それではどうぞ
例のコウモリと同時に敵は引いたようだった。
取り敢えず一安心しつつ避難所へ戻ることにする。
一応氷川さんにはトイレと告げて飛び出した手前、戻らないと辻褄が合わないからだ。
避難所へ戻ると、氷川さんが鬼の形相で仁王立ちしていた。
「わりーな… トイレ長引いちまった…」
「はぁ…そういうことでしたか…」
鬼の形相だった氷川さんの表情が解ける。
取り敢えずカミナリは免れたようで命拾いした。
「心配かけてすまないな。 ヤツらも引いたとは言え気は抜けない。 送ってくよ。」
「ええ… お願いします。」
そうして俺達は氷川さんの案内で氷川さんの家へ歩いていく。
そこで交わすのは他愛のない会話。
「そういやこういう時って学校どうなんのかな?」
「校舎が無事なら授業はありそうですが…」
「お、そろそろ着く…ぞ?」
俺は目を疑った。
氷川家が半壊していたのだ。
「え……… お父さん!? お母さん!?」
氷川さんが家の中に駆け込む。
俺も付いていくとそこには目を疑う光景があった。
そう…
氷川さんの両親が倒れて居たのだ。
どうやら生命にまでは至ってないようだが、かなり危険だ。
「いや… いやぁぁぁぁぁぁ!」
氷川さんが泣き叫ぶ。
「氷川さん…」
俺は氷川さんにかける言葉を探していた。
しかし中々見つからない。
するとどこからか声がする。
「そろそろ潮時か…」
悪い予感のした俺は一目散に氷川さんを連れてここを離れた。
「ふっ… 流石に素晴らしい反応速度だな」
「例のコウモリか、何しに来た。」
俺は冷たい声で問いかける。
「フッ…まずは君達に面白いモノを見せてあげよう。」
コウモリはそう言うとパイプのような物を取り出し、虫の息である氷川さんの
両親に吹き付ける。
するとそれはスマッシュに変貌する。
「彼らは虫の息だ… 倒せば彼らは死ぬ。 さぁ?どうする?」
チッ…
俺は舌打ちをするが、状況は好転する訳でもない。
「そんな… お父さんとお母さんが…怪物に…」
そんな氷川さんを連れて今は逃げるしかない。
スマッシュにされた人間は自我を失うのだから。
「氷川さん、しっかりして! 今は生きるんだ!」
「でも、でも…」
「きっと何とかなるよ」
今の俺に掛けられる言葉はこれだけだ。
なんて切ないのだろう…
「でも両親は…」
そうしてる間にもスマッシュとコウモリに追いつかれる。
そしてスマッシュが氷川さんに襲いかかる。
それを俺は庇う。
グッ… 鈍い痛みが俺を襲う。
痛みで意識が揺らぐ中、俺はコウモリに問いかける。
「お前の目的はなんだ!」
「氷川紗夜、貴様は優秀な実験体だ。 この状況でお前がコイツの両親をやれば、怒りでハザードレベルが上がり更に優秀な実験体になる!」
「貴様ぁぁぁぁ!」
俺は激昴する。
「おっと? いいのか? そのスマッシュはそいつの両親だ。 他人の親を殺せるのか?」
「クソがっ!」
「両親は…もう助からないんですか… 」
「残念ながら。 氷川さん、俺は君を悲しませてしまう。 憎んでくれ。」
「何を? 兎塚さん?」
「氷川さん、下がってて。」
「コウモリ!貴様だけは絶対に許さない!」
そう言うと俺はビルドドライバーを腰に巻く。
《Rabbit!》 《Tank!》 《Best match!》
《Are you ready?》覚悟はいいか?
「変身!」 出来てるよ。
《鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イエエエエエイ!》
「うわああああああ!」
感情のままにスマッシュに殴り掛かる。
そこにコウモリも乱入してきた。
「貴様! うおおおおぉ!」
コウモリを狙った一撃はスマッシュに阻まれる。
「クソッタレがぁ!」
俺はドリルクラッシャーを取り出し、そこに先程入手したダイヤモンドボトルを装填する。
《Ready go!》 《Voltec break!》
ダイヤモンドの粒子を纏った堅牢なドリルクラッシャーの一撃はスマッシュを戦闘不能へと追い込む。
すぐさま俺はボトルを向け成分を回収。
ガトリングフルボトルを入手した。
そのままドリルクラッシャーをガンモードに変えて、今度はガトリングボトルを装填する。
そしてもう一体のスマッシュを戦闘不能にし、成分を回収。
そこにはコミックフルボトルが握られていた。
「ほう…怒りでハザードレベルが上がったか…」
コウモリが呟く。
「だまれぇぇぇえ!」
そう言うと忍者フルボトルを俺は取り出し、振る。
「さあ、大サビと行こうじゃねぇか」
《Ninja!》 《Comic!》 《Best match!》
《Are you ready?》
「ビルドアップ!」
《忍びのエンタテイナー! ニンニンコミック! イエエイ》
ビルドは新たなフォーム、ニンニンコミックへと変身を遂げる。
忍者と漫画、二つの力を合わせた形態だ。
そのまま武器、「4コマ忍法刀」を取り出し、コウモリに切りかかる。
コウモリも先のパイプに付いた刃で応戦してくる。
激しい剣戟が繰り広げられた。
「貴様! 人の生命はオモチャじゃないんだぞ!」
「これも我々の高き理想のためだ…」
「だったらなんだってんだよ… 犠牲者が出てもいいのかよ! ふざけんな!俺が許さねぇ!」
《火遁の術!》
4コマ忍法刀は火を帯びた。
そのままコウモリを滅多切りにする。
《分身の術!》
今度はビルドが分身し、続け様にコウモリに襲いかかる。
そしてコウモリには大ダメージを与えた。
「これで終わりだぁ!」
《Ready go!》 《Voltec Finish!》
そのまま分身したビルドが、炎や風などを続け様に浴びせかけ、コウモリの変身を解除した。
しかし、更に仮面をしていたので顔は分からなかった。
俺は地団駄を踏む。
そんなことよりも氷川さんだ。
「お父さん… お母さん… いや…いやよ…」
氷川さんの祈りも虚しく氷川さんの両親は消滅してしまう。
「俺が… やったんだ。 それじゃあ」
そう言って俺は氷川さんを置いて去る。 最低だ。
どうせ助からないなら俺を憎んでくれればいい、そして俺は罪を背負い、仮面を付けて戦うのだ。
愛と平和の為に。
いかがでしたでしょうか?
感想等お待ちしております。