天竜の巫女   作:木葉 音疎

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ワラキアとの闘いを終えたルーシィたちは、ウェンディとシャルルのもとへ駆けつけた。


天空の巫女

 それからは、

 病人を治すのに必死だった。

 寄生虫は既に、

 医者でさえ手の付けられない状態にまで病人を蝕んでいたの。

 彼女たちを救うために、

 ウェンディとハイドさん、

 そしてウェンディに変身したジェミニが頑張ってくれたんだ。

 

「ハイドさんも、治癒魔法が使えるんですか?」

 

 あたしは思い切って聞いてみたんだけど、

 

「治癒魔法というわけではありません。治癒魔法は失われた魔法(ロストマジック)。使用できる人間は珍しいのです。私はただ、通常の魔法を医療で使っているに過ぎません。私の魔法は分裂(セグメント)。これを使い細胞を分裂させ、この細胞活性剤で培養する。この方法なら、生きてさえいればどんな重体でも助けられると自負しています」

 

 ってことらしい。

 治癒魔法は貴重だから、

 ハイドさんはウェンディの力を借りたいんだろうね、

 やっぱり。

 治療を終えたウェンディたちは、

 すっかりくたくただった。

 

「これで、この者たちは助かったのですか?」

 

 里長さんの顔にはどうしても怪訝そうな表情が残っていたわ。

 

「命は救われました。しかし、元の生活に戻るには、まだ時間がかかるでしょう。三途の川から無理やり引き揚げたようなものですから」

 

 仕事を終えたハイドさんは、

 何も言わずに帰っていった。

 彼の言いたいことは、

 あたしたちにももうよく伝わっているから。

 ウェンディの力は、

 間違いなく多くの人に必要とされている。

 今が、

 ウェンディにとっての大きな分かれ道なんだと思う。

 あたしも、

 小説家っていう新しい道を見つけられたし。

 でも、

 やっぱり妖精の尻尾(フェアリーテイル)のみんなと離れるのは、

 寂しいよね。

 ウェンディは、

 どうするのかな?

 

 

 あたしたちも、

 この里を発つ日が近づいていた。

 エルザがマーシィをギルドに誘ってみたんだけどね、

 マーシィは、

 

「わたしはこの里に残ります。マキビシ唯一の魔導士として、これからもこの里の力になれたらと」

 

 って断れちゃった。

 まあ、

 ギルドに入ることが魔導士のすべてではないしね。

 ところで、

 エルザも言っていたんだけど、

 マーシィって結構すごい魔導士だと思うの。

 マーシィは世代を重ねるごとに力が弱まったって話してたけど、

 それは恐らく、

 ワラキアの中にいたヴラドの意識が、

 徐々にかすれていったからだと思うのよね。

 マーシィの歌唱魔法は、

 人間にしか効かないものなんだと思うの。

 ジェミニが人にしか変身できないのと同じみたいにね。

 

 

 それじゃあ、

 今日は遅いからもう寝ます。

 また手紙書くね。

 おやすみなさい。

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