もしオリジナルキャラクターと版権がクロスオーバーしたら【もしもシリーズ】 作:ゆめみじ18
惑星ヴォーミア、ここでは愛するものを失うことこそが。ソウル・ストーンを手に入れ。この先の勝利に繋がることを湘南桃花は知っていた。元からそう決まってたし、形を変えて起こる結果も知っていた。
「ブラック・ウィドウはここで死ななければならない。それが、彼女がこれまで歩んできた意味の、唯一の役割だから」
ブラック・ウィドウとホークアイの葛藤を、湘南桃花とオーバーリミッツは遠くから隠れて観ていた。
湘南桃花には正しい時間軸じゃない所でも、記憶を持ち越せる技術はあった。
それは何度も戸惑い、やめることは出来ただろう。何度も止めたし、辞めた世界線は観てきた。ドクターストレンジの何万通りの時間軸を見てきたことにも起因する。オーバーリミッツは尋ねる。
「もし、二人とも犠牲にならなかった世界線だとどうなるの?」
「メタ的に言えば、唯一無二の見せ場がなくなる。でもそうじゃないんだ、彼女が死んでシャフランを止める。大好きなオーバーリミッツの暴走を正気に戻す機会は、ここしかなかったんだ」
「……」
「もし誰も犠牲にせず、ルールに挑む勇敢な選択肢を取ったとしても。どこかの世界線では、ハルクが暴走して止まらない未来しかなかったでしょうね。……いや、それも違うか……」
「?」
「大好きなオーバーリミッツを体を張って、助けて止める。だからこそ、この【問題の3話】は……この世界ではブラック・ウィドウじゃなきゃいけない。信じあう者同士じゃなきゃ、この場合次の物語に行けない、だからいる」
天上院咲が「なんとかならなかったの?」という答えには。湘南桃花は複雑そうに答えるだろう。
「これが私とオーバーリミッツとの愛の形だった、てことになるでしょうね。逆にあの場面を取ったら、彼女には何にも無くなってしまうのよ。彼女は空っぽのまま、アイアンマンが指パッチンをする」
「するとどうなるの?」
「ガントレットが不完全だから指パッチンの効果が半減する、【誰かの暴走は止まらない】という運命の結果が起きるでしょうね」
「つまり、ルールの抜け道を使って。ソウル・ストーンをゲットしたとしても。サノス襲来の時、もっと多くの【誰かの暴走が止まらない】という結果が、永遠と味方陣で繰り返される。と」
「その大虐殺の未来をブラック・ウィドウ一人分に抑え込んだ、最短ルートでね。だからアイアンマンはともかくブラック・ウイドウの死は。全員集合の時の犠牲を最低限に抑えた。といっても良いでしょう」
オーバーリミッツは沈黙を続ける。
「二人が死んだ後に、『どうして彼女が死ななければならなかったんだ!』と尋ねられたら。ドクターストレンジがタイム・ストーンか何かで。全員集合の時に大虐殺が起きるヴィジョンを、相手に見せるしかないわね」
桃花はそのまま、アベンジャーズの二人を遠くから見つめる。そして崖から落ちて、ブラック・ウィドウは死んだ。
オーバーリミッツは言葉を失う。
「…………」
「これがあなたと共に歩むために取った、【知らなかった私の唯一の方法】よ。オーバーリミッツ」
ブラック・ウィドウの魂は天国へと上り、ホークアイの手にソウル・ストーンがわたる。
オーバーリミッツは湘南桃花に質問する。
「この世界では死んだ魂は生き返ったりしないの?」
「出来ないこともない。ただ、それをすると。彼女は空っぽのままだ。もし生き還っても【怠惰で平穏な地獄】が彼女を待っているわ」
「……、安らかに眠ってね」
時は弾け、動き出す。
誰にも止めれぬ力をもって。
世界はその意味を答えず。
ただ、動き続ける。