幽々の空、灰暮れに   作:魔愛暴導富

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87.韋駄天

 

 

「ごめんゾーイ。何も買って帰れそうにない」

 

「………ない」

 

「ゾーイ……?大丈夫か?」

 

「…すまない」

 

「…本当にどうしたんだ?」

 

「………………」

 

「……帰ろう。取り敢えず、な」

 

 

 『私さえいなければ』と言えればどんなに潔かったか。

 君との旅を否定したくなかった私のエゴだ。

 

 だが、調停者にエゴは要らない。

 君がきちんと胸を張って生きられる様になれば、その時は。

 

 

「君から奪った時間を返すよ」

 

 

 『ゾーイ』の役割も終わり。

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

───フロンティア号、居間にて。

 

 

「こうか?」

 

「足取りが少し軽いですね……」

 

「コツが分からんな。掴めれば一瞬な気がするんだが」

 

「私もそう思います。不器用とは程遠い身体使いです」

 

 

 カリオストロが部屋に入れていた筈のヴァジュラを居間に引っ張り出して30分が経過し、早くも舞に必要な動きを覚えて実践している最中。

 冷酷に扱っていた筈のわがまま開祖が彼女を引っ張り出してきた事にノアは面食らったが、その扱いによって余計な緊張が解れたのか、彼女はコーリスに対しての想いと蛮行に至った経緯を懇切丁寧に説明し、誠心誠意謝意を述べた事で許しを得た。

 

 そしてノアが見守る中、カリオストロは行き詰まった部分を解消するべく頻繁に質問していた。

 ヴァジュラ曰く、彼の動きは機敏で柔らかく結構な様だ。しかし、舞に合致する動きとは呼べず、意識の問題で動きがイメージ出来ないのではないかと考えた。

 

 

「もしかして、神将流のダンスと捉えていますか?」

 

「違うのか?」

 

「これは祈りの積み重ねと言えます。お金持ちの方々が行うダンスの様に、音楽に合わせて所作を繰り返すものでは無く、自身の心を自然に捧げる為の儀式と捉えるべきかと」

 

「儀式か。つまり娯楽の要素は1ミリも無いと」

 

「舞によって身を清め、舞によって自然に身を捧げ、舞によって神を降ろし、神が宿った肉体で調和を齎す。これが巫女舞の始まりだと言われています」

 

「変わった文化だな。空や星が信仰するのとは違う独自の"神"を作り上げたか」

 

「と言っても、神の意思をみだりに代行すべきでないと、ある時を境に祈りのみに焦点が当たった様です。今では文化的な価値も充分に主張されていると思いますよ」

 

「なる程な。となるとオレ様に真摯な心が無ければ習得は厳しいかのか?」

 

「少なくとも効率は悪くなりますね。そちらの文化の癖を抜いて、舞の動きを完全に模倣するよりも、認識を変えて舞に専念する方が心が入り込みやすいのです」

 

「困ったな…巫女風オンリーだとオレ様の理想とは離れるんだが」

 

 

 真面目なものだと、ノアは感心した。

 未知の要素に釘付けになるのはいつもの事だが、知識の豊富さ故に自己解決した光景しか見てこなかった為、他人から学んでいる彼は貴重だ。

 そしてかなり真面目な生徒なようで、自身が知り得ぬ事象を知った気にならず、理解をヴァジュラの解答に委ねている。知識に対して極めて誠実な人間と言えるだろう。

 しかしカリオストロは全ての人間から崇拝レベルで"カワイイ"と認められたい。その為には巫女の様に静謐なイメージだけでは困るのだ。あらゆる要素で無敵の愛らしさを持つのが最強美少女錬金術師。

 唸る開祖を尻目に、ノアは艇の反応を感じ取った。

 

 

「ただい………ま?」

 

 

 そこで姿を表したのはコーリスとゾーイ。

 何やら片方が酷く落ち込んで──いや、両方だろうか。尋常ならざる雰囲気にノアは心配を隠せなかった。同じくそれを感じ取ったカリオストロは舞を止め、ヴァジュラは反省を見せない自分の過失では無いかと勘違いし、ビクリと震えた。

 

 

「楽しそうだな」

 

 

 カリオストロを見て、コーリスが優しく笑った。その柔らかい口調がヴァジュラの勘違いを更に加速させ、手の痙攣が凄まじいものとなったので、ノアがフォローに回る。

 その途中でゾーイは無言で部屋に戻っていった。

 

 

「彼女は誠心誠意謝ったから許したよ。やっぱり、コーリスもちゃんと話すべきだったね」

 

「…ヴァジュラ、本当に申し訳無い。お前の怒りを顧みず、軽い気持ちで向き合ってしまった」

 

「わ、私も身勝手な行為でコーリス様のお仲間を危険な目に合わせてしまい、大変申し訳ありません…」

 

 

 細かい話は後で必要となるだろうが、軽く和解を済ませた所で、ノアは切り出した。

 

 

「それで、ガロンゾはどうだったの?」

 

「問題なく。新たに契約を結ぶ事も無く、ガロンゾに対しては祈望の騎空団として無事に活動を続けられます」

 

「…その後に何かあった?」

 

「フィラと話しました」

 

「………そう。お茶でも飲む?」

 

「いただきます」

 

 

 委細を察したノアは、深くは聞くまいと茶の準備を始めた。

 コーリスはその気遣いに感謝し、鎧を脱ぎつつ椅子に座り、先程踊っていた開祖を見たが、カリオストロも神妙な眼差しで彼を見つめ、ため息をついてから茶を頼み正面に座った。

 一連の流れについていけないヴァジュラは、カリオストロに手で促されたので横に慌てて座り、忙しなくゾーイが去った方角を見ていた。

 カリオストロが静寂を破った。

 

 

「繋がりは邪険にするもんじゃねぇぞ。捨てたとしても、絶対に忘れるな」

 

 

 それは珍しく厳しい口調で、コーリスは深く頷く事しか出来なかった。

 茶を4人分、余分にもう1人分用意し終えたノアはもう一つの問題に踏み込んだ。

 

 

「ゾーイには何が?」

 

「…分かりません」

 

「分からないってお前」

 

「フィラとの会話の途中、ゾーイは少し離れてたが、誰かと話した訳でも無いらしい。理由を聞いても謝るだけだった」

 

 

 口を閉ざしたゾーイの事を聞いたカリオストロとノアは、深刻な表情はそのままに、予想外の事態だと目を動かした。

 

 

「……黒騎士になって最初に瓦解するのが仲間との関係だなんて冗談じゃねぇ。綻びがゾーイなのが意外だが」

 

「ヴァジュラを犬神宮に届けたら、話し合う機会が必要だね」

 

「前途多難…」

 

 

 心底疲労が溜まっている様に見えるコーリスは、積まれていたバゲットを片手に取ってかぶりついた。

 『似たもの同士め』とカリオストロが鼻で笑い、ヴァジュラは喜びの感情がバレない様にこっそりと口角を上げた。

 

 

「それで、カリオストロとヴァジュラは何を?」

 

「カリオストロ様に頼まれ、舞を教えていました」

 

「舞…?何の為に」

 

「カワイさの為」

 

「え?」

 

 

 断言したカリオストロに、ヴァジュラはとんでも無い表情を見せた。

 

 

「ヴァジュラの反応的に何かすれ違っている様に思えるが」

 

「い、いや。カリオストロ様は博識のようなので、私達の文化を学ぶ為に触れたのだと思ったのですが」

 

「興味は1割。オレ様が踊る事で更に魅力が増す可能性に期待したのが9割だ」

 

「可愛さ……?私達が生まれた時から打ち込んだ、由緒正しき清廉な舞を………カワイサ?」

 

「ごめんなヴァジュラ。カリオストロはこういう奴で…何方かというと興味を持たせた時点で凄いというか」

 

「ま、つまらなくは無かったよ」

 

「言い方が悪いよ………いや内容もだね」

 

 

 フリーズした神将を気の毒に思ったノアがカリオストロに釘を刺した。

 勿論カリオストロに悪気はない。元より自身のカワイさにしか興味の無い男が、舞という文化にある種の価値を認め、触れたのだから、それはかなりの高評価なのだ。錬金術という歴史を作った人間の価値観を常人のものと思ってはいけない。

 

 

「個人的にカリオストロに舞が似合うとは思わないな。素の状態は勿論、美少女ぶってる時に踊っても雰囲気が変わりすぎて」

 

「分かってないな。そのギャップが魅力になるんだろうが。想像しろよ…周りを振り回すお転婆娘がピアノを弾く時だけ技術を極めた職人の様な表情になる瞬間を。努力家の側面、才女の側面、譲れない技の側面──どれもが人を際立たせる」

 

「可愛いさについてはあまり分からないけど。そういう努力家な所は尊敬する」

 

「それでいい。凡才はどの時代も口を開けて光を見るもんだ」

 

「…やっぱり悪辣で尊敬できない」

 

 

 カリオストロは信頼しても心を許すには怖いと、コーリスは再確認したのだった。

 

 

 

───────────────────

 

 

 

──犬神宮。

 フロンティア号が島に接近した時点で巫女や見習いの剣士達がこぞって入り口に押し寄せてきたのが見えたので、コーリスは急いでヴァジュラと共に降りる準備をした。

 

 

「コーリス殿、ご無事で!」

 

「壮健でなによりです黒騎士殿」

 

「ヴァジュラ様がご迷惑をおかけしました…!」

 

「止められなかった私達の無力さをどうかお許しください!」

 

 

 予想外というべきか、コーリスが受けたのは数多の謝罪だ。

 横に立つヴァジュラは頬をひくつかせて彼を見るが、どういう返答をすべきか分からない。彼女がやった事を正直に言うべきか、大事に至らなかったと誤魔化すべきか。後者の場合ヴァジュラの精神は恥に耐えきれないだろう。

 決断は早かった。

 

 

「このワンちゃんね?凄い怖い顔してカリオストロ達の艇を襲ったの……本当に危なくて、空の底に落ちちゃうかもって所で、団長さんが抑えてくれたんだぁ」

 

「おま」

 

 

 カリオストロの口の方が早かった。

 

 

「グハァッッッッッッッ!!!!!」

 

 

 神将は鳩尾を殴打されたかの様に苦しみ、従者達はそれに駆け寄るよりも先に、より一層の謝意を見せた。

 ヴァジュラの扱いに寧ろコーリスが文句を言いたかったぐらいだが、ついでに付いてきた開祖のやらかしが想定以上なので先にそちらを黙らせに行った。

 

 

「カリオストロ」

 

「ゆるして…?悪気はないの」

 

「……分かった。実験部屋を物置にします。あのやたら高かった化粧品とか上品な匂いの香水とかその他諸々没収します。もう言い訳も聞きません。覚悟しろよ」

 

「事実を言っただけで罰を受けるなんて…この世界はなんて理不尽なんだろうね………カワイイのは罪なのかなぁ……?」

 

「嘘で救われる人間の方が多い」

 

「…くは、違いねぇな」

 

「ちなみに冗談抜きで全部没収するからな」

 

「別にぃー?そこら辺にいるおじさんに買ってもらうもーん」

 

 

 そう言いつつも現在使っている彼の化粧品は自費だ。ある依頼の達成に一役買ったカリオストロに対し、他の団員が自由に報酬金を使っていいと譲った時に購入したもの。

 流石に他人に貢がせるのは気が引けるのか、彼は冗談以外でその様な行動を取ったことが無かった。

 

 

(ま、ケチな団長の機嫌は後で適当に取るとして……ゾーイも塞ぎ込んでるし、オレ様が神将とやらの立場を知っとかねぇとな)

 

 

 カリオストロが付いてきた理由はゾーイの代わりである。

 犬神宮において、多少顔見知りである彼女がいつもの様にコーリスに同行した方がスムーズに事が進む筈なのだが、現在何かしらの事情で沈黙している。その代わりに彼が黒騎士の仲間として側にいる必要があった。

 そもそも何故同行したのかと言うと、十二神将が七曜の騎士に対しどの様な立場で相対するのかを知る必要があるからだ。ヴァジュラに貸しがあるこの状況を利用しない手はなく、取引が最も得意な彼がコーリスの横で場を回す狙いがあったのだ。

 逆に普段ゾーイが同行する事に不安が無いと言えば嘘になるが、調停者の持つ力が無意識に敵を威圧するらしく、どんな取引もこちらが有利になる事が多いので、カリオストロはそれもアリだと見過ごしていた。

 

 

(全員が犬娘みたいに馬鹿なら助かるんだが……頭の良い奴──いや、強くて頭が良くて…かつリーダー気質だな。いたら面倒だ。そいつの声で全体の動きが決まっちまう)

 

 

「行くよ!お相手さんのミスは早い内に利用しないとねっ☆」

 

「……」

 

「心が痛む?」

 

「アウライ・グランデの時点で立ち回りをきちんと考えておくべきだったと後悔してる」

 

「そうだね〜。考えなしでは無かったけど、"きちんと考えた"とは言えない結果になったかも……」

 

「こういうのって、経験しなきゃ上手く立ち回れたりしないのか?」

 

「うーん…どんなにリスクを減らしても、相手が余程のおバカさんか、同じ思考レベルかつ敵対関係だったりでもすれば、水の泡かもね?カリオストロ達が出来るのは、自分のミスを減らす事から☆」

 

「人事を尽くして、余裕があるのなら相手の思考から想定できる結果を数パターンを考えるとか?」

 

「他人なんだから、どんなに考えても100%は無いんだよ?相手を望んだ方向へ動かす為の行動も大事!」

 

「"善い人"ではいられないか」

 

「悪い事かな。実際、自分意外の思考なんて分からないんだからさ、現実に向き合ってるだけじゃない?」

 

「そう考えてみよう」

 

 

 ヴァジュラの従者を無視して、二人は本殿への階段を登り始めた。慌てて着いてくる彼等は、二人が余程憤っていると察し、無駄な会話を避け、横に並ばぬよう適切な距離を保って追従した。

 案内役としてヴァジュラだけが先頭に立っている。彼女は既にカリオストロの性格を何となく把握していた為、先程の詰りよりも、実際に自身が引き起こした行動を思い出す方が苦しかった。

 

 彼女の父親は家主であり、例え神将であっても客室を開けるには相応の作法が問われる。

 重々しく正座の体制に移行し、自身の名を告げた後、コーリス達が訪れた事を伝えた。

 

 

「入りなさい」

 

 

 常時よりも鋭く放たれた言葉。犬神宮の剣技ではないが、刀の扱い方に誰よりも熟練していた父。

 これは、殺しを教える時と同じ声だ。ヴァジュラは固唾を呑んで、襖を開いた。

 

 

「十二神将ヴァジュラ、ただいま帰りまし──」

 

「帰ったか。馬鹿娘」

 

 

 ヴァジュラは声を途切れさせた。

 本来いるはずなのは怒りの父だけだ。その毅然とした佇まいで座っていたのは。

 

 

「お邪魔してお茶もご馳走になってます。同じく十二神将のサンチラです」

 

 

 目を細め、呆れた様にヴァジュラを見る同僚。

──午神宮(うまじんぐう)の神将、サンチラであった。

 

 

「え、サンチラか」

 

「何だ?知り合い?」

 

「聖騎士時代に知り合ったから、初めて交流した神将だ」

 

 

 黒騎士の無骨な鎧から軽い声が出たので、カリオストロも素になってつい聞いてしまった。

 サンチラはコーリスの友。リュミエール聖騎士団に所属していた時に、たまたま派遣要請を受けたのがコーリスだった事から交流が始まった──と言っても、大晦日の日に急遽要請が来て、即座に応じたのが当時15歳の彼だけだった為、必然的にそうなったのだろう。年の締めに他の島から要請が来る事など滅多になかったのだ。

 内容は純粋に島の防衛。戦士に限って人手不足だった午神宮では、参詣の準備をする神将以外に魔物の対応が出来ない為、外部の騎士を雇って守らせたのだ。勿論もしもの為の要請なので、魔物は来ず、コーリスは見張りの様な感覚で立っていた。

 急な要請だったのは、サンチラを除いて唯一の戦士だった巫女が病にかかり、戦うことが出来なかったからだ。その理由もあって、コーリスは深く感謝され、彼女と友となった。

 

 絞られた馬の耳を模した髪飾りが角のように目立ち、真っ直ぐな銀色の長髪が尾の様に揺れている。

 ヴァジュラの様にひらりとした巫女服ではあるが、手足に銀色の装甲のような物が見られ、軽やかな騎士にも映る。その背後には弓と軽槍が立てかけられており、どれも絢爛な装飾が施されている。

 

 堅苦しい要素を持った神将ではあるが、その態度は紛れもなく軽薄なものだった。

 

 

「怖い鎧貰ったなコー。ちなみに偶然じゃなくてアタシが会いに来たんだ」

 

「ここに来ると分かったのか」

 

「七曜との諍いについてはヴァジュから詳細は聞いた。流れ的に犬神宮に来るだろうと思ってさ、コイツを止める事も含めて来たつもりだったんだが………」

 

「さ、サンチラ様…」

 

「いや、はえーよ。バジュより我慢出来なくて流石のアタシも驚いた。インとアンは滅茶苦茶キレてたし、メキとかドン引きしてたぞ」

 

 

 彼女には名前を省略して呼ぶ癖がある。

 ちなみに、『イン』は巳の神将インドラで、『アン』は申の神将アンテラ、『メキ』は酉の神将メキラである。彼女等は神将の中でも規律に厳しいタイプなので、ヴァジュラの行動に頭を抱えたようだ。

 

 

「ま、積もる話は後で──」

 

「……………」

 

「や、やっぱ今やります?ヴァジュの父ちゃん」

 

「言いたい事は山ほど…星の数ほどあるが。サンチラちゃんの目的も重要な事だ。コーリス君との話を先に済ませるといい。コーリス君、馬鹿娘には目もくれなくて結構。万が一甘える様な事があれば尻を叩いても構わんよ」

 

「はは……」

 

(ヴァジュのネチネチ感ってちょっと父ちゃんから受け継いでるよな……)

 

 

 サンチラは頭を掻き、立ち上がってコーリスに向かい合った。

 

 

「コー」

 

「依頼か?」

 

「そう。悪いけど面倒事だ」

 

「構わない。そういう騎空団だし、たったの2回目だ」

 

「ありがとな。そこの美少女も良いか?」

 

「うーん……本当はしたい事もあるんだけどね?団長さんのお友達だから特別!カリオストロがサービスしちゃうよっ!」

 

「おー良い子だなー。何処から拾って来た?」

 

「遺跡から」

 

「まあ遺跡には宝が眠ってるもんだしな」

 

(こいつ100点)

 

 

 カリオストロは無言でサムズアップを繰り返した。

 

 

「切実な問題でな。猫の手も借りたいくらいで」

 

「ああ、サンチラの神宮戦闘要員が少ないからな。日程さえ確認出来れば全然行くけど」

 

「それはもういい」

 

「もういいのか」

 

「諦めたから荒事は全部アタシがやった」

 

「……無理はするなよ」

 

「無理したんだよ。その上で依頼したいのがな…」

 

 

 サンチラも十二神将の中では戦闘に秀でた方で、犬神宮の神将が戦闘に特化している事から"闘神"と呼ばれる様に、彼女にも体を表す異名が存在する。

 

 圧倒的な俊足。圧倒的な投擲速度。圧倒的な射撃速度。圧倒的な解決速度。

 これ等を統括して──

 

 

「韋駄天と呼ばれたこのサンチラ。後継者がいない」

 

 

 そしてその異名。早くも廃れようとしていた。

 

 

 

 






サンチラ
・コーリスと出会った4年前──15歳の時から神将。友達なのに会ったのが10回にも満たない。
・種族は不明。体型からヒューマンかエルーンに絞れるが、角みたいに付けた髪飾りで混乱させられる。普通のエルーンの耳なら髪飾りからはみ出てる筈なので、ヒューマンか、神将特有の特殊な耳や尻尾といった要素があるとの噂。コーリスは種族を本人に聞いたこともない。
・髪は銀色で、太腿辺りまで長く伸ばしている。走った時に馬の尻尾の様に見えるのが本人的に嬉しいらしい。
・コーリスと同じ19歳。二人ともあとほんの少しで20歳。


カリオストロ
・封印時を除けば周りの死を見てきた人間で、その僅かな繋がりを無駄にしなかった経験があるので、コーリスの立ち回りに何か思う所があるのかもしれない。それはそれとして黒騎士になるという話も急だったから、そこには同情してるし、彼が悪い事をしたとは微塵も思っていない。
 




ゾーイ
・これ以上ゾーイでいられるのか?


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