「ひょえっ?」
目を覚ました時、俺が上げた声はなんとも間抜けな声だった。まあそれも当たり前のことだと思う。だって…
「なんでいきなり森の真ん中にいるんだ!?」
そりゃ焦るよね。自分の部屋でゲームしてて寝落ち、気づいたら森の中でした、なんて状況を想像してみてほしい。100人に聞いたら全員が焦ると思うんだよ、うん。
だが、この場所には見覚えがある。現実世界ではこんな森の中に来たことないが、さっきまでやっていた期間限定高難度ダンジョンがあった場所なのだ。つまり、さっきログアウトした場所だ。
「わかったぞ、これは夢だ。夢の中でゲームの中に入ったということだな」
夢なら納得だ。ゲームのことばっか考えてるからゲームの中にいる夢を見ても不思議じゃない
「一応やるか、テンプレ」
頰をつねってみる、痛い。匂いを嗅いでみる、木々の香りがする。その辺の葉っぱを食べてみる、まずい。うん、五感ははっきりしている。…ん?
「夢なら五感ははっきりしないよな?…まさか、夢じゃないとか?」
「……はああぁぁ!?」
いやいやいやいや、ありえない!ゲームの中に入るなんてありえない!
…落ち着いて確認しよう。ここが仮にトワイライトの中として、ログアウト地点であるならば、近くに始まりの街があるはずだ。街があったら諦めて認めよう、そして改めて喜ぼう。
ゲームの世界にきたことを
道なりに進んでいくと、果たしてそこには『始まりの街』と書かれた門があった。トワイライトと全く一緒だ。つまりは…そういうことだ。
「まじだ…まじでゲームの世界にきたんだ…」
「よっしゃああぁぁぁ!!!」
人生の大半をかけてきたゲームの世界に自分自身が来ることができた、それを実感した瞬間、抑えきれないほどの興奮と喜びを吐き出すように雄叫びをあげた。通行人に変な目で見られた。
と、とりあえず喜ぶのはこれくらいにして、まずは所持品を確認しなければならない。だが…
「どうやってメニューを開くんだ?」
そう、わからないのだ。メニューを開くボタンもないし、声に出しても反応しない。ひと通り試した後、ポケットの中の袋に気がついて取り出してみる。
茶色のいかにもお金を入れる袋のようなものが出てきた、中からは金属の音がしている。どう考えても財布だ、中には金貨が20枚ほど入っている。
「これ一枚がどの程度の価値なのかわからないが、これがあれば大丈夫なのかな?」
あくまでゲーム内の知識だが、最初にギルド登録をする。そのときに1000ニム、あ、ニムはお金の単位だ。それが必要だったのは最近サブ垢を作ったので覚えている。本来ならチュートリアルでおわっているが、そういったイベントなかったからな。仕方ないし自分で行かなくちゃいけない。
あとゲーム内じゃ数値でしかお金が出ないからこの金貨がどのくらいの価値なのかわからない。
「ここで悩んでても仕方がない、とりあえずギルドに、GO」
俺は街の真ん中に見えているギルドへ向かった。
「ようこそ!冒険者ギルドへ!…見ない顔ですね、冒険者の登録ですか?」
入るや否や受付の人から声がかかる。か、可愛い…ゲーム内では気にしたことなかったけど実際にみるとすっごい可愛い…。
「かっ…!?い、いきなりですね…」
おっと声に出てしまっていたようだ。こういうリアクションも取ってくれるんだな、完全にゲームの中というわけではないのか?あとで考えるか。
「はい、冒険者の登録の登録にきました。できますか?」
「えっ?あ、はい!登録ですね!こちらの書類に必要事項をお書きください!なお、虚偽の内容を書いた場合罪に問われる場合がありますのでご注意ください」
「わかりました。」
書類を書こうとペンを取る、そして気付く。この文字は日本語じゃない。だが読めるし書ける。これがあれか、ご都合主義ってやつか。そして、サラサラと仕上げていく。
…のだが。
「…名前どうしよう、日本名がいいのか、それともゲーム名にすべきか…。ゲーム名の方が雰囲気でるか…」
ティル、とずっと使っていた名前を書く。その後もティルのゲームデータを思い出しながら書いていく。
『所持スキル』
この欄で手が止まった、スキルの確認結局できんかったんだよね。どうしようか。
「すいません、所持スキルがわからないんですが。」
「あっ、その欄は空欄でいいですよ。その年でスキル持ってる人は少ないですし。」
「そうですか、ならできました」
「はい!確認しますね!」
可愛い受付嬢に紙を渡す。目を光らせながら見ていく。あれはスキル…かな?明らかに常識的じゃないからな。青く光ってるし。
「…はい、確認しました。ティルさん、ですね。ん?年齢が空欄ですが…」
「あ、忘れてました」
「大丈夫ですよー!こちらでわかりますから。…14歳ですね!」
!?…待ってほしい。28歳なのだが。
まさか…!お決まりのちっちゃくなってたパターンか!?
「すいません、姿を確認できるものはありますか」
「それでしたら、そこに鏡がありますよ!」
鏡を見る。
「やっぱりか…」
その姿は、明らかに中学生ぐらいの男の子が冒険者に憧れて格好を真似しました、みたいな格好になっていた。身長は140cmくらいしかない。
「ちっちゃくなったな…」
そうつぶやきながら受付に戻ったのであった。
頑張って書いていくから!気長に待ってて!!