その頃、
ウェンディは被害者を助けるために、
一生懸命調べていたんだ。
「ウェンディさん、お気持ちはわかりますがもう間に合わない。早くここを離れるのです。さもなくば、あなたまでモンスターの子に……!」
「違うんです里長さん! これはモンスターの子供なんかじゃない。ワラキアの子の正体は──、寄生虫です!!」
「なにを……」
「あと少しなんです! あと少し時間があれば、彼女たちを…救うことができるのに……」
ウェンディの本を漁る手も虚しく、
女性たちはもう衰弱しきっていた。
「彼女たちを苦しめているのは、ワラキアに寄生する虫たち。それが彼女たちの肉体を蝕んでいるんです。その虫たちを、駆除することができれば」
「しかし、もう……」
その時だった。
「お久しぶりです里長。後は我々、
「ハイドさん……」
「あと一歩だったようですね、ウェンディさん。あと少し早くこの里の事をご存知だったのであれば、あなたならきっと治療法を見出していたはず。私たちはいち早く彼女たち被害者の事を知り、何年も前から治療薬の開発に着手してきました。完成させるには時間がかかってしまいましたが」
医療ギルドの人たちはぴくりとも動かない患者たちに治療薬を飲ませる。
「これで、この人たちは助かるんですか?」
「この薬でできるのは寄生虫を殺すことだけです。蝕まれた体を元に戻すことはできない。ウェンディさん、あなたの力が必要です」
一方、
あたしたちの方は、
「やっと…ワラキアから自由になれた……」
「また会えたね、ヴラド」
「メモル!」
少年の前に現れたのは、
メモルだった。
「あんたにまた会いたくって、思念体になってまで生き続けちゃった、ワタシ」
「ひょっとして、メモルが助けようとした子って――」
「ヴラド、それが彼の名前」
ヴラドはぐったりしたまま話し始めた。
「ボクはマーシィを連れ戻したくて、力を手に入れるために、ワラキアを
「わ、わたし……?」
「たぶん、おとぎさまのことじゃないかしら」
「じゃあ、ワラキアとおとぎさまの恋物語は――、」
「おとぎさまと、彼のこと――」
「里違いだったボクは、マキビシの者には受け容れられなかった。彼女を連れて逃げようとしたが、彼女だけ連れ去られてしまった。取り返すには、力が必要だと思ったんだ。たとえ、ワラキアをこの身に取り込んででも」
「ワラキアは不老不死の魔物。だから、あなたも生きられたのね」
「ああ、だがもうおしまいだ。せめてもう一度、彼女の顔を見たかったんだがなぁ。ボクひとりだけ、生き残ってしまった」
ふと、
メモルの頬を一筋の涙が流れた。
「まったく、心に決めた女がいるなら早く言いなさいよ。そうしたらわたし、生贄にだってなれたのに。あんたに会うためだけに、わたしは……」
「ありがとうメモル。ボクたちは産まれた時から一緒だった。いなくなる時も、こうして一緒だ」
「また会えてよかった」
こうして、
メモルとヴラドは二人で手を握ったまま、
遠くへ旅立っていった。