どうやらISに常識人(自称)として転生したみたいです 作:凄まじき戦士
「...殺風景な場所デスね」
目が覚めるとアタシは真っ白な空間にいた。福音の攻撃を絶唱で受け止めたところまでは覚えているのデスが...
「とりあえず歩いてみるデス」
その場から立ち上がり歩き始める。しばらくすると青空が広がる場所へと出た。そこには見慣れた顔とよく知らない人物がいた。
「一夏?」
「切歌か!」
一夏の後ろにいるのはどこか織斑先生に似た雰囲気、そして
(あれは白騎士...教科書でしか見た事ないデス。というかここはどこ?)
そんな風に考えていると、白騎士らしき人物が口を開く
『あなたたちは何のために力を欲しますか?』
その言葉を聞いたアタシたちは考える。
「俺は...誰かを守れる力が欲しかった」
一夏がぼそりとつぶやく。
「ISって力を手に入れて浮かれてたのかもな...気が付けば箒を泣かせてたし、切歌も危険な目に、だからさ...」
うつむいていた一夏は顔を上げる。
「誰かを守れる強さを手に入れるより、まずは自分を守れなきゃなって思った。周りの人間に助けられてもいいから」
その言葉を聞いた謎の人物はアタシに顔を向けた。
『あなたはどうなのですか?』
「アタシはお気楽者ですからね、みんなとわいわい過ごすための努力は惜しまないつもりデス!そのためなら鼻血やケガがなんぼのもんかデス!」
そう答えると謎の人物は微笑み、目の前が真っ白になった。
「知らない天井...ってわけではないデスね」
謎の人物との会話から目を覚ましたアタシは布団から起き上がる。絶唱の影響と治療のための鎮痛剤で身体がうまく動かないが、気にしてはいられない。部屋から出るとそこには同じように部屋から出た一夏がいた。
「大丈夫か?」
「そういう一夏もデス」
アタシは身体中に包帯が巻かれている。火傷と福音の砲撃を相殺するときに壊れた装甲による切り傷によるものだ。
一夏も砲撃を受けたはずだが傷は完治している様子
「白式のおかげデスか?」
「わからん、だけど俺たちの部屋に誰もいないってことは...」
そう言いかけた一夏が足を止める。アタシもイガリマを握る。
「連帯責任で織斑先生に怒られるとするか」
「行くデス!」
旅館から飛び出したアタシたちはそれぞれのISを展開し、みんなが戦闘を行っている空域へと向かった
みんなのいる空域に到着すると、福音の羽根が光り輝いておりその先には調たちがいた。
「一夏!」
「おう!」
一夏は白式に新たに追加された武装を展開して鉤爪で切りかかる。福音は回転しながらそれをかわす。そこにアタシはジュリエットを放ちダメージを与える。
「調!みんなも無事デスか?」
アタシたちは調たちのもとへと向かう。全員がボロボロ、戦闘継続が可能かとなると微妙なレベルだ。
「姉さん、それってまさか...」
「第二次移行...というより換装ですかね?」
今のアタシはイガリマをベースに白式のスラスターを装備している。調は茫然とした様子だ
「無断出撃したら厳重注意、一緒に怒られるデス」
「うん!」
損傷が激しいセシリアたちから離れてアタシは福音を見る。ちょうど一夏が福音を弾き飛ばしたところだった。
「調、これをみんなに使うデス」
アタシは応急修理キットを調に渡して福音に向かって飛び出し両肩のアーマーを射出するが躱される。
「一夏、どうデス?」
「動きが速くて零落白夜を当てる隙が見つからない。みんなは?」
「応急修理キットを渡したのデス」
鎌をくるくると回転させながら福音を観察する。光の翼を広げた福音は天使のようだ
「一夏、雪羅は遠距離攻撃可能デス?」
ここまで飛んでくる時に一夏の新しい装備の名前だけは聞いていた。まさかあんな風なものだとは思ってなかったデスけど。
「おそらくできる。ぶっつけ本番になるかもだけど」
「なら任せるデス」
ブースターで福音に向けて突撃する。福音は光の翼から大量の光弾を飛ばしてくる。
アタシはその場でスラスターを使って回転する。
〈
緑色の竜巻となって光弾を防ぎながら近づく。しかし光弾の数が多く距離がなかなか詰められない。この技は目が回るためそれほど長時間使えない。
後ろから砲撃が放たれる。エネルギーの反応は白式、雪羅から煙が上がっているのでそこから放ったのだろう。
「切歌!これはそう何発も撃てない!」
「進化して燃費が悪くなるんデス!?」
どうあれ道ができたので突撃、福音の装甲めがけて振り下ろす。ダメージは与えられずに受け止められたが、動きを止めることはできた。
「前回のお返しデス!」
〈
踵に巨大な刃を生成、本来は蹴り貫く技だが後ろ回し蹴りで福音を一夏の方へと蹴り飛ばす。
零落白夜で落とせる...
はずだった。
「あんな動きありかよ!」
距離を詰めていた一夏が驚愕する。福音が空中で回転して体勢を立て直す。そのまま一夏に攻撃をしようとするが
「させない」
応急処置が終わった調のヨーヨーのワイヤーが福音の両足に巻き付き、動きが止まる。だが一人では支えきれず、シャルロットとラウラが補助に入る。
「お姉ちゃん!」
「ナイス調!一夏、同時に決めるデス!」
「ああ!」
動きを止められた福音は光の翼で迎撃しようとするがセシリアと鈴から放たれた攻撃その場からの移動は難しい。一気に決めるために加速しようとしたとき
「一夏!」
叫んだ方を見ると黄金の粒子をまとった箒が手を伸ばしながら近づいてくる。一夏が触れると驚いたように声を上げる。
「エネルギーが回復した!?」
「切歌も!」
「箒、ありがとデス」
箒に触れるとSEが回復していく。
「これが紅椿の...」
「絢爛舞踏というらしい。これなら一夏たちも」
「ああ、フルパワーで」
「やれるデス!」
(BGM:Edge Works of Goddess ZABABA)
シンフォギアシステムを起動したアタシと一夏は動きが止まった福音の両翼を鎌と刀で切り落とす。バランスを崩した福音は調たちに引っ張られて海面へと叩きつけられる。
「一夏と箒で福音を足止めしてほしいデス!その間にアタシと調の大技で!」
「箒!」
「承知した!」
そこに向かって箒は紅の斬撃を飛ばして追撃、アタシは調のもとへと向かう。意図に気づいた調は福音を拘束していたヨーヨーを手元に戻す。目を合わせてうなずく。
海面にたたきつけられた福音から凄まじいプレッシャーが放たれる。おそらくアタシたちを本気で殺す気だ。
アタシと調はそれぞれのアームドギアを合体させ、巨大な武器へと変化させる。
〈
ヨーヨーが鎌の柄の先に接続、巨大な刃が付いた車輪状に変化した武装を二人で前へと突き出し、丸鋸へと変化した部分を回転させて突撃する。足止めをしていた一夏に集中していた福音は気付けずに直撃、軍用IS相手には有効打のはず。
激しい火花を散らして福音の動きは止まる、そして箒の補給を受けた一夏が零落白夜を発動し瞬時加速を使って一気に接近する。福音はそこから全力で逃げようと翼を広げるが
「逃がさない...!」
「大人しくするデス!」
専用機持ちの攻撃で足を止めて合体技を解除したアタシたちで四肢を拘束、一夏の方へとぶん投げる。
「これで!終わりだぁぁ!!」
その一撃を受けた福音の動きが止まる。アタシたちは武装を解除し大きく息を吐きだした。
「何とか終わったな...」
「今までで一番疲れたデス...」
疲れで眠った調をおんぶしながらみんなのもとへと向かう。こうして福音討伐戦は幕を閉じたのであった。
新形態のイメージは
XDのメカニカルギアをベースに白式のスラスターがついた感じを想像してください。