風を浴びれて嬉しそうだ」
舵を切ったノア。数秒して巨大な艇が唸りを上げて島から離れ始める。その際の音が鯨の鳴き声に似ている、と彼等は珍しくロマンチックな感情を覚えた。
「揺れない…」
「移動に特化した艇だからね」
「ちょっと遅いな。これが限界か?」
「……飛ばしてみるかい?」
ノアはニコリと笑って手に力を入れた。
開祖、後悔。
「の、ノアさっ」
「安心して」
「言ったのはカリオストロだから…」
「安全にスピードを上げるから、さ」
数秒後、コーリスとカリオストロは風圧の恐ろしさを嫌と言うほど感じる事となった。
余談だが、ゾーイはちゃっかり楽しんだ。
というわけで一時的にノアが加入、騎空艇ゲットの回です。
個人的にノアは好きなんですが、コーリス達と旅をするイメージが湧かなかったので一年間という事にしました。
以下解説。
コーリス
・フィラに近寄る男に厳しい
・フィラに対して恋をしていないのに脳が破壊された。
ゾーイ
・どっちかというとリュミエールの方が好き。
カリオストロ
・クソガキに振り回される毎日。
・艇を手に入れて気分は悪くない。
・3人の中で一番常識人。
ノア
・原作キャラ。
・コーリスとは結構な仲良し。コーリスからは近所のお兄さん感覚で親しまれているが、ノアから見たコーリスは自分に懐いているかわいい子供。
・騎空艇で戦闘をする事に忌避感を抱いている時期なので、フロンティア号を選んだ理由に少しだけ私情を挟んだ。
・カリオストロが騎空艇を舐めていた為か少しだけ火がついた。
フィラ
・姉に比べて元気そうだが、姉より滅茶苦茶重い幼馴染。
・コーリスに心配される事に喜びと苦しみを覚えている。
・コーリスが結婚したら彼と同じく相手を品定めしに行く可能性がある。
フロンティア号
・原作で確認できる艇。デザインも見れるよ!
・カー・オンの下りはぶっちゃけ憶測です。
バジュラの刀
・名前を"
・祈りや感情によって切れ味が増す刀。感情の強さと、それを冷静に行使する理性が合わさった時、刀が黄金に輝いて真の力を発揮する。
・つまりコーリスは冷静にフィラの結婚相手をブチ殺そうとしていた。