もしオリジナルキャラクターと版権がクロスオーバーしたら【もしもシリーズ】 作:ゆめみじ18
レストランで軽い打ち合わせをする、大人3人組がそこにはいた。
「社外秘の守秘義務なのに原作者の気持ちを汲み取りたいって、いや無理でしょ……、蒼葉君じゃないんだから私ちゃんと作品に関わりたいし。……でも社外秘なんでしょ?」
「すみません! 本当にすみません! すみません!」
宮森あおいと湘南桃花、ついでに木下監督もその場に来ていた。
「ふ~。いくら私が導き手だとしても……、作品ジャンルも解んないんじゃなあぁ~……。とりあえず原作者は【馬の大群のシーンは】褒めてたよ。てことだけ伝えとく」
木下監督はびっくりする
「え、本当!? エクソダスあんまり売れなかったのに!?」
「それはそれこれはこれ~……。つっても、マジで作品ジャンルすら解らないんじゃ察することも出来ないしなあ~……」
「それは、すみません……」
「ま、いいよ。上手くやんなよ敏腕デスク、てか今もデスクなの?」
「いえ……それも……」
「うわ~まじ何もわかんね~……」
呆れたように頭をデスクにコテンとつける湘南桃花。
「すみません」
木下監督はキャッチボール投げたさに伝える。
「例えばでいいので【あの夜のこと】を語っていただけるだけでもいいので~……」
「あ~あれ? 何、木下監督総集編やりたいの?」
「イヤ! そういうわけでは~!」
「あとからドカドカ色を付け足すのは、私嫌いなんだよねえ~。ま、ほかの人がやる分にはいいけど」
宮森がフォローに入る。
「でも! 実績があります! あの作品は何回見ても、やっぱり面白いんです! それを我が社で……!」
「ふふ、ありがと。でも私としては、やっぱ違うものを観たい、利益でなけりゃ。売れなきゃ生きていけないってのは解ってる。でも余裕があるなら、……出来れば新世界を観てみたい」
「……、」
「これは私のエゴだ、過去を引きづってるのとも違う。未来を見すえてるのとも違う。今だったらもっと凄い作品が出来上がるってのも確かに解る、でもそれじゃ。……なんか違う」
木下監督が食いつくように割って入る。
「逆にお伺いしますけど! ムサニの長所というか強いところと言えば! 何処になるでしょうか!!」
桃花は、あらぬ方向を向いてから。ちゃんと考えて向き直す。
「私は『花咲くいろは』と『SHIROBAKO』が好き。そこだけ観ると~、やっぱ人間ドラマかなぁ。忍者バトルものよりかは、やっぱりそっちのほうが向いてると思う」
「人間ドラマ……」
「あ、別に『自分が好き』とか言ってるわけではないからね? 演出が上手いって言うか」
「や、そこは解ってます」
桃花はコーヒーカップを指でくるくる回しながら言う。
「例えるならそう。我が子の写真をアルバムに取ったら、もうそのアルバムは最高でしょ? でもその写真を『別の誰か』に変換させられて絶賛されてたら?」
「ぁ…………」
「だから私は、今の我が子の。最高の写真を撮りたい。そんな回答でいい?」
一瞬間延びした空気が発生してから、この話はお開きとなった。
湘南桃花の後姿が目に留まる、彼女はいつも通り前を向いて歩いてゆく。
「木下監督」
「あ、はい」
「最高の作品を作りましょうね」
「……あぁ、もちろん」
宮森あおいにはその時確かに、湘南桃花から贈られた。命のトーチが燃え上がっていた。