小学生の商人 作:黒猫
シリカと別れた俺はトボトボと歩いていた。
やっぱ9000人を超えるプレイヤーがいるとはいえ昨日の出来事があっただろうか?昨日とは違ってNPCしかいない。
「……やっぱこれが現実なんだろうな。」
人通りが少ない中で俺はどれだけ稼げるかため息を吐く。一応メインのものを入れていても正直売れるかどうかは分からない。
とりあえず今は朝5時28分はとりあえずプレイヤーが一番通る小さな広場に木の板を置き露天販売の準備をはじめる
よし準備完了
俺はそしてポーションと、姉貴に渡すはずだったアニマルブレードを3000コルの値段をつける。
売れるかどうかは分からないがとりあえず息を一度吐きそしてもう一度吸うと
「ただいまより低級ポーションのプレイヤー販売を始めます。今は一本限りのアニールブレードを販売しますのでもしよければみていってください。」
そして大きな声をだし宣言する。これでもう後にはひけない
すると俺が声をあげた瞬間一人のプレイヤーが俺の方に集まってくる。
「ポーション売っているんだにゃ?一個いくらなのにゃ?」
するとフードを被った声の高い人が話しかけてくる
「はい。一つ150コルです。」
「……にゃ?」
するとフードを被った人が絶句している
「150コル?確かNPCショップで200コルじゃにゃかったのにゃ?」
「は、はい。自作ポーションなので。材料さえあればいつでも作れるんでこの値段なんですけど。プレイヤーショップが分からなくてとりあえずこの値段で売ってみようと思ったんですが。」
「あぁなるほどな。初めての職人プレイヤーってことなのにゃ?」
職人プレイヤー?なんか聞きなれない
「販売分は200個ほどはあります。元々片手剣スキル持っていたんですけど少しオンラインゲームが初めてなので。ちょっと情報交換しながら生活費を稼がないといけないので。」
「……ん?ちょっと待つにゃ、今オンラインゲーム初めてって言っていにゃかったか?」
「ちょっと姉貴がβ版の参加者だったんですけど、姉に用事があってナーヴギアをつけることになってしまったんですよ。ちょっと巻き込まれて。」
「ちょ、リアルの話はしたらダメにゃ。オンラインゲームのマナーなのにゃ。」
「……そうなんですか?」
俺シリカに結構話しちゃったんだけど。
てか、話し方めっちゃくせあるし突っ込みたいんだけど、この人もしかして噂で聞くロールプレイング勢か
「そういえばポーション作るのにいくらくらいかかったのにゃ?」
「一応ポーションは60コルあれば最低一つは作れますけど、簡易ポーション作成キットは1000コルなので結構一通りの3000コルくらいあれば普通に一週間ほどの生活費は手に入ると思いますよ。」
「……にゃ〜それは魅力的にゃけど、でも今日は人はこにゃいんじゃ。」
「いえ。多分βテスターそれかレベリングしに行く人は絶対にいます。MMOでは知りませんけど基本最初にレベルを上げて置かないと後々きつくなるのがRPGです。それがデスゲームなら尚更アクションを起こす人はいると思いますし逆に稼ぎどきですよ。だって商売相手がいなくて一番売り時のアイテムなんですから。」
商売相手がいなければその分有利にはたらく。そしてそれが他の店よりも安ければ尚更だ。
「……にゃはは。やっぱあんたいい性格しているよ。」
するとそのプレイヤーがフードを外すと俺は目を見開く
というのも俺もみたことがあり、そして普通ならここにいるはずもない有名歌手がそこに立っていた
大沢夏帆
小学生ながら歌手として大成功を治めていた人の一人で、綺麗な声が特徴的だった。まぁ、俺はあまり音楽番組は見ないのだが俺の好きな野球選手の登場曲がこの少女が歌っている曲だったので知っている
なるほどフードを被って声を高くしていたのか
「お前も年齢破って入ったのか?」」
「あら?態度変えないの?」
「別に変える必要はないだろ?お客と店主。まぁ、冷やかしってことが分かったからため口で行かせてもらうぞ。」
「いえ。さすがに悪いから少し買うわ。10個頂戴。」
「あいよ。1500コルな。」
俺はトレードウインドウを操作してポーションを10個そして相手の要求に1500コルを申し込むと承認ボタンが押されると
「おい。もしかして商売しているのか?」
「へぇ〜もうプレイヤーショップやっているんだ。」
すると続々と集まってきている
「あっ。はい。一応ポーション一つ150コル、アニールブレードを一つしかないですが3000コルで販売しています。」
「おっ、それじゃあ一人20本ずつもらえないか?」
「20本ですか?それならお一人様3000コルになります。」
「私たちの分もあるのかしら。」
「200本作ってきたので大丈夫ですよ。それじゃあお一人様ずつお願いします。」
俺はトレードウインドウを開き操作する
4人に同じように送る。
「それとこのゲームのポーションは飲んでから5分しないと回復しないようになっているので気をつけてください。」
「「「「5分?」」」」
「はい。多分結晶系アイテムの影響だと思います。即時回復できる代わりに体力依存の回復量を持っているらしいです。」
「あぁ、なるほどね。」
「今の所はポーションの方が回復量が多いからそっちが主流になりそうだけどな。」
「それと薬草ハーブは一つ10コルと綺麗な水は15コル小さな瓶は5コルで買取しますんで。ドロップしたら持ってきてくれると助かります。一応NPCショップよりも高く買取ますので。」
「えっ?いいのか?」
「一応昨日試しに売価みたら相場の4分の1くらいでさすがに安すぎるんで。それにそれでも半額なんですよ。NPCショップで買うよりも。」
「まぁ、この街に戻ることになれば、売りに来るよ。それじゃあ坊主頑張れよ。」
「はい。ありがとうございました。」
俺は頭をさげる。
するとそれが皮切りとなって最終的に1時間も経たず最初の低級ポーションは完売したのだった
「……ってことで。小金持ちになりました。」
所持金はシリカに借りた3000コルを返しても27000コルにもなり、それで材料費と生活費を省いても17000コルは残ることになったのだ。
「す、凄いですね。」
「まぁ、商売相手がいにゃかったからにゃ。」
すると大沢さんはなぜか集合場所のレストランについてきて同席している
「……それでこちらの方は。」
「知らない。いやリアルの名前は知っているけどプレイヤー名は分からない。」
「そうだったにゃ。プレイヤー名はソラっていうにゃ。」
「ソラさん?もしかしてリアルの知り合いなんですか?」
「……後々から聞けば分かる。てか俺もか。俺はスカイ。んでこっちがシリカ。一応初日にシリカが悪質なフレンド勧誘にあっていたのを助けて以来パーティーを組んでいる。」
「よろしくにゃ〜。」
「よろしくお願いします。」
と自己紹介が終わったところで
「んじゃ早速だけど今後のこととMMO経験者としてソラは口を挟んでいってほしい。」
「分かったにゃ〜。」
「それでなんだけど、とりあえず午後からなんだけどぶっちゃけやることがなくなった。」
「なくなったんですか?」
「いや、朝一であんなに売れるとは思わなかったし、さすがに今日これ以上稼ぐのはちょっとやめておきたいんだよ。」
「……どういうことですか?」
シリカは首をかしげる。
「……今の資金的に俺に集まっているんだよ。俺に至っては2日目で30000円以上の資金をプレイヤーから取っているっていうのが問題なんだよ。」
「人によったらプレイヤーから搾取していると思われてもおかしくないにゃ〜。」
「商売に大切なのは信用だ。だから俺はこれからも商人としてこの世界に居座る予定だから好感度アップのために支援していきたいんだけど。」
「支援って言っても何していいのか分からないですよね。」
シリカはため息を吐く
「そういえばマナー違反だと思うけど二人のスキルって何なのにゃ?」
「調合と所持個数増加。」
「私は短剣と、その。」
俺とソラは首をかしげると
「りょ、料理を。」
「……あぁ、昨日の黒パンか。」
一コルで買える黒パンを俺とシリカは食べたんだけど。硬くて美味しくなかったってことでシリカは残していたのだ。
「奇遇だにゃ〜。私も料理を入れているのにゃ〜。私は細剣と料理にゃ。」
「……料理か。……って料理を売ればよくね?」
「料理をですか?」
「うん。こんなデスゲームになった以上気分転換は多分必要だろうし娯楽ってもんは絶対に需要が出てくる。屋台販売にして、えっと確か露店があったはず。」
俺はカーペットを見にいった店を思い出す
「俺もカーペット買いにいったんだけど。一枚二万コルはさすがに。」
「そんなに高いの?」
「……耐久度耐性がついているんだよ。商品に限りだけど。つまりストレージに入れた状態で売ることが可能ってわけ。俺はポーションだったから立て札だけですんだけど。」
「片手剣は売れなかったんですか?」
「片手剣はポーションの盛況ぶりをみてやめた。これ序盤の必要不可欠の武器だし自分用に取っておく。」
「それがいいにゃ。命には変えられにゃいし。」
俺は少し息を吐くとすると料理が運ばれてくる。
「それじゃあ適当に午後は料理スキルの検証をするか。せめて黒パンにつけるスープみたいなものができればいいんだけどな。」
「……私が言うのもにゃんだけど、スカイって落ち着きすぎじゃにゃい?」
「慌てたって何も変わらないだろ。それにシリカの顔を見て何とかしないといけないって思っただけ。」
「えっ?私?」
驚いているけど
「お前かなり初日の顔見てたらひどかったぞ。だからよそに不安を持っていく必要があった。ぶっちゃけ俺も結構怖いんだぞ。だから慎重になっているしな。」
「スカイも怖いの?」
「……こえぇに決まっているんだろ。ただでさえ知らない人ばっかのMMOで初心者二人で行動しているんだぞ。」
「私もグループに入るから3人にゃけど。」
「まぁな。まぁ、でも一人でいたら多分。俺は何もできなかったと思う。」
「……誰もが同じ気持ちなのにゃ。私もお母さんに会いたいし。」
多分その気持ちは全員同じだろう
家族、友達、恋人をあっちに残してきた人だってかなりいるはずだ。
「…帰りたいな。」
シリカの弱音に俺たちは何も言うことができなかった。