間章ということで、6章から7章の繋ぎですね。
今まで行った島も少しお邪魔することになるかと。
EX1.災禍の後
「起きるのが早いんだねっ☆頑張り屋さんなのは凄いことだけど……もう少し休んだら?団長さん♡」
「…うん」
「カリオストロもぉ…魔力がカラカラで動けなかったの〜!」
俺が倒れて、アテナさんと話して…次の朝。
部屋から出るとカリオストロが笑顔で出迎えてくれた。何故か美少女モードに入っているが、身体は治って──いやなんで治ってる!?
「う、腕とか大丈夫なのか」
「うん大丈夫!カリオストロは天才だから!」
テンション上がってるのかヤケになってるのか分からんが、カリオストロは五体満足の状態だ。
魔力が無いから暫くは錬金術で身体を作る事は出来ない筈。何をしたんだ。
…いや、そういえば健在な奴がいたんだった。
「ウロボロスか?」
「上出来!ウロボロスはカリオストロの魔力で動いてる訳じゃないから、身体のパーツさえ準備していればくっつけてくれるの!」
「じゃあもう大丈夫なんだな?」
「いや無理だな。強度に問題がある。動かし続ければ崩れるだろう。近い内に全身を作って魂を移す必要がある」
「急に戻るな」
「良いじゃねぇか久し振りの美少女モードだ。これやると相手が話聞いてくれる様になんだよ。なんでだろうなー」
それは多分呆気にとられて……まぁ、いいか。このモードの時に話す事は結構ためになるし。
ノアさんにどんな事を言おうと考えていたらカリオストロが徐ろに俺の頭を撫でた。
「ま、元気になって良かったな。アテナがお前を抱えて来た時はどうなるかと思ったが…アイツ、予想以上にデレてたぞ」
「……行った時、アテナさんは自害しようとしていた」
「…マジか。いや……でも、そうだよなぁ…」
「子供達は?」
「ノアとアテナしか面倒が見れなかった。生活費くらいは足りなくなったらオレ様が出してやる」
「ありがとう…。精神状態は?」
「間違っても元気とは言えないが安定してる。死が身近な街で過ごしていたからか…現実が受け止められていないのか。経過観察が必要だとは思うがね」
アルミスと違って他の子供達はエニュオによって街が壊滅した事を理解していない筈だ。
一人の青年だけが察していた様だが、それを告げる事はしないだろう。
アテナさんがボロボロの姿だった事も相まって、死んだ人間達の事に意識が向かなかった可能性もある。
…大切な人間が殺されるという経験は決して乗り越えられるものでは無い。慣れてしまえるのならば、それはもう人間の感情を捨てるのと同義だ。
奪われるという事象に救いなんてない。その経験を糧に得る物も無い。
俺達に出来る事は彼等が踏み出す為の道を用意する事だけなんだ。
「…コーリス?」
声が聞こえた。ノアさんの声だ。
震えている。
「おはようございます」
「もう、大丈夫なのかい…?」
「はい」
ノアさんの顔は少しやつれた様に見える。子供達の相手をしていた心労…というより、朝になって力が抜けたからだろうか。
もしエニュオが艇を狙っていれば全てが消えていた。
俺達の生死に関わらず彼は艇を動かしただろうが、待つ時間は相応に辛かった筈だ。
「本当に生きていて…よかったよ」
「ノアさん…」
「夜が明けるまで戦い続けて…死んでしまったのかと何度も思った…」
切なげに笑うノアさんはこの戦いの結末を体現しているかの様だ。全ては虚しいだけ。
街の人間が全て生存していたとしても、エニュオが刻んだ恐怖は消えないと確信できる程の蹂躙。
人生とは何だったのだろうか──そういう刹那の絶望に思考が引っ張られる。
「……でも──」
ノアさんが何かを言おうとした瞬間──
「ッ!!」
「……チッ」
「これは…!?」
──甲板の方から熱を感じた。
炎を使えるのは…アテナさんだけだ。
即座にノアさんがオールの様な形状の杖を出現させ構える。
「──僕が行く」
「いや、ウロボロスを向かわせる。お前じゃ勝て──待てコーリスッッ!!!!」
暴走なんて無いはずだ。
夜に見たアテナさんは絶望を知りながら…それでも進み続ける覚悟を見せていた。
大方魔物の襲撃に力を行使しただけの筈──!
俺は予備の剣を倉庫から取り出し甲板へ向かう。
「待て!!!」
カリオストロの声を背中に感じながら。
「……やばい!」
甲板に出たら凄まじい熱気。熱い。
エニュオが本気を出した時と同じ様な圧を感じる。ある種の神聖さ──星の力だろうか。
「裏か…!」
逆の方向から強い熱波を感じる。
空へ向けられている事から何らかの外敵と相対している様だ。
……よかった。
「アテナさ──」
「誰だ君は…彼等に何をした」
「……艇から立ち去りなさい」
「誰だ、と聞いている」
………ゾーイが帰ってきた。
それと同時にアテナさんと向かい合っている。互いが艇を襲う敵だと勘違いしていて、ゾーイの方はかつてない怒りを見せて圧を飛ばしている。
呼吸が止まりそうだ。
エニュオの口ぶりからして、本気のアテナさんはエニュオと同程度……なのにゾーイが威圧するだけで萎縮させてしまっている。
「………
遂にゾーイの剣に光が宿り始めた…!
「ゾーイ!!」
「──コーリス!」
「コーリス殿ッ!ここは──」
「ゾーイ、彼女は敵じゃない!」
「その傷…何かあったんだな!?」
俺の顔を見るやいなや直ぐに力を解いて降りてきた。
表情が二転する。喜びから不安へ。
「君に何が………」
「長くなる。取り敢えず彼女は──」
「今思い出した…星晶獣のアテナだろう。だが私が言いたいのは」
「分かってる!取り敢えず中に入ろう!」
「久し振りの再会だというのに煙に巻くのかッ!」
「なんか面倒くさくなってる!?」
「『おかえり』も無いのか!」
「おかえり!」
「ただいま!!」
ゾーイの背中を押して無理矢理中に入れる。
…ゾーイがいるだけで安心感が凄い。本当に。
「……………あ、私は」
アテナさんごめん!
────────────────
「クソガキクソガキクソガキクソガキ!!!」
「ごめんなさい…」
「錬金術開祖を過去一ブチギレさせた名誉と共に誇り高き死を与えてやろうか!?」
俺は今、頭を鷲掴みにされてガンガン揺さぶられている。
後頭部はウロボロスに噛み付かれているし、何ならノアさんに杖で尻をひっぱたかれた。地味にこれが一番辛い。
「…お前の腹の皮はエニュオの槍で軽く裂かれてる。派手に動くと何があるか分かんねぇぞ」
「い、一応薄皮で避けたから」
「人体の神秘について教えてやろうか?内臓の重さで皮が──」
「聞くだけで痛い…」
早朝、居間の椅子で地獄の四者面談だ。
目の前にカリオストロ、その横にゾーイ。俺の横にはノアさんが座っている。
あと一応真後ろにアテナさんが立ってる。座れと言っても聞かない。
重い空気の中ゾーイが口を開く。
「若者が1人、子供の気配が5人……何があったんだ」
…アテナさんがいる中で、どう話すべきか。
悩んでいるとカリオストロが代わりに答えてくれた。
「事情を無視して話す。依頼の後、そこのアテナと一緒にいた星晶獣のエニュオが街を壊し…駆け付けたオレ様とコーリス、もう一人の子供で対処した」
「エニュオ…コスモスの記憶には残っているが、別段覇空戦争時にその様な動きは……」
「単純に本性を隠していた。街を守る立場の奴が急に襲い始めたんだ。簡単に崩せる」
「私は…本当に間が悪かったのか」
確かに、ゾーイがいれば生存者はもう少し増えていたのかもしれない。
だが、その様な未来は訪れなかった。どうしようもない。
沈痛な表情で眉間を抑えるゾーイは、アテナに顔を向けた。
「…君とエニュオはどういう関係だったんだ」
「友として…覇空戦争終結から400年程共に生きていました」
「…………気づかなかったのか?」
ゾーイは極限まで言葉を考えたのだろう。
その結果、率直な疑問に帰結し…アテナさんにとって最も後悔を憶えさせたエニュオとの関係性について迫る。
「……はい」
アテナさんは震える口を噛み締めながら返答した。
ゾーイの口から反射的に吐息が漏れる。
「…何故だ」
「ゾーイ、やめろ」
その問答を諌めたのはカリオストロだ。
「お前は…オレ様が『錬金術の更なる進化の為にこの騎空団を利用していない』と言い切れるか?」
「だが君は」
「嘘付いてるかもしんねぇぞ」
「…」
「例えば、この騎空団が何事も無く100年続いた──そして、オレ様が裏切った。お前は直ぐに対処出来るのか?100年信じ合っていたのに?」
「………アテナ。すまなかった」
「…不意を許したのは事実。私が健在であればコーリス殿とカリオストロ殿が傷を負う事も、犠牲を許す事も無かったかもしれません…」
…これでは昨日と何も変わらないじゃないか。
アテナさんが後悔するだけの昨日と。
俺達はこれからどうするべきか考えなければならない。
団長として、先に言の葉を紡がなければ。
「…子供達はこの団にいる限り真の意味で戦禍から離れる事は叶わない」
「コーリス、それはつまり…皆を他の島に移住させるという事だね?」
「無論今すぐという訳ではありません」
精神状態を考慮すれば、今すぐ住処を変えるという選択は憚られる。今は全てを受け止める時間が必要だ。
子供達を見てくれたノアさんなら分かる筈だ。
「暫くは安全な島に艇を止め、二人が依頼を受け、もう二人が艇を守る形で行きます。アテナさんには子供達を直接守ってもらいたい」
「いえ、私が依頼に行きます!コーリス殿の手を煩わせてしまえば…!」
「子供達には貴女が必要なんです」
「っ…分かり、ました」
方針を決め、全員が頷くのを見て俺は腰を上げた。
その間、ノアさんが俺を見ていた。
「子供達にはコーリスも必要だと思うよ」
「…え?」
「僕は彼等の感情を見た。確かにアテナに向けられた感情は敬愛だったけど…コーリスは『先生』だったんだよね?」
「は、はい」
「子供達はアテナを神のように崇め、見上げていた。それと同時に彼等は君の背中を見ていたんだよ」
「……」
「少し、子供達と休んでおいで」
それは責任を追求する文言では無かった。
ノアさんは、ただゆっくりと過ごす時間を俺にくれたらしい。
それでいいのだろうか。ゾーイとカリオストロの顔を見る。
「というか、ゾーイも長い間一人で動いてたんだ。いっその事騎空団の活動を暫く休まねぇか?」
「私は動けるが」
「任せる側ってのもモヤモヤすんだ。大人しく全員で平穏に過ごそうや」
「珍しいな。君は許す限り時間を最大限に使う人間だろう」
「こう見えて左腕と腹が消し飛ばされたんだ。ちょっとくらい回復の時間をくれ」
「………よく生きていたな、二人とも」
カリオストロは気を遣ってくれた。
ゾーイも異論がある訳では無いようだし、貯蓄は結構ある。少し踏み切って休みを取ろうか。
「…ところで」
「どうしました?」
ずっと聞きたかった事なのだろうか、アテナさんがソワソワしながら俺の方を見てきた。
「ゾーイ殿は…どういった存在なのですか?」
「私か?」
「はい。圧倒的な力を感じましたが…星の力ですね。しかし、貴女ほどの星晶獣が覇空戦争で音沙汰が無いというのも奇妙な話」
「ふむ、私は君達の世代では無いからね」
「世代…?」
「私は覇空戦争時に生み出された獣ではないよ」
「……言っている意味が分かりません」
アテナさんからしてみれば確かにそうだ。
星晶獣はそもそも覇空戦争の為に作られた兵器。戦争終結時に星の民は空から撤退している。隠れて作られている訳でも無いだろうし、意味がわからない話ではある。
実際、俺もそうなったし。
でも、ゾーイは特別だ。
「私は1900年前に作られたんだ」
「は?」
「原初獣は知っているかな。遥か昔に作られた星晶獣なんだが、大半は世界を保つ為のシステムとして作られているんだ。私はその内の一体の分霊の様なものだ。本体ではないよ」
「げんしょ…じゅう」
「役割が果たせない可能性があるから詳しくは伏せさせてもらうが、存在はしている。会う事は無いが」
アテナさんはフリーズした。
千年単位のスケールは計り知れない。人間なんて百年生きれば凄いというレベルなのに。
………待てよ?カリオストロって何年だっけ?
「……カリオストロ」
「なんだよ」
「何年くらい生きてるんだ?」
「んーと、生まれたのは……あ、ゾーイの本体と一緒くらいだな。封印されてた年月も含めれば2000年くらいだろ」
「なんだお前」
全員が引いた。
──────────────────
「あ、せんせ」
「アルミスか」
一応甲板に損傷が無いか見に来るとアルミスが手すりによしかかって空を見下ろしていた。
「落ちるなよ」
「そんなヘマしないよ」
アルミスはあの戦いを経て、抜け殻の様になっていたらしい。
今日はかなり早めに寝て…何故か遅めに起きて、無言でパンを齧り、他の子ども達のように身を寄せ合う事もせず、ただ風を浴びているだけ。
ノアさんが言うには、あの出来事を思い起こさない様にしているのではないか、という事らしい。
──カリオストロは、遅く起きた理由は疲労だけでは無く、眠れなかったのではないか、とも言ったが。
俺は何となく船に寄りかかって座ったら、アルミスも徐ろに横に座って寄りかかってきた。
「眠いのか?」
「疲れたかな」
「……」
「思い出したら怖い夢を見ると思ったから、何も考えないで目を瞑ってたのに、眠れなかった」
虚ろに見える瞳は極限まで感情を煮詰めた結果の疲労。
思うがままに泣き叫び、暴れられるのならばどんなに楽か。そうなれば時間が解決してくれる事もある。
しかし、アルミスの様に己を律しようと努める者はいつか気をやってしまう。
きっと、あの弓を引いた感触が残っているのだろう。
彼女はゆっくりと口を開いた。
「赤ちゃんの時、私は山に捨てられた」
「…え?」
「家にいたのは、私を育ててくれたおじさんとおばさん」
死んじゃったけど、と呟いてから続きが始まる。
「山には魔物が沢山いて、私は多分…食べられて死んじゃう筈だった」
アルミスは右手で頭に触れた。
記憶を探る様に。
「赤ちゃんだったけど、その時だけ記憶があるの」
「珍しいと聞くが…」
「信じないから、誰にも言ってないよ」
「…」
そう言いながらも、過去を語るアルミスは先程と打って変わって口角が上がっていた。
…笑い慣れていない人間の顔だった。
「見えたのは鳥と、羽が生えた羊と…狼みたいな犬。雲みたいに大きくて、目の前の魔物達を倒してくれた」
「魔物が魔物を倒したのか…?」
「ううん、実際に雲だったのかな。動物はすぐに消えて、最後の魔物には金色の矢が飛んできた」
狩人が彼女を助けたのだろうか。
しかし…雲状の獣が気になる。人間の魔法には幻を見せるものはあるが、実際に魔物を退けたのなら奇妙なものだ。
「次に見えたのは女の人」
「どんな人だった?」
「オレンジ色の髪で…エニュオ様みたいにヘアバンドをつけてた」
アテナさん…では無いのか。
アルミスが生まれたばかりの時は二人は街にいない筈だ。通りかかった旅人だろうか。
「その人の事、他に覚えてるか?」
「その時は言葉も分からなかったし、間違ってるかも」
「それでもいい。聞かせてくれ」
「うん」
アルミスは言葉を思い出す様にゆっくりと紡いだ。
「『この月夜はあなたを見捨てたのですね』」
「『山の冷気はあなたの生きる力を奪いました』」
「『私の力と名の一部を与えましょう』」
「『あなたは私の
「『いい子ですね、アルミス』」
…そういう事か。
合点がいったというか、納得した。
「…何か分かったの?」
「いや、アルミスはいい子だなと」
「からかってる?」
「いや」
「嘘ついたらやだよ」
優れた弓術、アルミスという名前。それ等がその人物によって授かった物だとすれば──
「貰った物を、無駄にしなかったからな」
「?」
──星晶獣アルテミス。
金色の弓を持った、"狩猟の女神"と称される星晶獣だ。
弓は一撃必中、図鑑にはあらゆる生物を射殺すという記載がある。
アルミスは冷たい山の空気で衰弱し、筋力も魔力も弱った状態で放置されていた。
そこでアルテミスが力を与え、名を付けて街に返したのだろう。最低限の身体と、狩りの技術を──生きる為に。
「アテナ様と一緒で私を助けてくれた女神様」
「そうか…」
アルミスは自身の膝に顔を埋めて呟いた。
「………エニュオさまも、そうだった」
「…そうだな」
アルミスと一番関わりがあったのはエニュオだ。
彼女が自信を持つきっかけとなった弓術。アテナさんが見つけていれば咎めただろうが、エニュオは黙認した。
わざと射撃を失敗する事で彼女を元気づけた事もあった。
…あれは気まぐれだったのか。それともエニュオの素の性格がそうさせたのか。今となっては聞くことも無意味だろう。
彼女は間違い無くアルミスを人質にカリオストロを攻撃したのだ。情を刺激したかっただけかもしれない。
「アルミス」
「なに?」
「落ち着いたら、他の島に住む事になるかもしれない。それでもいいか?」
「………それ以外、どうするの?」
返ってきた言葉は予想以上に尖っていた。
「…あ、ごめんなさいっ…そんなつもりじゃ」
「いや、言ってる事は正しい」
「……他の子に聞いたの?」
「まだ」
「アマルさんにも?」
「まだだ」
アマルさんは生存者で最年長にして唯一の成人。
彼はアテナさんとも顔を合わせていない。どう接すればいいのか分からないのだ。
大人だからこそ混じった感情を持つもの。エニュオを連れてきたアテナさんを憎む心が無い訳ではない。
恐らく最も時間が必要な人間だろう。
「…なんで、私に?」
…なんでだろう。確定事項な筈なのに。自分の決定が正しいのか確かめたかったのだろうか。
アルミスに聞いて?なんか情けない。
それを察したのか、アルミスはくすりと笑う。
「ふふ、へたれだね」
「アテナさんにチクるぞ」
「ひゃー」
わざとらしく声を上げるアルミスに少し安堵しながら、俺は立ち上がった。
同じく彼女も立ち上がる。
「私達は、大丈夫だよ」
「…本当か?」
「でも、一つだけ…嫌だ」
「嫌…?」
アルミスは俺の目を見た。
「アテナ様、私達の目を見てくれないよ」
「………………」
「なんで、助けてくれたのに、来てくれなきゃ皆死んでたのに……謝るんだろう」
「それは…」
「私達は分からなくて…アテナ様にしがみついて泣いちゃった」
それはきっと、理解されない罪悪感なのだろう。
「アテナ様が私達のせいで悲しんじゃうなら一緒にいない方がいいよ………」
否定はできなかった。
寧ろアテナさんが子供達から離れる可能性が高いからだ。子供達を自立するまで育てれば、きっと彼女は独りで何処かに行くだろう。
俺は言葉を返せなかった。
なんでだ、エニュオ。
何故アテナさんと共に旅をしていた。
何故破壊衝動がありながら街の人を救った。
何故我慢できた。
何故人を愛せた。
なんで……悲しんで死んだ。
「…ひどい話だ」
リュミエールの空戦と変わらないじゃないか。
そして、呪われたアテナさんが死ぬ事は無い。
これは彼女にとっての──
ゾーイ
・ただいま。
アルテミス
・古戦場にいます。
・ボイスを聞いたらビックリする性格。
アルミス
・ギリシャ系星晶獣と縁がある少女。
・案外コーリスを舐めている。